ドコモが“ahamoの有償サポート”を提供する背景 浮き彫りになる携帯ショップの課題石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2021年05月01日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 政府の強い要望を受ける形で3月に導入された、大手キャリア各社の20GBプラン。程度の差はあるが、その安さから提供開始当初はユーザーが殺到し、SIMカードの配送が遅延したり、手続き完了に時間がかかったりといったトラブルは起こったが、状況は徐々に落ち着きつつある。一方で、安さだけが伝わってしまった結果、オンラインで手続きができないユーザーがショップに訪れるなど、キャリア側の狙いとユーザーのミスマッチも起っているようだ。

 こうした中、ahamoを提供するドコモは、4月22日にドコモショップでのサポートを開始した。契約や料金プラン変更を手伝う「ahamo WEBお申込みサポート」と、契約後の手続きを助ける「ahamo WEBお手続きサポート」の2本立てで、いずれも料金は3300円(税込み、以下同)。加えて、端末故障時のサポートとして、ドコモショップでの修理も無料で受け付ける。

ahamo オンライン専用プランとして3月にスタートしたahamoだが、約1カ月後の4月22日には、早くも店頭サポートを導入した

ドコモショップでサポートを開始したahamo、オンラインのみには限界も

 あるドコモユーザーが、「ドコモショップに行ったら、本当にahamoの契約をしようとしてる人がいた」と驚いていたように、ahamoをはじめとしたオンライン専用プラン/ブランドが店舗で契約できないことは、想像以上に浸透していない。ahamo開始直後に、オンライン専用でサポートが十分ではない不満を伝えたブログも、賛否両論を巻き起こした。テレビなどの短い尺で、インパクトの大きい金額やデータ容量だけが伝わってしまった結果といえる。

 本連載でたびたび指摘しているように、ahamoをサブブランドではなく、ドコモのいち料金プランと位置付け(ざるをえなかっ)たことも、誤解を招く要因になっているはずだ。ドコモの料金プランと銘打っているにもかかわらず、ドコモの看板を掲げたショップで契約できないのは、直感的に理解しづらい。オンライン専用の料金プランというコンセプトが新しいこともあり、ユーザーに浸透するには時間がかかる。

ahamo オンラインに特化したのがahamoのコンセプトだったが、金額やデータ容量のインパクトが大きく、そこだけが独り歩きしてしまった感は否めない

 こうした中、ドコモは4月22日に上記2つの店頭サポートをahamoに導入。合わせて、端末故障時の受付も、ドコモショップで行うことになった。サポートとしているのは、あくまで手続きをユーザー自身で行うからだ。「ahamo WEBお申込みサポート」では、通常のドコモの料金プランに加入するときのように、ショップスタッフが店頭の端末(ALADIN)にユーザーの情報を入力するのではなく、ユーザー自身の端末でahamoを申し込みするのを、スタッフが手助けする形になる。

 ショップスタッフが操作を肩代わりしないのは、「同意事項などもあるためで、お客さまにやっていただくのが基本になる」(ドコモ広報部)という。契約後のサポートは、チャットを通して行う形になるが、店頭でのサポートが必要な際には、「ahamo WEBお手続きサポート」の利用が必要になる。ahamoには、それほど加入できるオプションは多くないため、利用の機会は少なくなりそうだが、機種変更などの手続きにも対応するという。

ahamo 4月22日に、ahamoのサポートを全国のドコモショップに拡大した

 店頭サポートのサービスが生まれた背景を、ドコモは次のように説明する。「お値段的なところを含め、ahamoに興味を持っていただけている方がたくさんいたが、オンライン手続きはやはり慣れないのでサポートしてほしいという要望があったため、有料でという形で整理した」(ドコモ広報部)。ahamoは本来、店頭サポートなどのコストを削って低料金を実現したプランだ。その分のコストをユーザーが負担するのであれば、サポートを受け付けるというのは合理的といえる。

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