ドコモが“ahamoの有償サポート”を提供する背景 浮き彫りになる携帯ショップの課題石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2021年05月01日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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販売拠点からサポート拠点への転換はなるか? キャリアショップの課題とは

 他社は現状、ドコモの動きに対し、すぐに追随する予定はないようだ。KDDIはpovoの店舗サポートは「現時点で予定はない」(広報部)と語る。ソフトバンクも、「今後の選択肢の1つではあるが、決まっていることはない」(広報部)という。

 とはいえ、オンライン専用プランは、ショップを運営する代理店にとっては悩ましい存在。ユーザーが自身で勝手に契約してしまうため、ahamoやpovo、LINEMOの比率が高くなればなるほど、ショップに落ちる手数料は少なくなるからだ。サポートを有料化できれば、キャリアと代理店、ユーザーの“三方よし”を実現できる可能性がある。

 契約者獲得に重きを置くビジネスモデルは、業界全体で見るとまだ大きく変わっていないようにも見える。総務省は、4月26日の「競争ルールの検証に関するWG(第17回)」で、代理店やショップスタッフに対するインタビューやアンケート調査の結果を公開。アンケートからは、4割強のスタッフがユーザーのニーズや意向の確認をせず、上位プランの勧誘をしたことがあることが判明した。

ahamo 4割強のスタッフが、ユーザーのニーズや意向を確認せず、上位プランの勧誘をした経験があるという

 インタビューでは「キャリアからは合理的とはいいがたい高い数値目標が設定されており、利用者が求めていないサービスを積極的に勧誘する必要がある」といった意見も挙がっている。こうした調査結果を受け、総務省は「MNOの各種施策が販売現場で大きなプレッシャーになっている可能性がある」と結んでいるが、改善するには、契約獲得数や高額な料金プランに偏った手数料体系を改めていく必要がある。

ahamo 上位プランの獲得を求めるキャリアのノルマが、こうした販売の背景にあることがうかがえる

 ただ、ユーザーの通信料という原資がなければ、手数料の支払い自体も難しくなる。ahamoのようなオンライン専用プランの比率が上がっていくと、ショップの淘汰(とうた)がさらに進む可能性がある。総務省のインタビューでは、代理店側からも「端末の独自修理や利用者のリテラシー向上に資するセミナーの開催など、代理店にできる独自ビジネスもあるはずなので、認めていただきたい」といった声が挙がっており、サポート拠点への転換が急務といえそうだ。

ahamo 代理店自身からも、サポートなどをビジネス化することを望む声が挙がっているようだ
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