povoは「100万契約が見えてきた」とKDDI高橋社長 UQ mobile統合は「やってよかった」

» 2021年05月14日 23時07分 公開
[田中聡ITmedia]

 KDDIが5月14日、2020年度通期の決算について説明した。2020年度の連結業績は、売上が5兆3126円で前年比1.4%増、営業利益が1兆374円で前年比1.2%増となり、増収増益を記録した。

KDDI 2020年度の連結業績について説明するKDDI高橋誠氏(写真提供:KDDI)
KDDI 2020年度の売上と営業利益

 売上について、ARPUは携帯料金の値下げに伴って減少が続いているが、金融やコマース、法人向け事業などの成長領域がカバーし、エネルギー事業を除く成長領域で582億円の増益となったことが増収増益に貢献した。

KDDI ARPU(通信料収入)は減収したが、非通信領域でカバーした
KDDI 営業利益も非通信の成長領域が大きく貢献している

 金融やコマースなどのライフデザイン領域ではauスマートパスとau PAYでユーザー接点を持ち、auでんき、au PAYカード、auスマートパスの契約数や会員数が順調に増えている。高橋誠社長は「接点の強化やポイントの流通により、金融やコマースでau経済圏の最大化を目指す」と意気込む。

KDDI ライフデザイン領域でコアとなるauでんき、au PAYカード、auスマートマスの契約数が右肩上がりで伸びている

 中でも金融事業が好調で、2021年度におけるau PAY決済、au PAYカード決済、auかんたん決済、auじぶん銀行などの取扱高は9兆円、営業利益は498億円に達した。

KDDI 金融事業も大きく増益している

povoは“楽しいトッピング”を提供したい

 モバイル事業では、4Gと5Gの累計契約数が2021年3月時点で2887万、5G端末の累計販売数は2021年3月末で240万台を突破した。この240万台という数字は「期初目標を大きく上回った」と高橋氏は手応えを話す。2020年秋モデル以降、auスマートフォンの新機種は全て5Gにしたことが功を奏して数字が伸びたという。5G端末の販売数は、2022年3月末時点で累計700万台超を目指すとした。

KDDI 5Gスマートフォンの販売台数は240万を超えた

 5Gエリアの構築については、大阪環状線は3月末から、山手線は5月末に全駅周辺をカバーする予定。2022年3月末には約5万局の5G基地局が開設し、人口カバー率は約90%に達する予定。5G向けの新周波数に加え、既存周波数の5G化も進めている。また、5GのSA(スタンドアロン)サービスは2021年度後半の開始に向けて準備を進めているとのこと。

KDDI 大阪環状線や山手線の全駅周辺で5Gが利用可能になる予定

 通信サービスはau、povo、UQ mobileのマルチブランドで展開し、いずれも5Gサービスを積極推進していく。3月にスタートしたpovoは単なるオンラインブランドではなく、機能を追加できる「トッピング」で差別化を図る。

KDDI メインのauだけでなく、UQ mobileとpovoでも5Gを展開する

 高橋氏によると、特に「24時間データ使い放題」のトッピングが好調だという。このトッピング機能をユーザーとともに開発していく「povo Lab」も5月に開設しており、新たなトッピングは「絶賛検討中」と高橋氏。「(povoの)かわいいキャラクターもできて、LINEスタンプも配信されたので、楽しいトッピングができたらいいなと思っている」と予告した。

KDDI povoはトッピングで差別化を図り、ユーザーとともに開発する取り組みも進めている

 povoの契約数は開示していないが、「けっこう順調に来ている。100万が見えてきたかなという数字が出ている」と高橋氏。現在はauからの変更が多くを占めているが、「povoの認知が4〜5月のプロモーションで6〜7割に上がってくるので、これから、他社のお客さまにも来ていただきたい」と期待を寄せた。

携帯料金値下げの影響を成長領域でカバーする

 2022年度の連結業績予想は、売上が5兆3500億円(前年比0.7%増)、営業利益が1兆500億円(前年比1.2%増)としている。うち営業利益はライフデザイン領域が2500億円、ビジネスセグメントが1840億円を見込んでおり、どちらも10%〜20%台の成長を目指す。povoを始めとした料金値下げの影響は「600億〜700億円くらいになる」(高橋氏)見込みだが、成長領域でカバーしつつ、コスト削減にも努める。具体的には、UQ mobileの統合によるマーケティングの効率化、外注を減らして基地局の建設を内製化することなどだ。

KDDI 2021年度も非通信領域で増収増益を目指す

 2020年10月に統合したUQ mobileについては、「正直言って、やって良かったと思う」と高橋氏は振り返る。運用コストの効率化が図れたことに加え、auショップでUQ mobileを扱えることのメリットも大きい。現在、au直営店とau Styleで200店舗、auショップで1600店舗、UQスポットが240店舗展開しており、全国約2000店舗でUQ mobileを申し込める。「auのよさとUQのよさがあるので、お選びいただける体制ができた」(高橋氏)

 あわせて、「販売コストの削減にもトライしていきたい」と高橋氏は述べ、ショップでもコスト削減をする意向を示した。「海外の事例も参考にしながら、売上に対するコストをどうしていくか検討している。事前にスマートフォンで登録すると、店頭での接客時間が短くなる。今年度(2021年度)、横展開できるにする」(高橋氏)

ドコモと三菱UFJ銀行の提携は「関係性に全く影響ない」

 楽天モバイルへのローミングが順次終了している件も質疑応答で話題に挙がった。楽天モバイルの人口カバー率が70%に達したらKDDIのローミングは終了する予定だが、「一部、70%を超えても楽天モバイルの要望に応じて残しているエリアもある」という。ローミングの稼働数は想定よりも若干増えており、「思った以上に使っていただいている」と高橋氏。楽天モバイルとは2026年3月31日までの5年間でローミング契約していることもあり、「われわれの収入が大幅に減ることはないと思う」とした。

 通信以外の分野を成長させていく取り組みは他社も同様だが、KDDIの強みは金融サービスを先行していることを高橋氏は挙げる。「他社に先行して、auじぶん銀行を立ち上げた。(他の金融サービスも)auフィナンシャルホールディングスのもと、コマがそろってきた」と自信を見せる。

 ドコモと三菱UFJ銀行が業務提携を発表した。KDDIも三菱UFJ銀行と共同でauじぶん銀行を運営しているが、ドコモとの提携は「われわれとUFJとの関係に影響を与えるものではない」と高橋氏は言い切る。違いは「銀行を持っているかどうか」。KDDI側にはauじぶん銀行があるが、ドコモは銀行を作るわけではなく、dポイントがたまるデジタル口座サービスを三菱UFJ銀行と共同で提供することを目的としている。高橋氏は「関係性に影響はない」と繰り返した。

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