新型「iPad Pro」は最上位モデルにふさわしい実力 エコシステムの拡大にも期待(2/3 ページ)

» 2021年05月19日 22時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

M1採用で大きくジャンプアップした処理能力、そのパフォーマンスはPC並み

 M1を採用したことで、処理能力も大きく向上した。まずは、ベンチマークアプリでの測定結果から。「Geekbench 5」でのCPUスコアは、シングルコアが1718、マルチコアが7315。2020年に発売された、A12Z Bionic搭載のiPad Proと比べても、大きくスコアが向上していることが分かる。筆者が普段から利用している2018年モデルの初代11型版iPad Proと比較すると、当然ながらその差はさらに大きくなる。こちらはシングルコアが1119、マルチコアが4677だったため、マルチコアスコアのスコア向上が目立つ。2018年モデルと2020年モデルではCPUの性能差が小さかったが、最新モデルでは大きな飛躍を遂げた格好だ。

iPad Pro 第5世代iPad Proのスコア。特にマルチコアスコアが大きく伸びた
iPad Pro 比較用に測定した初代11型版iPad Proのスコア

 同様に、GPUを測るComputeスコアも、2020年モデルが2020年に掲載したレビューで9685だったのに対し、最新の第5世代12.9型版iPad Proは2万1072と倍以上になっている。M1を採用したことで、パフォーマンスが劇的に向上していることが見て取れる。また、今回は機械学習の処理能力を測る「Geekbench ML」も利用して、Core MLの性能を計測してみた。こちらのスコアは2300で、2018年モデルの1219を大きく上回っていた。なお、試用したiPad Proは2TB版のため、メモリ(RAM)は16GB搭載されている。

iPad Pro GPUのパフォーマンスは、2018年モデルはもちろん、2020年モデルと比べても約2倍程度に向上している
iPad Pro 2018年に発売されたiPad Proは、1万程度だった。2020年モデルの性能向上は小幅にとどまったため、いかに新しいiPad Proが劇的に進化しているかが分かる

 実利用環境ではどうか。このレベルになると、ブラウジングや画像、動画の表示レベルの軽い作業ではほとんど差がつかない一方で、動画の書き出しなどの時間が劇的に短くなることが予想される。そこで、iPhone 12 Proで撮影した8分ほどの4K HDR動画(約1.4GB)に対して、標準搭載の写真アプリで「ビビッド(暖かい)」のフィルターをかけ、処理が終わるまでの時間を計測。筆者私物の2018年モデルと比較してみた。

iPad Pro 標準搭載の写真アプリでフィルターをかけ、処理が適用されるまでの時間を計測した

 終了までの時間は、新しいiPad Proの方が2倍以上速かった。第5世代の12.9型版iPad Proが6分38秒で終了したのに対し、2018年モデルの11型版iPad Proは14分42秒かかった。負荷の大きな作業にも強いことが証明された格好だ。ちなみに、同じ処理を撮影に使ったiPhone 12 Proでかけてみたが、こちらは16分49秒。速度はどちらかと言うと2018年モデルのiPad Proに近く、GPUの処理能力が結果に与えている影響が大きそうなことが分かる。

 ただ、その処理能力を生かすためのアプリがなければ、宝の持ち腐れになってしまう。今回のレビューは、標準搭載されている写真アプリを使って簡易的な編集をかけただけだが、プロユースをうたうには、やはりその道のプロが使うアプリは欠かせない。「Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」のiPad版がない状況では、業務フローに取り入れらないユーザーも多いはずだ。写真については「Photoshop」や「Lightroom」が(機能の違いはあるが)存在するが、動画はまだ手薄だ。エコシステムの拡大が、今後のiPad Proにとっての課題といえる。

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