でんきセット割の導入にタイミングを合わせ、UQ mobileの取扱店舗も拡大中だ。村元氏によると、3月から徐々に取扱店舗を増やしており、7月上旬には全店舗への展開が完了するという。UQ mobile自身が運営するUQスポットと合わせると、その数は2300店舗以上になるという。店舗拡大のメリットは2つ。1つが販売数を伸ばせること、もう1つがサポート拠点になることだ。
村元氏は「でんきセット割を提供するにあたり、2000店舗以上のauショップでサポートできるのは、安心感につながる。販売面にポジティブな効果があることはもちろん、丁寧なコミュニケーションができるのが大きい」と語る。裏を返せば、契約がやや複雑なでんきセット割の提供に踏み切れたのも、取り扱い店舗が増えているからこそ。その意味で、でんきセット割とショップの拡大は、車の両輪といえる。
勢いに弾みをつけるUQ mobileだが、auからの流出が増えることにはならないのか。同じKDDIが提供する通信サービスではあるが、auよりUQ mobileの方がARPU(1人あたりからの平均収入)は低く、移行が加速すれば減収要因になりかねない。村元氏は「そういう動きがあるのは百も承知」としながら、「auにはauで、(データ通信の)使い放題という価値がある。そこに合わない方は、UQ mobileに移ってもらえればいい」と語る。
ユーザーが選択する料金プランは、「くりこしSとMが主力で頑張っているが、比率でいうとSが多いのが事実」(長谷川氏)。節約ニーズに応えつつも、収益性の観点では、より上位のプランに移ってもらうような施策が求められそうだ。電気サービスはその1つだが、KDDIがライフデザイン領域として提供する上位レイヤーのサービスの利用も増やしていく必要がある。
5Gは、それを解決する鍵の1つだ。「もともとUQ mobileはMVNOとして別のシステムを持っていたため、(auと)しっかり同じにしてくのに、お時間をいただいている」(長谷川氏)というが、夏にはサービス開始する予定。データ通信のスループットが上がり、それに応じたコンテンツやサービスが増えてくれば、3GBでは足りないユーザーが、上位のプランに移行する可能性はある。村元氏も「その傾向はあると思う」と認める。よりデータ量が多いユーザーには「その先にauの使い放題がある」(同)ため、受け皿は広い。
ただし、村元氏は、5Gへの移行が本格化しても「(少容量の市場も)残るのではないか」とみている。「気にして使う方は、相当セーブしながら使っている。リッチな動画を見る人がいる一方で、ライトにSNSやニュースを中心にする方もいる」というのが、同氏の見立てだ。二極化するユーザーの両方が満足するサービスを提供しながら、上位プランやauにアップグレードする道筋をつけるのがUQ mobileに課せられた使命といえる。
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