楽天モバイルの「全国人口カバー率96%」計画が後ろ倒し 「2021年内予定」に元の計画よりは「前倒し」を維持

» 2021年07月27日 18時50分 公開
[井上翔ITmedia]

 楽天モバイルは現在、au(KDDIと沖縄セルラー電話)が提供するローミングサービスを併用しつつ、全国に自社エリアを広げている。同社では2020年8月以来、機会のある度に基地局開設計画を「2021年夏をめど」に前倒して達成する方針を示してきたが、達成時期を「2021年内」に変更したことが判明した。

【追記:7月28日13時10分】本件に関する質問に対し、楽天モバイルから回答があったので追記しました

後ろ倒し 7月27日時点でのエリアカバー拡大の予定。人口カバー率96%の達成時期が「2021年内」に変更されている

本来は「2026年3月末まで」に達成する計画

 自ら携帯電話の通信設備を持つ「MNO(Mobile Network Operator)」として新規参入を表明した際、楽天モバイルは総務省にLTE(4G)基地局の開設計画を提出している。この計画では2025年度末(2026年3月末)までに2万7397局の基地局を開設し、人口カバー率を96%達成することになっている。

 特定基地局の免許交付に先駆けて、同社では2018年12月からLTE基地局の建設を開始したが、2019年7月には総務省から2019年度末(2020年3月)までの開設計画の修正と、修正計画の実行を要請された。

 その後、基地局建設は順次進められ、MNOサービスの開始7日前に当たる2019年9月24日までに全国における特定基地局の「包括免許」の交付を受けた。

本来の計画 楽天モバイルが1.7GHz帯でLTE向け特定基地局の開設申請をした際の計画では、2026年3月末までに2万7397局の基地局を開設し、人口カバー率を96%達成することが記されている(総務省資料より:PDF形式)

 サービス開始後も基地局の開設は進み、先述の通り2020年8月には2021年夏をめどに開設計画を前倒して達成する方針を示した。2021年5月に行われた楽天グループ(親会社)の2021年第1四半期決算説明会では、自社エリアの人口カバー率は2021年3月末時点で80%となり、「残り16%分を急いで整備している」という説明もあった。

マップ 2021年3月末時点では自社LTEサービスの人口カバー率は80%に達している

計画修正の原因は「世界的な半導体不足」?

 更新された後のカバー率に関する記述には、「時期は、世界的な半導体不足等による基地局設備への影響等で、変更となる場合があります」という注釈が添付されている。世界的な半導体不足が基地局設置の遅れにつながる主な要因であるかのような表現である。

 本件について、楽天モバイル広報部に質問した所、回答を得られた。体裁を整えた上で掲載する。

―― LTEサービスにおける人口カバー率96%の達成予定時期が「2021年夏」から「2021年内」に変わっていました。Webサイトの記載を変更したのはいつでしょうか。

楽天モバイル 7月21日付で変更しています。

―― 予定時期が変更されたのはなぜでしょうか。

楽天モバイル 世界的に半導体需要が高まり、さまざまな産業で半導体不足が起きております。半導体は基地局の設備にも使われていますので、半導体の需給状況による影響があり、予定時期を2021年内に変更いたしました。

 なお、総務省に認定された開設計画への影響はございません。

―― 現時点において、人口カバー率はどのくらいまで高まっているのでしょうか。

楽天モバイル 楽天(自社)回線の人口カバー率は、2021年5月末時点で88.6%です。約2ヶ月でおよそ10%拡大した計算です。

―― 地方別の人口カバー率は開示していないのでしょうか。

楽天モバイル 申し訳ございませんが、お伝えしておりません。



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