10月1日に始まる楽天モバイルのMNO(携帯キャリア)サービス。親会社である楽天の三木谷浩史社長によると、開始当初はサービス対象を限定する「スモールローンチ」となるそうだ。
8月14日から15日にかけて、楽天モバイルの基地局整備(開設)が遅れ、総務省が同社に開設計画の修正を求めた旨の報道が一部でなされた。8月15日に行われた石田真敏総務大臣の記者会見でも、この報道に関連するやりとりがあった。
「スモールローンチ」と「基地局整備の遅れ」に、因果関係はあるのだろうか。
8月15日の会見でのやりとりで明らかになった事実を簡単にまとめると、以下のようになる。
6月末時点の基地局整備状況では、2019年度末までに計画している基地局数が達成できない可能性がある。それを是正すべく、総務省が指導を行った――簡単にいえば、そういうことになる。
総務省が3月に要求した具体的な開設計画は公表されていないが、1月から2月にかけて募集した際に提出された開設計画では、平成37年度(令和7年度、2026年3月末)までに「全国に2万7397局」の基地局を開き、「人口カバー率96%」を達成するとしている(参考リンク:PDF形式)。
楽天モバイルの「スモールローンチ」について、楽天の三木谷社長は「完全仮想化は新しいサービスなので、1〜2カ月ほどは様子を見たい」とその理由を語っている(参考記事)。ただ、基地局の設置が遅れているという話を聞くと、それも原因なのではないかと思ってしまう。
実際の所はどうなのだろうか。楽天モバイル広報部に聞いてみた。
―― 御社の基地局設置について、(8月15日の)総務大臣発言で「6月末時点において計画からの進捗に遅れが見られました」とありましたが、事実でしょうか。
楽天モバイル広報部 総務省から、より多くの基地局を速やかに建ててほしいとのお話をいただいているのは事実です。
―― 計画からの遅れはどの程度のものでしょうか。また、計画から遅れてしまった主因は何でしょうか。
楽天モバイル広報部 個別の状況により異なります。例えば「設置の際に追加工事が発生する」「現地調査をした結果、建設が困難であることが判明した」など、さまざまな要因がありますが、7月以降、基地局の開設スピードは加速しています。
計画との差異については、詳細な数字は申し上げておりませんので、ご了承ください。
現時点では、10月のローンチに向けては必要なカバレッジを準備できる見込みです。
―― 10月1日のサービス開始が「限定的になる」と親会社の三木谷浩史社長が会見でコメントしていましたが、基地局設置の進捗遅れが原因なのでしょうか。
楽天モバイル広報部 基地局(設置)の進捗によるものではございません。あくまで前例のないネットワーク構造を勘案し、利用者に安定的かつ継続的に、安心して利用いただける環境を入念に準備したいという理由から、まずはスモールローンチとして展開し、順次範囲を拡充していくとことしました。
―― 総務大臣発言で「7月17日に今年度末までの開設数計画値を確実に達成するための修正計画の提出及び実行を要請したところでございます」とありますが、修正計画は提出済みでしょうか。提出済みであれば、いつ提出したのでしょうか。
楽天モバイル広報部 具体的な日時は申し上げておりませんが、基地局の開設速度を加速するための修正案を7月末までに提出しております。
―― 御社はMNOサービスの詳細は9月に発表するとしていますが、このタイミングで指定期日(3月14日10時)以前にMVNOサービスを契約した人や、DMM mobile利用者の扱いについても発表する予定でしょうか。
楽天モバイル広報部 申し訳ございませんが、10月以降のサービスの詳細については申し上げておりません。
9月における発表内容についても現在社内で検討しておりますので、現時点では詳細は差し控えさせていただきます。
スモールローンチは、あくまでも完全仮想化ネットワークの様子見を目的としているようだ。
10月1日、どのような形でMNOサービスが始まるのか。9月にあるとされる発表会が待たれる。
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