―― もう1つの特徴の大容量ですが、MVNOと言えばやはり小容量の料金プランが強い印象があります。大容量を求めるニーズは、どの程度あったのでしょうか。
中川氏 30GB以上を求めるお客さまのニーズが、実は2倍ぐらい伸びています。逆に、中容量はニーズとして下がっていて、小容量と大容量というようにMVNOも二極化しています。(大容量の)パイ自体は小さいですが、伸び率は高いということです。MNOはオンライン限定の20GBプランを出していますが、ここに対して、MVNOならではの答えを出していかなければならないと考えました。今回のベーシックUプランは3Mbpsという速度ですが、これは若年層の動画コンテンツの視聴ニーズが7割ぐらいあることから決めた速度です。動画視聴が快適に見られるレベルの制限を入れ、大容量を組み合わせればMVNOならではのニーズを作っていけると考えました。
―― 通信速度を絞ることでトラフィックを抑えつつ、大容量を実現したということだと思いますが、今後、接続料は徐々に低減していきます。そういった場合は、容量を増やすのか、それとも速度を上げていくのか、どちらの方向になるのでしょうか。
中川氏 両方というのはなかなか難しいので、どちらかを取らざるをえません。ただ、お客さまの使用感の“ギリギリ”が変わってくるのであれば、そこには対応しなければいけないと考えています。
―― もう一方のカスタムUに関しては、選択した3つのアプリだけが通信速度の制限なく使えるようになります。これはゼロレーティングの応用ということでしょうか。
有泉氏 ゼロレーティングの技を使っています。もともとはアプリを認識してデータ容量のチャージをしていなかったのですが、これを速度に応用し、MVNOで大容量であっても選んだアプリなら速度制限はしないという仕立てにしています。
―― 3つという数は、どういう基準で選んだのでしょうか。
中川氏 ある程度使われる動画のサービスはいくつもありません。それに、速度制限をしないアプリは途中で変えることもできるので、ある意味制限があるようでない。変更したら、即時適用されます。
―― 対象となるサービスは、BIGLOBEモバイルの「エンタメフリー・オプション」に入っているものとは違うのでしょうか。
中川氏 同じものもあれば、そうでないものもあります。リリース当初は10個ほどの対象アプリを設定させていただきましたが、今後、順次増やしていく計画です。
―― 例えばどういったサービスが対象になっているのでしょうか。
中川氏 エンタメフリーと同じものだと、「YouTube」や「Abema TV」「Amazon Music」が入っていますが、それ以外では「TELASA」や「モンスターストライク」「Instagram」「TikTok」も対象に入っています。
有泉氏 InstagramやTikTokはエンタメフリーではカバーしていませんでしたが、大容量ということで皆さんが使っているサービスも対象に入っています。
中川氏 TikTokをやっている若年層は多いですが、動画サービスなのでギガ消費が激しい。そこもニーズとして加味しました。
―― ただ、アプリを3つ選択するカスタムUも、データ容量は50GBまでになっています。無制限にしなかった理由を教えてください。
中川氏 無制限までいってしまうのは、さすがに……。制限を入れる中で、50GBであればデータ容量を気にせずご利用いただけます。ただし、青天井ではないというところで50GBを設定しています。
―― 50GB超過後も1Mbpsなので、速度は落ちますが使いものにならないということはなさそうですね。
中川氏 はい。もともとのコンセプトとしては、無制限に近いものを考えていた経緯があります。ですから、あまりデータ容量を気にしないで使っていただきたいのが前提です。容量超過後に著しく速度を絞るのではなく、気にしないで使っていただける範囲に制限することにしました。
―― 帯域は、BIGLOBEモバイルとは別に制御しているのでしょうか。
有泉氏 別です。異なる特徴を持ったサービスを同居させると、制御が難しくなるからです。土管を分けた形にして、それぞれ制御するアプローチを取っています。
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