インタビュー
» 2021年07月28日 06時00分 公開

ビッグローブが新MVNO「donedone」を立ち上げる狙い なぜBIGLOBEモバイルと別ブランドなのか?MVNOに聞く(1/3 ページ)

新ブランドとして社会貢献活動に対する継続的な参加を売りにした「donedone(ドネドネ)」のサービスを開始。速度を1Mbps、3Mbpsに制限する代わりに、50GBという大容量を実現した。社会貢献活動を売りにしたMVNOが登場するのは初めてではないが、大手MVNOが別ブランドとして展開するのは異例だ。

[石野純也,ITmedia]

 大手キャリアの値下げに対抗する形で、MVNO各社が新料金プランを導入しているが、主戦場はデータ容量の少ない料金プランだ。特に3GB前後のプランは、コストの中で比率の高かった音声卸の基本使用料が値下げされたこともあり、1000円を下回る料金を打ち出すMVNOが増えている。大手キャリアが中容量から大容量、無制限の料金プランを拡充する中、手薄になっている低容量で廉価な料金プランを用意することで差別化を図っている格好だ。

 そんなMVNOと一線を画した料金プランを導入したのが、「BIGLOBEモバイル」を展開するビッグローブだ。同社は、新ブランドとして社会貢献活動に対する継続的な参加を売りにした「donedone(ドネドネ)」のサービスを開始。速度を1Mbps、3Mbpsに制限する代わりに、50GBという大容量を実現した。社会貢献活動を売りにしたMVNOが登場するのは初めてではないが、大手MVNOが別ブランドとして展開するのは異例。データ容量ではなく、速度でMNOと差別化を図るサービスが新たな形として定着することになるのかも、注目が集まる。

donedone MVNOサービスの新ブランド「donedone」を立ち上げたビッグローブ

 では、なぜこのタイミングでビッグローブは新ブランドを立ち上げ、サービスの提供に踏み切ったのか。同社の代表取締役社長を務める有泉健氏と、執行役員 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)の中川圭子氏にお話を聞いた。

BIGLOBEモバイルの“のれん”は変えたくなかった

有泉健 ビッグローブの有泉健社長(写真提供:ビッグローブ)

―― まずは、なぜ、BIGLOBEモバイルとは別のブランドとしてdonedoneのサービスを開始したのかを教えてください。

有泉氏 コロナ禍がこうなる前の2020年1月に、2030年までの残された10年間に対してビッグローブがどう貢献するのかを考えたときに、社会、経済、環境というキーワードが出てきました。事業の成長がある一方で、社会や環境のサステナビリティ・トランスフォーメーションはやっていかなければならない。ビッグローブのコア事業は光やモバイル、法人ではクラウドですが、それに加えて明確に社会や環境に対する貢献を大義にした事業として「探索事業」と呼ぶ事業を立ち上げ、両輪を回していくことを社内で宣言しました。

 ただ、2軸のブランディングをやるといっても、スケールをかなり大きくしていかなければ、ビッグローブの存在意義がなかなか認知されません。探索事業の部隊だけでなく、やはりコアの事業で社会や環境を考えた取り組みをやっていかなければスケールしないということです。ちょうどそのとき、Z世代の新入社員が入り、意識調査を目にすることもありましたが、彼らと話すと、社会貢献や環境貢献といったSDGsを教育課程で学んでいてデフォルトになっている。コアの事業も、これからの中核を担う世代の価値観や感性にフィットさせていくべきだろうと考えました。これが、ここに至る経緯の1つです。

 一方でBIGLOBEモバイルは低廉な料金やゼロレーティングが受け入れられてきましたが、そこに社会貢献や環境といった色をつけていくのかという問いに対しては、のれんを変えたくないという結論になりました。ただ、コロナ禍のなかでMNOが20GBの低廉な料金を出すに至り、サブブランドもMVNOの領域に入ってきています。今の1GBから6GBというMVNOの主戦場もざわつき、影響を受けています。12GB以上の大容量に関しては、対抗料金を決めかねる形で空白になっていました。BIGLOBEモバイルののれんを変えないとすると、大容量で新しいメニューを作って社会や環境といった色付けをした方がいい。新しいブランドを大容量で社会貢献というブランドにしつつ、両方のブランドをやっていこうと考えました。

社会貢献と大容量プランの2つを特色に

―― 社会貢献とモバイルサービスは親和性が高いとお考えなのでしょうか。

有泉氏 直接的なリンクを見いだしていたかというと、そういうわけではありません。ただ、若い世代の意識調査をすると、社会貢献は意識していて活動にもジョインしているものの、継続ができていない。時間的な制約や費用的な制約があり、どうやって継続したらいいのか分からないという調査結果も出ています。そこで、モバイルサービスという月額料金をいただいているサービスの中で、趣旨に賛同していただけたお客さまが、社会貢献をしている団体に寄付という行為で支援できるような形を考えました。

―― いやらしい質問かもしれませんが、社会貢献はユーザーを獲得するための武器になるのでしょうか。

有泉氏 社会貢献だけで多くの方々に入っていただけるというわけではなく、MVNOとしても、競合の中でのメリットを打ち出しています。その意味で、donedoneの売りは大きく2つあります。1つは、50GBという大容量で「ベーシックU」と「カスタムU」という2つのプランを作り、ゼロレーティングを生かして特色を出しました。もう1つが社会貢献で、2つの特色で訴求しています。

donedone donedoneは月額2480円(税込み)の「ベーシックUプラン」と「カスタムUプラン」で構成される。違いは通信速度と、速度制限なしのサービスがあるかどうか

―― 寄付額が50円なのはなぜでしょうか。ユーザーが額を決められるようにすることもできたと思います。

中川氏 お客さまがモバイル回線を契約する際に支払う料金として、ある程度の金額でないと一歩踏み出すことができません。50GBの対価として許される料金になるまで弊社の粗利を削り、寄付に当てられる金額として50円を捻出しています。

 寄付が継続できない理由の1つに、継続する手段がないというものがあります。寄付額を自由に増やせる仕組みも検討はしましたが、そうなると、その分だけ非課税として計上しなければならず、仕組みが複雑になってしまいます。今回の50円は弊社が代わりに寄付をする形です。ただ今後、そういった取り組みが可能かどうかは、引き続き検討していきたいと考えています。

donedone 社会貢献活動をする意志があっても、継続できない人が多いという
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

過去記事カレンダー