ITmedia Mobile 20周年特集

auケータイを振り返る 「音楽のau」や「au design project」などで印象的なモデルが多数ITmedia Mobile 20周年特別企画(1/3 ページ)

» 2021年07月30日 11時06分 公開
[房野麻子ITmedia]

 2021年で創刊20周年を迎えた「ITmedia Mobile」。今回、ITmedia Mobileの20年を振り返る企画として、国内キャリアが2001年から2020年に発売した主要な「ケータイ」「スマートフォン」をピックアップしてまとめた。第2回はauのケータイだ。

cdmaOneを採用した2社でauへ

 KDDIの前身には、1985年の通信自由化で携帯電話事業に新規参入したDDIセルラーグループやIDO(日本移動通信)、1994年に参入したツーカーグループなどがある。

 DDIセルラーは当初、無線通信方式に、NTT方式(ハイキャップ)とは異なる米国モトローラ社の「TACS方式」を採用。モトローラが開発した“ポケットに入る”「マイクロタック」を導入し、1989年のサービス開始当初から小型端末にこだわった。IDOはさらに軽量の端末を独自開発。1990年に当時、世界最小・最軽量の「ハンディフォン ミニモ」(重量298g)を発売した。関東・中部地域で展開していたIDOと、それ以外の地域で展開していたDDIセルラー両社は、1992年12月に全国ローミング(相互接続)を実現した。

 1997年、DDIセルラーとIDOは、Qualcommが開発したCDMA方式の採用を決定。ブランド名を「cdmaOne」として1998年からサービスを開始した。直前までNTTドコモのCMに出演していた織田裕二さんをcdmaOneのCMに起用したことも大きな話題になった。

 cdmaOneは、当時ドコモなどが採用していた2G通信方式のPDCよりも通信速度が速かったため、2.5Gとも呼ばれた。回線交換(時間単位の従量課金)でインターネット接続サービスのEZwebに対応した日立製の「C201H」(1999年)、「C303CA」(2000年)から始まる防水、耐衝撃性能を備えたカシオ製G'zOneシリーズ、音楽再生機能付きのソニー製「C404S DIVA」(2000年)などのcdmaOne端末がリリースされた。

auケータイ 音楽再生機能付きの「C404S DIVA」

 2000年に、DDIセルラーグループとIDOが携帯電話サービスのブランド名称をauに統一。同年にDDI、KDD、IDOの3社が合併し、ITmedia Mobileがスタートした2001年にはセルラーグループ各社も統合してKDDIが発足した。その翌年には3GサービスのCDMA 1X(CDMA2000 1x規格)が始まっている。

 CDMA 1X端末には、A1000シリーズとA3000シリーズ、A5000シリーズがある。A1000シリーズは、メールを端末本体に保存可能なEZweb@mail対応のシンプルな端末だが、A3000シリーズはJavaアプリ(EZアプリ)やGPSナビ(EZナビ)に対応し「GPSケータイ」と呼ばれた。A5000シリーズはさらに動画再生が行える。

 2002年春モデルとして登場したカシオ製「A3012CA」はauケータイで初のカメラ内蔵端末で、カメラは35万画素だった。また、ディスプレイ部分が回転しながら開く「リボルバースタイル」を採用した京セラ製の「A5305K」(2003年)といったユニークな機構を持った端末もあった。

auケータイ au初のカメラ内蔵ケータイ「A3012CA」
auケータイ ディスプレイ側が180度回転して開くリボルバースタイルがユニークな「A5305K」

多数の個性的モデルを送り出した「au design project」

 2002年12月にはauがいち早く「着うた」を始める。MP3やAACなどの音源をケータイの着信音として設定できるもので、音楽をダウンロードできるサービスも提供された。着うたは他キャリアでも提供され、後に1曲丸ごと配信される「着うたフル」に進化していく。

 この頃からauは端末のデザインに注力した「au design project」を展開しており、いくつかのコンセプトデザインも発表していた。2003年にはau design project第1弾として、プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインした「INFOBAR」を製品化して高い人気を集める。ディスプレイは2型液晶、カメラは31万画素CCDだった。

auケータイ au design project第1弾の「INFOBAR」。数多くの派生モデルを出した

 au design projectの第2弾は2003年12月発売の「W11K」。「W11H」とともに、CDMA 1Xを高度化してデータ通信速度が上がったCDMA 1X WIN(CDMA2000 1x EV-DO規格)に対応した端末だ。W11KもINFOBARと同じく深澤直人氏がデザインしており、多面的な形状により一部では“ガンダムケータイ”と呼ばれた。

 これ以降、au design projectのケータイは「talby」(マーク・ニューソン氏デザイン、2004年)、「PENCK」(サイトウマコト氏デザイン、2005年)、「neon」(深澤直人氏デザイン、2006年)、「MEDIA SKIN」(吉岡徳仁氏デザイン、2007年)、「NFOBAR 2」(深澤直人氏デザイン、2007年)と第7弾まで続き、ニューヨーク近代美術館収蔵品に選ばれたモデルもあった。au design projectはその後、2009年に立ち上がった「iida」へと変化していく。

auケータイ au design projectの第2弾モデル「W11K」
auケータイ マーク・ニューソン氏がデザインした薄型ストレートケータイ、talby

 iidaの端末には「G9」(岩崎一郎氏デザイン、2009年)、「iida Art Editions YAYOI KUSAMA」の3機種(草間彌生氏デザイン、2009年)、「X-RAY」(吉岡徳仁氏デザイン、2010年)などがある。なお、2018年11月に「INFOBER xv」を再びau Design projectのケータイとして発売している。

auケータイ iidaの第1弾モデルとなる「G9」
auケータイ 「iida Art Editions YAYOI KUSAMA」はケータイというより芸術作品。写真は「ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい」で、100台限定で価格は100万円だった。
auケータイ 透明な本体を使った「X-RAY」
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