「どうしても最安値を取りに行きたかった」 HISモバイル「格安ステップ」の狙いを聞くMVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2021年08月27日 13時42分 公開
[石野純也ITmedia]

1GBと3GBのプランで約9割の申し込み

―― 実際に格安ステップを開始してみて、手応えはいかがですか。

猪腰氏 まだ4桁ぐらいしか(契約者が)入ってきていませんが、反響は大きく、申し込みは毎日あります。LINEMOが7月にああいったプラン(3GBで990円の「ミニプラン」)を出してきてしまいましたが、最安値が欲しいユーザーはもっと下の価格を見ているため、そこの影響も受けていません。お客さまの層がちょっと違う感じで、どちらかと言うとMVNO市場をガンガン渡り歩いてきたお客さまが多い印象です。

 格安ステップは50%ぐらいがMNP、残り50%が新規契約で、副回線や子どもに持たせる用途が多くなっています。MNPでの転入率は、格安弐拾の方が割合は高いですね。こちらは同じ20GBということでahamoなどと比べやすく、大手キャリアからの乗り換えが多くなっています。

―― 申し込まれる容量は、どこが多いですか。

猪腰氏 1GBが7割ぐらいで、3GBが2割ぐらいです。狙い通りに加入いただいています。

―― 音声通話の30秒11円を打ち出しているMVNOはまだ少数派ですが、その影響はありますか。

猪腰氏 そこは思ったよりなかったです(笑)。もしかしたら、音声通話料のことはあまり知らないし、興味がないのかもしれません。(中継電話の)アプリが不便という声は以前からありますが、格安ステップについて書かれた記事を見ても、音声通話の魅力はそんなに書いていただけてない(笑)。半額と言われても、30秒11円がそもそも高いのか安いのか。それが分からないのかもしれません。われわれの課題でもあります。

―― 音声通話の魅力がないということは、5分かけ放題オプションもあまり選ぶユーザーはいないのでしょうか。

猪腰氏 全体の中で15%ぐらいです。キャリアのユーザーのアンケートを見ると、5割から7割ぐらいは音声定額を付けていますから、キャリアのユーザーとわれわれのユーザーは違うということなのだと思います。われわれが宣伝に磨きをかけ、一般ユーザーに訴求を始めればここはガラッと変わるのかもしれませんが、今のMVNOの主要なユーザーは30代から50代の男性が中心で、リテラシーも高いため、かけ放題がなくてもそれなりに安く使う方法を分かっているのかもしれませんね。

―― そことは違う層に拡大していく予定はあるのでしょうか。

猪腰氏 今はWebサイトが検索の中で引っ掛かってこないので、SEO(検索エンジン最適化)やSEM(検索エンジンマーケティング)、アフィリエイトなどへのアプローチをしている段階です。HISモバイルが(ネットで)出てくる率が低いので、そうなると比較軸に入りづらい状況になってしまいます。そのため、主要メディアにきちんと載せてもらえるような地ならしをしているところです。その地ならしをせずにいきなりテレビCMをやったとしても、よく分からないで終わってしまい、コンバージョンは低くなります。地ならしをしつつ、来るべきときに空中戦に入っていけるようにしようと考えています。サービス的にも、まだワンプランにできていませんので、もっと選びやすいプランを作る必要もあります。

格安ステップにも「変なSIM」が付く

―― HISモバイルというと、やはり旅行とのシナジーがあったと思いますが、コロナ禍でそこはかなり厳しくなっていると思います。影響はどの程度あったのでしょうか。

猪腰氏 海外用のレンタルWi-Fiや訪日外国人向けのプリペイドSIMは、物販のような形で他のMVNOにはない収益源でした。特にレンタルWi-Fiは、一緒に借りてくれる人が50%ぐらいと割合が高く、値段もそれなりにするのでいいビジネスでした。ある意味、HISの看板の中で自動的に取れていたもので、そういうお金を使いながらMVNOを伸ばしていければと考えていました。

 ただ、例えば、留学生が使う海外用の電話や修学旅行で必要な通信など、HISの営業マンが行く先で必要になるものは多く、そういったものをビジネス化できる動きはしています。こうしたものがなくても、今のビジネスモデルは成り立ちますが、今のポジションから何十万(契約)というところまで上げるには、広告なども小さすぎます。30万から50万まで持っていくにはどうするかを考えると、その辺のビジネスが入ってくれないと厳しいというのが正直なところです。

―― HISモバイルと言えば「変なSIM」の印象が強く残っていますが、今の状況だとあれも売りづらいですね……。

猪腰氏 そうですね。ただ、最近でも1回、2回とプランを使う方はいます。コロナ禍ではありますが、海外に行く方はいますからね。Wi-Fiレンタルもまだ使われていているのですが、いったん海外に行くと隔離になることがあるので、やたらと単価が高い(笑)。今海外に行く人はどうしても行かざるを得ない事情があるので、1カ月間など、長い期間で借りる方が多くなっています。

HISモバイル 物理SIMに貼り付けて利用する海外向けSIM「変なSIM」

―― 格安ステップにも、変なSIMは付いてくるのでしょうか。旅行とのシナジーがもっとあるといいのですが。

猪腰氏 今も付けています。SIMカード自体はプランをお申し込みいただいた際に付けていますが、使ってくれたらお安くするといったこともやろうと考えています。また、海外用のレンタルWi-Fiが割引されたり、HISの福利厚生のページから旅行が安くなったりといったこともやっています。マイページの中にクローズドなサイトがあり、そこで買うとバス旅行が安いといったことはすでにやっています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月09日 更新
  1. コンセントに挿すだけで見守れる「Wi-Fiセンシングプラグ」発売 人感センサーよりも広範囲に検知 (2026年04月07日)
  2. メルカリで詐欺に遭った話 不誠実な事務局の対応、ユーザーが「絶対にやってはいけない」こと (2025年04月27日)
  3. 「Google Pixel 10a」を実質3万9800円で入手する方法 先代「Pixel 9a」から“値上げしなかった”理由 (2026年04月07日)
  4. 「任天堂3DSの未使用品、素手で触るなよ」――中古店による「素手持ち」写真が物議 商品ランクの定義とは? (2026年04月07日)
  5. 「Google Pixel 10a」はどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年04月08日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. 依然として人気の高い「iPhone SE(第3世代)」、2万円台のお手頃価格も魅力 Back Marketの販売ランキング (2026年04月07日)
  8. 「Google Pixel 10a」が日本上陸 価格は据え置きの7万9900円から 日本限定カラー「Isai Blue」も (2026年04月07日)
  9. PayPay、4月から6自治体で最大30%の還元キャンペーン 練馬区や鎌ケ谷市など (2026年03月18日)
  10. Android 15搭載11.97型タブレット「アイリスオーヤマ 12型タブレット TM12E2W74-AZ1B」が19%オフの2万3800円に (2026年04月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年