“低廉な料金と多様なニーズ”に対応 ドコモ「エコノミーMVNO」の狙い

» 2021年10月08日 00時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモが10月7日、dアカウントやdポイントを活用した「エコノミーMVNO」について発表した。エコノミーMVNOは、低容量かつ低廉な料金サービスを利用したいユーザーのニーズに応えたもの。現時点ではNTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」と、フリービットの「トーンモバイル」と提携することが決定しており、OCN モバイル ONEは10月21日から、トーンモバイルは12月から全国のドコモショップで取り扱う。

エコノミーMVNO ドコモのエコノミーMVNOとして、まずはOCN モバイル ONEとトーンモバイルが参画する。その他のMVNOとも連携に向けて協議中とのこと

 ドコモは料金プランの中で「5Gギガライト」「ギガライト」を小容量、オンライン専用プラン「ahamo」を中容量、そして「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」を大容量に位置付けている。エコノミーMVNOは、5Gギガライト/ギガライトよりもさらに低容量かつ低廉な領域をカバーする。

エコノミーMVNO エコノミーMVNOは、ギガライトよりもさらに低廉かつ小容量なサービスに位置付けられる

3GB以上と1GB未満で満足度の大きな差があり

 1GB未満から7GBまで使った分だけ料金が変動するギガライトは低容量もカバーしているが、1GB未満でも割引適用前で月額3465円(税込み、以下同)、割引適用後でも月額2179円なのでMVNOよりも高い。実際、ドコモのスマホ利用者で他社へ移った人の中で、データ利用量3GB未満の割合が年々増えているという。さらに、ドコモの満足度調査では、データ利用量3GB以上よりも、1GB未満のユーザーの方が約1.6倍満足度が低いという結果が出ている。

エコノミーMVNO データ利用量3GB未満で他社へ移行するユーザーが増えつつあった
エコノミーMVNO データ利用量が少ないユーザーほど満足度が低いという結果も出ていた

 ドコモの営業本部長 野田浩人氏は「低廉な料金をメインプランにしたいというニーズにお応えできていないことが喫緊の課題だった」と認める。OCN モバイル ONEは、ドコモとの提携を機に月額550円で500MBのプランを新設する。月額770円で1GB〜月額1760円で10GBというその他のプランもギガライトより安い。

 iPhone向けSIMを提供予定のトーンモバイルは、ドコモ向け料金は未定としているが、現在扱っている月額1650円の「TONE SIM for iPhone」と同額なら、やはりギガライトよりも安い。TONE SIM for iPhoneは動画以外はデータ通信が使い放題なので、低容量というよりも、低価格で大容量の通信も可能なプランといえる。

 低廉なプランを強化することで「フィーチャーフォンのユーザーへのスマホ移行も促進できる」と野田氏は期待を寄せる。

ドコモと同等のサポート、端末の購入も可能

 エコノミーMVNOは、ドコモショップで取り扱うだけでなく、契約手続きから初期設定、アフターサポートまでをカバーする。サポートの中身はドコモ本体と大きな差はないという。ケータイ補償サービスも適用でき、ドコモスマホ教室にも参加できる。

エコノミーMVNO 全国約2300店舗のドコモショップでエコノミーMVNOの商材を取り扱う

 さらに、エコノミーMVNOのSIMとセットで、ドコモが取り扱う端末を購入することもできる。その際、割賦での購入や、端末購入プログラムの「いつでもカエドキプログラム」の適用にも対応する。MVNOでは大手キャリア傘下以外ではほぼ扱っているところがない新品iPhoneも、エコノミーMVNOなら回線契約と同時に購入できるようになる。

エコノミーMVNO 初期設定サポートやスマホ教室なども対応する

ドコモとMVNOにとってのメリット

 dポイントとdアカウントを連携できるのも特徴で、利用料金に応じてdポイントをためたり、通信料金の支払いにdポイントを充当したりできる。ドコモ側にとっては、非通信分野も含めた回線基盤の拡大やdポイント加盟店拡大がメリットとなる。

エコノミーMVNO dポイントやdアカウントと連携することで、ドコモの会員ビジネス基盤の拡大も狙う

 一方で、ドコモユーザーがMVNOに移ることで収益面ではマイナスになるが、「サブブランドを持っていないわれわれにとっては、低廉なレンジの料金サービスをどういう形で提案できるかが、長年の課題だった」と野田氏。Y!mobileやUQ mobileへの転出を抑えつつ、dアカウントと連携するエコノミーMVNOにとどまってもらうことで、非通信分野での収益成長を図るという狙いも見えてくる。

 トーンモバイルでは、子供やシニア向けの見守りサービス「TONEファミリー」を提供しているが、こうしたターゲットを特化したMVNOサービスをドコモが扱うことで、ユーザーの多様なニーズに対応できるというメリットも生まれる。野田氏はTONEファミリーを例に挙げ、「ティーンと親、シニアに特化した見守りサービスは他にはない。ドコモの子育て応援プログラムの会員に、お子様のスマホデビューの企画としてご提案できる」とも話す。

エコノミーMVNO トーンモバイルのようにターゲットを特化したサービスを扱うことで、多様なニーズにも対応していく

 MVNO側にとっては販路拡大やサポートの強化、加盟店向けアセットを活用したマーケティング強化がメリットとなる。一方、ショップでのサポートが発生した際の手数料、dポイントの発行額に応じた原資、端末販売で回線契約を伴う値引きなどはMVNOが負担することになる。

エコノミーMVNO ドコモとエコノミーMVNOそれぞれのメリット

サービスは競合しても「競争原理」の中で選ばれる

 今後、提携していくMVNOの数などで目標を定めているわけではなく、「連携の可能性のある方々とは積極的にやっていく」(野田氏)とのこと。料金やデータ容量などで条件を課しているわけでもないそうだ。

 低容量プランはギガライトと、トーンモバイルはキッズケータイと競合する部分があるが、野田氏はドコモ光でISPと提携したことを例に挙げ、「良い意味での競争原理が働いた」と振り返る。サービスの種類を増やすことで今回も競争原理が働き、「一番優れたサービスが選ばれる」との見解を示した。低容量帯でかぶるギガライトを廃止する予定は現時点ではなく、「エコノミーMVNOの効果を見ながら柔軟に行っていきたい」(野田氏)とした。

他社サブブランドとの違いは通信品質と移行手続き

 競合他社のサブブランド、Y!mobileやUQ mobileとの違いとして、通信品質の差が挙げられる。エコノミーMVNOも、回線はあくまでドコモから借りているものなので、MVNOによっては昼の混雑時に速度が低下しやすいという差が出てくる。野田氏は「データ利用が少ない利用体系を考えると、体感上大きな差がなく利用いただけると判断している」と話すが、提供条件については「ショップできちんとご案内した上で進めたい」(野田氏)とのこと。

 また、ソフトバンクからY!mobile、auからUQ mobileへの移行はMNP不要となったが、エコノミーMVNOにはMNPで移る必要があるため、やや手続きが煩雑となる。この点について野田氏は「ドコモショップでスタッフがお手伝いをするので、スムーズに移行できる」とした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月10日 更新
  1. 「iPhoneの調子が悪いです」の文言、なぜアイホンのFAQに? 実はAppleと深く関係 (2026年02月08日)
  2. 総務省有識者会議が「手のひら返し」な我が国への示唆――日本を国際標準から遅れさせたのは自らの愚策のせい (2026年02月08日)
  3. 「東京アプリ」で1.1万円分をゲット、お得な交換先はどこ? dポイント10%増量+楽天ペイ抽選が狙い目か (2026年02月05日)
  4. KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及 (2026年02月06日)
  5. 楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に (2026年02月07日)
  6. ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は? (2026年02月09日)
  7. Googleが台湾のPixel開発拠点を公開 「10 Pro Fold」ヒンジ開発の裏側、“7年サポート”を支える耐久テスト (2026年02月09日)
  8. 東京アプリ、PayPayがポイント交換先に追加される可能性は? 広報に確認した (2026年02月05日)
  9. 東京アプリ、PayPayとWAON POINTをポイント交換先に追加 交換時期は「決まり次第案内」 (2026年02月09日)
  10. 「小型iPhone SEを復活させて」──手放せない理由SNSで話題 どこが“ちょうどいい”と評価されるのか (2025年11月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年