MVNO各社の新料金プランが出そろいつつある中、NTTコミュニケーションズとNTTレゾナントが運営する「OCN モバイル ONE」が、ようやく発表に踏み切った。
OCN モバイル ONEは2019年11月に料金体系を刷新していたが、今回の新料金プランはそれがベースになる。金額は大幅に下がり、最低利用料は1GBコースの700円(税別、以下同)。音声通話の基本料も、この中に含まれる。MVNOの競合他社と比べても、肩を並べるか、優位性のある料金プランになっている一方で、ドコモを中心としたNTTグループ再編の観点では課題も残る。
OCN モバイル ONEの新料金プランは、2019年11月に導入された料金体系を軸に、金額を見直す形になった。データ容量は1GB、3GB、6GB、10GBの4段階で、現行の料金プランにあった中容量の20GBコースや30GBコースは3月31日で受付を終了する。1GBから10GBまでの4コースに絞って値下げした格好だが、新旧を比較すると、特に音声通話対応の料金が大きく下がっていることが分かる。
例えば、MVNOの主戦場といえる3GBコースは音声プランが900円なのに対し、データプランは780円。現行の料金と比べると、音声プランが580円、データプランが100円の値下げになっている。一方で、データ容量が大きくなればなるほど値下げ幅は増え、10GBコースは1280円安の1600円に設定された。10GBコースに関しては、データプランも2280円から1480円に下がっている。
NTTコミュニケーションズによると、値下げの原資は他社と同様、「基本料、接続料の値下げなどのコスト減を積み上げる一方で、お客さまに満足いただけるための投資は織り込み、値下げの実現に至った」という。コメントから推測できるのは、低容量のプランほど基本料の値下げが効いているということだ。これに対し、データ容量が大きくなれば、基本料だけでなく、接続料の値下げも反映されやすくなる。
20GBコースと30GBコースが廃止されるのは、「MVNOの特徴でも低容量・低料金の領域に特化し、お客さまにとって、より満足度の高いサービスを提供していきたいと考えたから」(同)だ。中容量プランは、MNOの開始したオンライン専用料金プランと直接対決することになってしまうため、低容量で差別化を図るのは合理的といえる。近い理由で、nuroモバイルも新料金プランのデータ容量を8GB以下に絞り込んでいたが、OCN モバイル ONEもこれに追従した格好だ。
特にOCN モバイル ONEは、ドコモとの差を今まで以上に明確にする必要がある。グループ再編の一環として、NTTコミュニケーションズをドコモの子会社にする計画があるからだ。子会社化の第2ステップでは、MVNO事業をNTTレゾナントに移管、NTTコミュニケーションズは回線を提供するVNE(Virtual Network Enabler)に専念する立ち位置になる。
新料金プランは「子会社化を意識したのではなく、ドコモも含めたMNO各社の料金プラン見直しも踏まえた上で検討した」(同)というものの、結果を見ると、ドコモの「ahamo」や「ギガホ プレミア」といった料金プランとは、きれいにすみ分けが図られた料金体系になっている。ドコモ自身にも段階制の「ギガライト」があるが、低容量はMVNOと連携した「エコノミー」のカテゴリーを主力にする予定。OCN モバイル ONEの新料金プランは、その戦略とも合致する。
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