MVNOとしては、他社に対抗できる料金プランを打ち出せたOCN モバイル ONEだが、上記のような、対サブブランドの観点では不満も残る。1つは、通信品質の問題だ。MVNOは、MNOから帯域単位でネットワークを借りているため、一時的にキャパシティーがひっ迫すると、通信速度が大幅に低下することがある。MNOとの相互接続でデータ通信を提供するMVNOの“宿命”ともいえる課題だ。
OCN モバイル ONEは、回線速度に定評があり、MM総研が2020年10月28日に発表した品質調査でもドコモ系MVNOで首位を取っているものの、MNOの回線を直接使うサブブランドとは大きな開きがある。「料金プランの大幅値下げ後も、品質向上への投資を戦略的に行う」(同)というが、サブブランドと対等に競争する上では、もう一段、通信品質への対応策が必要になりそうだ。
グループ全体で見ると、OCN モバイル ONEを生かし切れていないドコモ側にも課題がある。ドコモは当初、MVNOと連携したエコノミーを3月に発表予定だった。dポイントの導入を軸にしつつ、データ使用量の少ないユーザーをMVNOに誘導するのがドコモの狙いだ。ドコモは、自社回線を使用しているかどうかに関わらず連携していくとしており、OCN モバイル ONEはその代表例になると見られていた。NTTコミュニケーションズを子会社化する以上、料金面で連携しない手はないからだ。
このエコノミーの導入が、OCN モバイル ONEの新料金プランに間に合わなかったようだ。ドコモも「(エコノミーの導入を)3月発表予定で準備していたが、予定より遅れている」と認める。OCN モバイル ONEも、当初は新料金プランの発表時に料金以外の「+α」があることを示唆していた。ところが、発表された新料金プランには「+α」に該当するような要素は見当たらなかった。この「+α」こそが、ドコモのエコノミーとしてdポイントを導入することだったのかもしれない。
NTTコミュニケーションズは「お客さまの利便性や満足度を向上する上で、ポイントサービスは重要な要素であり、充実化するための選択肢としてdポイントの導入については、これまでも検討してきている」といい、ポイントによるドコモとの連携を検討していることを明かした。UQ mobileやY!mobileが新料金プランの導入で弾みをつける一方で、ドコモには低価格、低容量のブランドが存在しない。ahamoだけでは、他社に対抗しきれない可能性もあるため、OCN モバイル ONEとの連携は急務といえそうだ。
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