決算で判明、明暗分かれたpovoとLINEMO “オンライン”以外での差別化がカギに石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2021年11月06日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

明暗を分けたのは“オンライン”以外の差別化

 2社とも4月以降、解約率が一気に上がり、競争が激化していることもうかがえる。KDDIは、2020年度の解約率が通期で0.71%だったのに対し、第1四半期は0.83%に増加。「外の人(他キャリア)が強く、解約率が上がっていたが、6月以降はUQ mobileを強化し、電気サービスとの連携や固定通信との連携をやり、モメンタムが戻ってきた」(高橋氏)というものの、第2四半期の解約率も0.74%と水準は高い。「より下げなければいけない」(同)というのがKDDIの認識だ。povo2.0のスタートも、こうした動きの一環といえる。

KDDI KDDIの主要オペレーションデータ。解約率が2020年度の第4四半期に上がっていることが分かる。UQ mobileの強化とpovo2.0の投入で、解約率は抑えられつつあるという

 同様にソフトバンクも、2020年度は通期で0.71%に抑えていたスマートフォンの解約率が、第1四半期には1.01%に急増。第2四半期は0.91%に抑えることはできたが、料金値下げによる他社の影響は依然として大きい。ただし、先に挙げた宮川氏の「Y!mobileを強化していきたい」というコメントを踏まえると、ソフトバンクはオンライン専用ブランドのLINEMOではなく、もともと好調だったY!mobileに磨きをかけていく方針のようだ。

ソフトバンク ソフトバンクも2020年度の第4四半期に解約率が急上昇し、第2四半期時点でも1%を上回る水準が続いている

 実際、ソフトバンクのスマートフォン累計契約数を見ると、1年でY!mobileが大きく伸びているのに対し、LINEMOとLINEMOモバイルは合算で微増、ソフトバンクブランドは純減していることが分かる。料金を下げたいソフトバンクユーザーの受け皿になっていることに加え、他社からユーザーを獲得できているのはY!mobileというわけだ。povo2.0で新しい料金体系にチャレンジするKDDIに対し、ソフトバンクは得意分野をさらに伸ばそうとしているといえる。

 方針が大きく分かれたKDDIとソフトバンクのオンライン専用料金ブランド/プランだが、現時点でユーザーの支持が厚いのはpovo2.0といえる。一方のLINEMOは、Y!mobileとの差別化が十分図れていないようにも見える。ショップでのリアルなサポートの有無はY!mobileとLINEMOの大きな違いだが、割引まで加味すると料金差は小さい。さらに「Yahoo!プレミアム」が無料でついたり、PayPayとの連携で還元率が上がったりするのもY!mobileの魅力だ。

ドコモ ahamoが好調なドコモだが、ahamoはどちらかといえば、UQ mobileやY!mobileに対抗する色合いが濃い。オンラインという要素だけが強みではないというわけだ

 こうした点を加味すると、ユーザーがあえてLINEMOを契約する動機が弱くなる。オンライン専用ブランド/プランではいち早く200万契約に達しそうなドコモのahamoだが、これは同社がUQ mobileやY!mobileに相当するサブブランドを持っていないからこその勢い。KDDIがpovo2.0で料金体系を大きく変えたのも、UQ mobileとの差別化を明確にする狙いがあった。裏を返せば、“オンライン”だけではなかなか契約に結び付かないということだ。Y!mobileに注力するソフトバンクだが、LINEMOならではの工夫やサービスにも期待したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月07日 更新
  1. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  2. UQ mobile「コミコミプランバリュー」にクレカ割を導入したワケ 背景にahamoとY!mobileの“板挟み”も (2026年07月04日)
  3. Suica、JRE POINTのキャンペーンまとめ【7月5日最新版】 最大1万ポイント還元や新幹線35%オフなど (2026年07月05日)
  4. 「納品できない」──ギガファイル便で障害 運営元「ドメイン変えます」と暫定措置 (2026年07月06日)
  5. アップルがMacBook、iPadなどをついに値上げ――値上げを見送ったiPhoneのXデーはいつなのか (2026年07月05日)
  6. エディオンら、携帯契約時に義務違反 総務省が発表 NTTドコモにも行政指導 (2026年07月03日)
  7. 転売屋によるスマホ回線の「短期解約」「ホッピング」 総務省の検討する対策は十分なのか? 店員からの意見 (2026年07月03日)
  8. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【7月4日最新版】 ポイント20%還元や30倍増額など盛りだくさん (2026年07月04日)
  10. mineoのオプテージが「携帯電話番号」の割り当てを受ける 「音声フルMVNO実現」に向けて大きな一歩 (2026年07月06日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー