中国「独身の日」で最も売れたXiaomiスマホ 課題は「ハイエンド」にあり山根康宏の中国携帯最新事情

» 2021年12月03日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 中国では年に数回、大手ECサイトを中心に大型セールが行われるのがここ数年の習わしだ。中でも11月11日は「1」の数字が並ぶことから、「独身の日」として冬の消費喚起を兼ねた大きな販売競争が繰り広げられる。例えばEC大手のJD.com(京東)は、11月10日の20時から11日14時9分までの販売額は3114億元、約5兆5375兆円に達した。近年は11が2つ並ぶことから「双11」とも呼ばれるこのセール、スマートフォンメーカー各社にとっても目玉製品の割引など最も販売に注力する期間になっている。

中国市場でのXiaomiのシェアは4位

 中国のスマートフォンのシェアは、2020年まではHuaweiが圧倒的な強さを示していた。しかしプロセッサの供給難もあり、生産台数は激減、今ではシェア5位に落ち込んでいる。それに変わりトップに浮上したのはHuaweiの後を常に追いかけていたvivoとOPPOで、Canalysの調査によると、2021年第3四半期のシェアは両者が1位と2位になっている。そして3位にはHuaweiから独立したHonorが急上昇。3社のシェアは拮抗しており、今後もこの3社どれが1位になるか目が離せない状況だ。

中国 Canalysによる中国国内スマートフォンシェア推移

 一方、コスパに優れた製品を次々と送り出しているXiaomiは、中国国内シェアは4位。同社の勢いを見れば中国国内でも1位と思われがちだが、Honorにも抜かれる状況になっている。とはいえ、これはXiaomiにとっては悪いことではないだろう。中国は世界最大のスマートフォン市場だが、Xiaomiは海外でのスマートフォン販売台数も増やすことで、グローバルでの存在感を高めている。vivoやOPPOは中国国内での販売に偏っており、国内市場の動向の影響を大きく受けてしまう。Xiaomiは国内トップではなく世界各国で満遍なく製品を販売することで、グローバルシェア1位の座を確固たるものにしようとしているのだ。

 中国市場の現状を見た上で、2021年の双11のスマートフォンの販売状況はどうだったのだろうか。JD.comのデータを見ると興味深い結果となっている。双11セールで最も売れたスマートフォンは、Xiaomiの「Redmi K40」だったのだ。

中国 販売台数トップだった「Redmi K40」

独身の日に売れた「Redmi K40」と「iPhone 13」

 Redmi K40はプロセッサにSnapdragon 870を採用、6.67型ディスプレイ、4800万画素+800万画素超広角+500万画素マクロカメラ、2000万画素インカメラ、4520mAhバッテリー、ハイレゾ音楽再生にも対応。ディスプレイは120Hz駆動で360Hzのタッチサンプリングレート対応とゲーミング利用もカバー、7.8mmの薄型ボディーで持ちやすい。価格は6GB+128GBモデルで1999元(約3万6000円)だ。中国では1000元台のスマートフォンに人気が集まっており、その中でもコスパだけではなくバランスにも優れた製品といえる。

 このRedmi K40の次に売れたのがAppleの「iPhone 13」だ。ディスプレイサイズは6型超えが当たり前の状況では「iPhone 13 mini」は割高であり、Proシリーズは高性能だが高価格。無印モデルが最もコスパが高いというのが中国の消費者の声なのだろう。なお「iPhone 12」も4位に入っている。

中国 双11のJD.comの機種別トップ10、メーカー売り上げトップ10、メーカー販売台数トップ10

 他の製品を見ると、Xiaomiは「Redmi 9A」「Redmi Note 9」「Redmi Note 9 Pro」「Redmi Note 10 Pro」と4機種がランクインしており、販売台数上位10モデルのうち半数を占めている。やはりXiaomi製品のコスパの高さが人気を集めた結果になっているが、一方でメインモデルやハイエンドをそろえる「Mi」「Xiaomi」シリーズが1機種も入っていない。双11では低価格モデルに人気が集まるとはいえ、Xiaomiとしてはここに上位モデルを食い込ませることが必要だろう。

HonorがHuaweiに代わるライバルに?

 それ以外のモデルを見ると、Honorからは「Play 20」「Play 5T」と2機種がランクイン。Honorの中国人気を実感させられる結果となった。HonorはHuaweiから分離後は存在感がなかったが、地道な製品展開により今では大手メーカーの仲間入りを果たした。しかもHonorはハイエンドモデル「Magic3」シリーズを投入するなど中国国内でのテクノロジーリーダーの座を狙っている。HonorはHuaweiのブランドであったことから知名度はあり、Honorの新製品には常に注目が集まっているのだ。折りたたみディスプレイやアンダーディスプレイカメラなど最新技術を採用するXiaomiだが、HonorがHuaweiに代わって大きなライバルになっていくかもしれない。

中国 存在感を復活させたHonorの最上位モデル「Magic3 Pro+」

 そしてトップ10にランキングしたもう1機種は「realme Q3s」。Snapdragon 778Gを搭載した1599元(約2万9000円)の低価格機で、このクラスの製品は他社からも多く出ておりブランド力の差が販売数に大きな影響を与える。realmeはOPPOから分離したブランドで、インド向けから中国に逆輸入された格好で展開されているが、価格の安さとブランドイメージの高さで若年層を中心に人気を高めている。価格と性能バランスはXiaomiのRealmeの好敵手であり、Xiaomiの低価格モデルの対抗勢力になっていくだろう。

中国 低価格だがブランド力の高いモデルを次々と出す「realme、Q3s」がトップ10入りした

ハイエンドモデルの販売をどう増やしていくか

 このように双11の結果を見るとXiaomiの強さは目立ったものの、売れたモデルはコスパや価格を重視したモデルだった。ハイエンドから低価格まで幅広いモデルを展開するHonorはXiaomiの製品ラインアップと全てがバッティングしていくだろうし、低価格モデルではrealmeの存在は脅威だ。Xiaomiは中国市場だけに特化してはいないものの、中国のみならず海外でもiPhoneに対抗しうるハイエンドモデルの販売数をどう増やしていくかなど課題はまだ多い。今後Xiaomiのハイエンドモデルが中国の大型セールでどれだけ販売数を増やしていくのか、注目したいところだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月02日 更新
  1. PayPay、他社クレカを「完全排除」せず 使うには“利用券”が必要に (2026年07月01日)
  2. 「メイドインジャパンでは飯が食えない」現実に挑む CIOが“国産充電器プロジェクト”始動、2026年秋に第1弾発売へ (2026年07月01日)
  3. 「au PAY」が2027年度以降に激変? 新生auフィナンシャルサービスが目指す“AIウォレット”への進化 (2026年06月30日)
  4. 5G向け26GHz帯の「電波オークション」の結果が判明 「全国枠」はドコモが62.88億円で落札 「地域枠」はJTOWERとハイテクインターが落札 (2026年06月30日)
  5. スマホ決済で「請求書払い」はどれがお得? d払い、au PAY、PayPay、楽天ペイを比較してみた (2026年06月30日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. d払い、dポイントのキャンペーンまとめ【7月1日最新版】 最大1万〜3万ポイント還元がめじろ押し (2026年07月01日)
  8. 楽天モバイルが「my 楽天モバイル」アプリを廃止 「Rakuten Link」アプリに順次統合へ (2026年06月30日)
  9. 「モバイルSuica」「モバイルPASMO」に障害 クレジットカードチャージやチケット購入などオンライン手続きがメンテナンスに【復旧済み】 (2026年07月01日)
  10. 中古スマホショップ運営の「イオシス」が丸紅の完全子会社に 創業者は代表取締役を退任 (2026年07月01日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー