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» 2021年12月11日 06時00分 公開

2万円台の“エントリースマホ”が増えている理由 割引でほぼ0円、3G停波の影響も石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

シャープ、サムスン電子、ソニー、FCNTなどからエントリースマホが続々と登場している。こうした端末が増えた背景にあるのは、2019年10月の電気通信事業法改正だ。フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換える機運が高まっていることも関係している。

[石野純也,ITmedia]

 2万円台のスマートフォンが、にわかに存在感を増している。シャープは、1月中旬にSDGsを全面に打ち出した「AQUOS wish」を投入。auがコンシューマー向けに採用した他、ソフトバンクも法人用端末として同モデルを導入する。FCNTも、3キャリアに2万円台前半で購入できる「arrows We」を納入した。ドコモが12月2日に発売したサムスン電子の「Galaxy A22 5G」も、2万円台前半のスマートフォンだ。

 同様に、ドコモにエントリーモデルの「Xperia Ace II」を投入したソニーは、上半期のシェアが急増。Androidスマートフォンのトップシェアを定位置にしていたシャープを小差で抜き、1位に躍り出た格好だ。各社が相次いでエントリーモデルを拡充している背景には、電気通信事業法改正や3G停波の影響がある。3万円から4万円程度のミドルレンジモデルに続く、新たな市場が拡大しつつあるようだ。そんな市場動向に迫っていきたい。

拡大するエントリーモデル市場、ソニーに続きシャープも参戦

 2万円台のスマートフォンの市場が、急速に拡大している。ソフトバンクは2021年2月にXiaomiの独占モデル「Redmi Note 9T」を発売。ドコモも、こうした動きに対抗する形でソニーのXperia Ace IIを5月に発売した。3キャリアから発売されるFCNTのarrows Weも、2万円台前半だ。単にキャリア各社がスマートフォンのラインアップを拡充しているだけでなく、販売も好調。特にXperia Ace IIは、販売ランキングの上位につけることが多く、ソニーのシェア拡大にも貢献した。

Xperia Ace II ドコモ独占モデルとして販売されているソニーのXperia Ace II。売れ行きは好調で、ソニーのシェア拡大に貢献した

 上半期には、長らくAndroidスマートフォンメーカーのシェアトップに君臨していたシャープを抜き、ソニーが1位に躍り出た。MM総研が発表した2021年度上半期(4月〜9月)の出荷台数調査では、ソニーがシェア10.7%を獲得。スマートフォンでは、Appleに次ぐ2位につけている。ソニーは、ミドルレンジの「Xperia 10 III」やフラグシップモデルの「Xperia 1 III」を発売しており、単一モデルでここまでのシェアを取れたわけではないが、前年度よりも出荷台数を大きく伸ばせたのは、エントリーモデルの影響が大きい。

ソニー MM総研が発表した2021年度上期メーカー別シェア。Androidスマートフォンメーカーとしてトップだったシャープが2位に転落。代わりにトップの座についたのが、ソニーだった

 サムスンもこうした動きに対抗するため、ドコモ専用モデルともいえるGalaxy A22 5Gを12月に発売している。Galaxy A22 5Gは、フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えるユーザーや、初めて携帯電話を持つ子どもをターゲットにした端末。防水・防塵(じん)やおサイフケータイに対応し、かんたんモードも備える。グローバルにもGalaxy A22という型番の端末はあるが、ドコモ版はスペックをさらに落としたいわば日本専用モデル。これも、2万2000円というリーズナブルな価格を実現するためだ。

Galaxy A22 ドコモが12月に発売したサムスンのGalaxy A22 5Gも、2万2000円と非常に安い

 このエントリースマートフォン市場に満を持して参入するのが、ミドルレンジモデルのAQUOS senseシリーズが高い人気を博しているシャープ。冒頭で述べたように、同社は1月中旬にAQUOS wishを発売する。AQUOS wishは、ボディーに再生プラスチックを使っている他、パッケージもリサイクルに出しやすいよう簡素化しているのが特徴。スペックはAQUOS senseなどのミドルレンジモデルよりもさらに低いが、防水・防塵やおサイフケータイなどの日本仕様はきちんとサポートしながら、5Gにも対応する。

AQUOS wish II シャープのAQUOS wishは、AQUOSシリーズのエントリーモデル。再生プラスチックを使い、“ソーシャルグッド”を全面に打ち出した

 AQUOS wishの価格はまだ発表されていないが、スペックはここまで挙げてきた2万円台のモデルに近く、2万円台で販売される可能性が高そうだ。エントリーモデルは、価格が安い分、使用をそぎ落とさなければならない。そのため、ハードウェアにコストをふんだんにかけられる端末と比べ、メーカーの“色”を打ち出しにくい。シャープがSDGsを全面に打ち出したのも、機能ではなくコンセプトで差別化を図るためとみていいだろう。

 他にも、KDDIと共同で開発したXiaomiの日本専用モデル「Redmi Note 10 JE」や、OPPOの「OPPO A54 5G」「OPPO A55s 5G」などが2万円台後半で販売されている。もともと日本のスマートフォン市場はハイエンドモデルが中心だったが、特に2019年以降、ミドルレンジモデルの割合が急増。さらに最近では、2万円台で購入できる、スペックを抑えたエントリーモデルが市場に定着しつつあることがうかがえる。

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