ソニーのスマートフォンが好調だ。MM総研が11月11日に発表した調査によると、2021年度上期における国内スマートフォンの出荷台数シェアでソニーがAppleに次ぐ2位に躍り出た。ソニーのスマホシェアは10.7%で出荷台数は157.1万台となり、前年同期比で51.8%もの増加となった。Androidスマートフォンに限っていえばシェア1位となる。
2020年のスマートフォン出荷台数シェアでは、ソニー(旧ソニーモバイルコミュニケーションズ)はシャープ、サムスン電子に次ぐ4位の7.6%だった。2021年度上期のスマホシェア3位はシャープの10.4%、4位はサムスン電子の10.1%となり、3社が10%台で激しいシェア争いを繰り広げている。シャープやサムスン電子はミッドレンジモデルを中心に販売台数を伸ばしており、決して苦戦しているわけではないことを考えると、ソニーの2位は大躍進といえる。
2021年度上期におけるソニーグループの決算を見ると、スマートフォン事業を含むエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションの売り上げは1兆1582億円(前年同期比+2634億円)、営業利益は1445億円(前年同期比+999億円)と増収増益を果たしている。第2四半期単体でも増収増益となっており、その要因に同社は「販売台数の増加によるスマートフォンの増収」を挙げている。
ソニーのスマートフォン(Xperia)事業はここ数年間、苦戦を強いられていた。特に、2017年度〜2019年度のモバイル・コミュニケーション(スマートフォン事業と固定通信事業)は減収減益に加えて赤字に見舞われ、グループ全体でも足を引っ張る格好となっていた。一方、2020年度は減収だったが、オペレーション費用を削減することで、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションは519億円の大幅増益となり、モバイル・コミュニケーションも赤字を脱却して277億円の営業利益を上げた。
では、ソニーのスマートフォン事業は、なぜ好転したのか。同社によると、「Xperia 10 IIIやXperia Ace IIといったミッドレンジ、エントリーモデルの販売が非常に好調で、フィーチャーフォンや他社からの買い替えでもお選びいただけたことが大きな要因」だという。確かに、Xperiaは当初からハイエンドモデルが中心で、国内ではミッドレンジモデルを積極的に発売してこなかった。
状況が変わったのが2019年だ。同年に国内で投入した「Xperia Ace」と「Xperia 8」を皮切りに、2020年には「Xperia 10 II」「Xperia 8 Lite」を、2021年には「Xperia 10 III」「Xperia 10 III Lite」「Xperia Ace II」といったミッドレンジモデルを投入している。
2021年の状況を見てみよう。Xperia Ace IIは5月発売にもかかわらず、BCNの「スマートフォン 月間売れ筋ランキング」の10月ランキングで前月に続いて6位にランクインしている。7月発売のXperia 10 IIIも、BCNの販売ランキングで長く上位に君臨しており、10月18日から24日の集計データで7位となっている。Androidスマートフォンに絞ったランキングだと、10月11日から17日までのように、Xperia Ace IIとXperia 10 IIIで1、2位を独占することもあった。
ドコモが販売しているXperia Ace IIは5G非対応ながら、2万2000円(税込み)という低価格が魅力。現行スマートフォンの中ではコンパクトな幅69mmのボディーを実現しており、画面サイズは初代モデルから0.5型アップした5.5型。容量4500mAhのバッテリーを内蔵し、防水やおサイフケータイにも対応するなど、必要十分なスペックを持つ。
Xperia 10 IIIは、ドコモ、au、Y!mobile(ソフトバンク)の3キャリアが取り扱う他、派生モデルのXperia 10 III Liteは楽天モバイル、IIJmio、mineo、goo Simseller、NUROモバイル、BIGLOBEモバイルといった幅広い事業者が取り扱っていることが特徴だ。こちらは5Gに対応し、10 IIIは5万円台、10 III Liteは4万円台で販売している。6.0型の有機ELや4500mAhバッテリー、Snapdragon 690、3眼カメラを備えており、Xperia Ace IIよりスペックは高い。
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