フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換える機運が高まっているのも、エントリーモデルの拡大を後押しする要因だ。間近に迫った3Gの停波を受け、各社とも“巻き取り”を徐々に加速させている。中でも2022年3月と最も停波が近いKDDIは、現在、3GやVoLTEに非対応のフィーチャーフォンやスマートフォンを利用するユーザーに対し、最新モデルへの買い替えを強く促している。
例えば、先に挙げたXiaomi製のRedmi Note 10 JEや、OPPOのOPPO A54 5Gに加え、サムスン電子の「Galaxy A21シンプル」や京セラの「BASIO4」は、3Gユーザーが無料で入手できるよう、割引が積み増されている。通信の世代交代や周波数移行に伴う割引は、キャリア都合でもあるため、2万2000円の上限を定めたガイドラインの例外になるからだ。
ただ、コストや公平性との兼ね合いもあり、キャリアだからといって割引を際限なく出せるわけではない。いくら巻き取りといっても、10万円以上するハイエンドモデルを無料にするのは難しいだろう。また、フィーチャーフォンのように電話やメールが中心の使い方であれば、性能的にはエントリーモデルで十分ニーズを満たすことができる。巻き取り対象のユーザーに無料で販売される端末の多くがエントリーモデルなのは、そのためだ。
他社より一足先に3Gを停波させなければならない事情もあり、KDDIはエントリーモデルの拡充に積極的だ。シャープのAQUOS wishも、いち早く採用を表明。日本市場向けにプロセッサの選定から共同で行ったRedmi Note 10 JEを投入したのも、巻き取りが念頭にあったからだ。キャリア各社はAndroidを大幅にカスタマイズしたLTE対応のフィーチャーフォンを用意しているため、3Gユーザーの乗り換え先が必ずしもスマートフォンになるわけではないが、長く機種変更していなかったユーザーの買い替えニーズが急増している。
3Gの停波は、ソフトバンクが2024年1月下旬、ドコモが2026年3月末に続く。ソフトバンクが約2年後、ドコモが約4年後と猶予期間はまだまだあるが、徐々にスマートフォンへの機種変更を検討するユーザーが増えていくことは間違いない。中でもドコモは、通信モジュールを除いた3Gの契約者数が2021年9月末時点で約758万と規模が大きい。このようなニーズに応えるため、エントリーモデルのラインアップは今後も増えていくことになりそうだ。
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