大手3キャリアの中で、最後発の電気サービスとなったドコモでんきだが、ドコモは、急ピッチで先行する2社を追い上げていく方針を掲げる。ドコモ ビジネスクリエーション部 サービス推進担当部長 小島慶太氏によると、2022年度末の目標数は150万契約。「収益規模は早期に1000億円以上にして、低圧部門で契約数ナンバー1を目指す」と鼻息は荒い。
ドコモは、料金値下げで減収傾向にある通信料収入を、スマートライフ領域と呼ばれる非通信領域でカバーしていく戦略を打ち出している。ドコモでんきも、スマートライフ領域の一環としてのサービスだ。2021年度上期のスマートライフ領域は、営業収益が5386億円に対し、営業利益が1234億円。法人などの「その他事業」を除いたスマートライフ事業は、営業収益3075億円、営業利益451億円となる。年間6000億円前後の営業収益だが、ここに1000億円が上乗せされるインパクトは大きい。
キャリアの中では最後発の電気サービスではあるが、KDDIが300万、ソフトバンクが200万契約を突破していることを踏まえると、よりユーザーの母数が大きいドコモなら、そこに迫れるポテンシャルはある。1年で150万契約を超えた後は、早期に先行するKDDIと同等の300万契約を目指す。「(営業収益)3000億円は1つのキーワードになる」(同)というのが、ドコモの考えだ。売上の規模感では、スマートライフ事業の柱の1つを目指した事業といえる。
電気サービスからの直接的な売上だけでなく、他事業とのシナジー効果を出していくのもドコモの狙いだ。先の三ケ尻は、「インフラのワンストップサービスとしてご提供したい」と語る。dカードやd払いといった決済サービスや、ドコモ光などと一緒に提供することで、窓口をドコモに一元化できる。また、還元率を最大化するには、dカードGOLD利用が欠かせない。そのため、ドコモでんきと一緒にdカードGOLDを契約するといったシナジー効果も生まれそうだ。
こうしたサービスのセット契約は、モバイル回線の解約率を抑える効果があることは他社が証明済み。生活インフラとも呼べるサービスを一元化していれば、そのぶん、ユーザーの手間が減るだけでなく、料金的なメリットもあるからだ。三ケ尻氏も、「dカードGOLDを通じた10%還元もあるので、弊社のサービスをより長くお使いいただけるよう努めていきたい」と語る。
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