5G Evolution & 6Gに向けて検討されている技術は、大きく8つの分野がある。
こうしたドコモが行っている研究開発の成果から、中村氏は「置くアンテナ」「HAPS」「6Gシミュレーター」について取り上げた。これらは実際に会場に展示され、デモンストレーションを見ることができた。
以前、ドコモはフレキシブルにエリアを作れる「つまむアンテナ」を披露したが、置くアンテナは、ケーブル(誘電体導波路)の上に、プラスチック片でできたアンテナを置くだけで電波が放射され、周囲をエリア化できる。誘電体導波路を壁や床に埋め込むような施工だとケーブルがつまめない。これだと置いただけでもアンテナになるのが利点だという。
エリアカバレッジを飛躍的に広げる技術が、「非地上(Non-Terrestrial)」ネットワークといわれるカバレッジ拡張技術だ。空、宇宙にエリアを広げるために、衛星やHAPS(成層圏を長時間飛ぶ基地局を搭載した無人飛行機)などが研究されている。
2021年夏にはドコモとエアバスによる実験も行われた。エアバスのHAPS「Zephyr S」が、高度20キロの成層圏から電波を地上に送信して伝搬状況を測定した。「距離20キロは、地上でもそれくらいの距離があるので、あまり難しくないですね。いろんな周波数で測定して、使えるんじゃないかという手応えは確認したという状況」(中村氏)
なお、衛星は1機で広いエリアをカバーできるので、効率的にエリアを作ることができる。衛星とHAPSは「適材適所で使っていくだろう」と語っていた。
人が使うデータだけでなく、モノが通信して使うデータによって、トラフィック量は「まだ飛躍的に伸びる」と中村氏は期待を寄せる。すると、さらなる大容量化を図る必要があり、THz(テラヘルツ)を含む高い周波数帯の利用も検討されている。ただ、「課題は山盛り」(中村氏)だ。THzに対応したデバイスがないので、デバイスから開発しなくてはならない。
そこで、まず6Gの高速通信評価のためのシミュレーターを開発した。このシミュレーターでは工場を想定し、100GHz帯の8GHz幅を利用して100Gbps以上のスループットを達成したという。
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