6Gのユースケースとして、中村氏が「ちょっとぶっ飛んだ方向」として紹介したのが、人間の感覚をモバイルネットワーク経由で伝えることができる「人間拡張基盤」だ。
「超高速で超低遅延なネットワークは、人の神経相当になりえるわけです。また、さまざまなセンサーがあるので、最新のセンサーを使って人間の動き、果ては感情まで取り出せないかと考えています。そういうものをデータとして取り出し、ネットワークに送ることができれば、それを(人間拡張基盤で)処理、蓄積、分析して、リアル社会、アクチュエーターで活用できる。そうすることで、いろいろなサービスができてくる。社会課題解決になるとも思います」(中村氏)
動作を把握するセンシングデバイスで取得した動きのデータをこの基盤に送ると、動作を再現するアクチュエーターを通して人間やロボットにリアルタイムに伝えることができるという。また、データは蓄積できるので、熟練者の技術を保存し、後継者に伝えることも可能になる。
「いわゆるテレパシー、テレキネシスが、もうSFの世界ではなくなる。脳波も取り出せる」(中村氏)。現在はまだ初期段階だが、「かなり面白いものができた」と自信を見せる。
この他にも、会場では多くのデモが行われていた。そのごく一部だが、以下で紹介しよう。
奥のロボットの頭上カメラが写しているスマホを遠隔から操作すると(ここでは手前のスマホを使っている)、ロボットがスタイラスペンで再現してくれる。スマホの操作に慣れない人を支援するロボットで、遠隔サポートなどでの利用を想定。ロボットが目の前で実際にタップ、スワイプして操作するので、オペレーターの遠隔操作より抵抗感を覚える人が少ないという。操作するロボットがけなげで好印象だった。
PCのカメラが取得した男性の表情や視線データをリアルタイムに伝送し、画面左のタブレット上に3Dアバターで再現している表情伝送のデモ。一見、iPhoneの動く「ミー文字」に似ているが、あちらは事前に保存されている表情から似たものを呼び出して表示しているだけだという。ドコモのこの技術は実際に表情を読み取り、それをアバターで再現して表示している。
VR空間内に展示会やバーチャルタウンを提供できるシステム「DOOR」を体験できるコーナーも用意されている。docomo Open House'22のサイトで提供されている「ウルトラマン リアルタイムモーションキャプチャーラボ」や「Perfume-Volumetric video performance-」などが現地でタブレットやOculusで体験できた。
触覚を伝送/再生するリアルハプティクス技術のデモ。リアルハプティクスがオンの状態では、適度な重さを感じながらステアリング・ホイールを回せるが、リアルハプティクスをオフにすると重さをまったく感じなくなる。触覚の拡大縮小が可能で、遠隔操作時のミスを防ぐ。
車内で仮想空間が体感できる「5Gデモバス」が「6G-IOWNデモバス」としてリニューアル。13K超のワイドスクリーンと5.1chサウンドで5G Evolution & 6G powered by IOWNの世界観を紹介していた。
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