「ドコモ社長交代」や「NTTドコモ・グローバル設立」の背景は? NTTグループ決算説明会で語られたこと(1/3 ページ)

» 2024年05月10日 21時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 NTT(日本電信電話)は5月10日、2023年度(2023年4月〜2024年3月)の通期連結決算を発表した。前年度比で増収増益の決算となり、特に営業収益/営業利益/当期利益については過去最高を更新した。同社の子会社で「総合ICT事業」を担うNTTドコモも増収増益の決算となったが、法人事業やスマートライフ(非通信)事業がけん引したもので、コンシューマー通信事業はほぼ横ばい(わずかな減収減益)となった。

 この記事では、同日に行われた報道関係者向け決算説明会の中から、注目すべきやりとりをまとめる。

NTTの決算 NTTの2023年度連結決算の概要。主要な指標のうち、営業収益/営業利益/当期利益は過去最高だった
NTTの増減表 NTTにおける営業収益と営業利益の増減表
NTTドコモの決算 NTTドコモの2023年度連結決算の概要。全体としては増収増益となっている
セグメント別 NTTドコモグループとしてのセグメント別の決算の概要。増収増益のけん引役は法人事業とスマートライフ事業で、コンシューマ通信事業はほぼ横ばいとなっている
NTTドコモの増減表 NTTドコモにおける営業収益と営業利益の増減表。法人セグメントではPSTN(従来式固定電話)のIP網移行に伴う減収があった。コンシューマ通信事業では「irumo」「ahamo」といった低/中価格料金プランの普及に伴う減収を、機器の収益改善やコスト効率化によって吸収したが、総じて2億円ほどの減収になってしまった

NTT目線で見る、重要子会社の新社長たち

 今回の決算公表に合わせて、ドコモとNTTコミュニケーションズ(ドコモ子会社)は6月14日付で社長を交代することを発表した。

 ドコモの新社長には、前田義晃副社長が就任する。同氏は同社としては初めてのNTT出身“ではない”社長となる(※1)。NTTコミュニケーションズの社長には、小島克重常務が就任する。小島氏はNTT出身で、NTTコミュニケーションズでは主に法人営業を担当してきた。同氏はドコモの取締役も兼任する。

 今回の人事は経営体制の“若返り”が目的の1つだという。ドコモの井伊基之社長と、NTTコミュニケーションズの丸岡亨社長は代表取締役も辞任し、それぞれの会社の相談役となる。

(※1)前田副社長は2000年、リクルートから転職する形でドコモに入社している

 なお、NTTデータグループも6月18日付で社長を交代し、同社の子会社であるNTTデータの佐々木裕社長が兼務する体制となる(参考リンク)。

ドコモは社長を交代 NTTドコモの現社長の井伊基之氏(左)と、新社長に就任する前田義晃副社長(右)。前田副社長は中途採用でドコモに入社した経歴の持ち主で、同社としては初めてNTT出身“ではない”社長となる。井伊氏は社長退任後、ドコモの相談役に就任する
NTTコミュニケーションズも新社長に NTTコミュニケーションの現社長の丸岡亨社長(左)と、新社長に就任する小島克重常務(右)。丸岡氏は社長退任後、NTTコミュニケーションズの相談役に就任する

 NTTの重要な子会社(※2)において社長が一気に交代する――決算説明会では、NTTの島田明社長に子会社の社長人事に関する質問が行われた。

(※2)厳密には、NTTから見るとNTTコミュニケーションズは“孫会社”となる


―― NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTデータグループの新社長は、(親会社の社長として)どのような能力を評価して選んだのでしょうか。また、3社の社長に期待する役割を教えてください。

島田社長 まず、3人共に(現在の各社の社長よりも)かなり若返ることになります。ドコモの前田さんは54歳ですし、NTTコミュニケーションズの小島さんとNTTデータグループの佐々木さんは58歳と、3人共に50代です。新しい世代に、次の戦略を構築してもらいたいと考えています。

 ドコモの前田さんは、ずっとスマートライフ事業をけん引してきました。スマートライフ事業はもちろんですが、グローバル事業を始めとして、新たな事業分野への挑戦が続きます。今まで“新しい事業”をけん引してきた前田さんが、それをさらに飛躍させることは重要だと思っています。

 NTTコミュニケーションズの小島さんは、長年法人営業に携わってきました。最近は統合ソリューション、特にモバイルやセキュリティが一体化されたソリューションを積極的に推進して成果を残しています。そういう意味では、新しい人(小島氏)が社長になることの期待は大、ということになります。

 NTTデータグループの佐々木さんは、既に国内事業を統括するNTTデータの社長を務めていて、同社は今回の決算でも素晴らしく成長しています。新しい人事では(海外事業を統括する)NTT DATA, Inc.の社長はアビジット・デュベイ(Abhijit Dubey)さんに交代しますが、2人は懇意にしていて、共に(NTTデータ)グループ全体を引っ張ってくれていくと確信しています。

 3人には、大きな期待をしています。

島田社長 重要な子会社の新社長について語るNTTの島田明社長
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