今回の決算説明会では、ドコモが海外事業を統括する子会社「NTTドコモ・グローバル」を設立することを発表した。同社は「グローバル事業企画」という商号で準備会社として設立(登記)済みで、7月1日の事業開始に合わせて商号変更を行う予定だ。
NTTドコモ・グローバルは7月に設立される予定で、設立後はドコモ傘下にある海外事業会社(NECとの合弁会社である「OREX SAI」を含む)を順次移管することで海外事業統括会社に仕立てていく……のだが、NTTグループという広い視点に立つと、NTTデータグループにも海外事業統括会社「NTT DATA Inc.」が存在する。
今回の決算説明会では、NTTとドコモ双方に対してNTTドコモ・グローバルに関する質問が寄せられた。
―― NTTドコモ・グローバルを立ち上げるということですが、海外事業をまとめる会社を作ることの意義は理解できます。一方、NTTグループを見渡すと、再編によってNTTデータグループ(NTT DATA Inc.)に海外事業をある程度まとめられたところだと思います。NTTドコモ・グローバルとNTT DATA Inc.が連携するとシナジー(相乗効果)が出せそうな気もするのですが、今後はそのような方向も考えられるのでしょうか。それとも、NTTドコモ・グローバルはあくまでも“コンシューマー向けの”グローバル事業を統括する会社として、NTT DATA Inc.とは違った成長を求めていくのでしょうか。グループフォーメーションの考え方を教えてください。
島田社長 NTTドコモ・グローバルを作る決断をした背景として、NTT DATA Inc.がB2Bのビジネスを展開する中で、そこにB2Cビジネスを加えるとなると求められる人材リソースが異なるという点があります。国内でB2Cビジネスを頑張ってきたドコモの傘下で、(海外における)B2CあるいはB2B2Cビジネスをうまくできないか――以前から模索はしていました。
きっかけの1つとして、ドコモにおいて「『Web3』のビジネスを立ち上げよう」という段階になったことがあります。これを中心として、B2C/B2B2Cビジネスを拡大しようと。詳細は、(ドコモの)井伊社長に聞いてみてください。
―― NTTグループ全体を見ると、海外事業の展開に苦戦してきた過去もあります。なぜ、このタイミングで新会社を作って海外に打って出ようと考えたのでしょうか。
島田社長 詳細は井伊社長に聞いてほしいのですが、先ほど言った通り「お客さま」が違うことはもちろんですが、新たな「仕組み作り」も必要だということです。
NTT DATA Inc.のリソースで対応できるお客さまであれば、そのリソースを使えばいいわけです。しかし、(ビジネス的に)それとは異なる人材を集めて展開しなくてはいけないと考えました。
実は、東南アジアで展開しているペイメントビジネスは、NTT DATA Inc.ではなく(元々決済分野が得意な)日本の事業会社であるNTTデータが手掛けています。事業分野や得意分野によって、集まる人のスキルやケイパビリティーも異なるのです。そういうことから、今回は(ドコモ傘下に)別の会社を作って対応した方が早いと判断しました。
今後、新会社がおかげさまで業容を拡大できた場合は、また似たようなこと(NTTグループ内での事業再編)を行う必要が出てくるかもしれません。その際は、その時々のチームがグローバルビジネスを成長させてくれると確信しています。
―― NTTの会見でも出てきた海外事業(NTTドコモ・グローバル)について、海外での新規事業はどのようなものを想定しているのでしょうか。差し支えのない範囲でお聞かせください。
井伊社長 本来は新会社の社長である栗山(浩樹氏)が説明すべきだと思うのですが、B2C分野では「デジタル金融の決済」「デジタルリテール」といったWeb3を使った新しいサービスを考えています。またB2B2C分野では「キャリアイネーブリング(※3)」「データプラットフォーム」「グローバルコネクテッドサービス」を考えています。お客さまのニーズを踏まえて、あるいはお客さまとご相談しながら展開していくことになると思います。
なお、NTTドコモ・グローバルについては、後日説明会を別途開催する予定です。
(※3)他のモバイル通信事業者に対して、商用通信環境の販売/構築/運営支援を行う事業。楽天グループも「Rakuten Symphony(楽天シンフォニー)」を通してキャリアイネーブリング事業を展開している
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