5Gが創出する新ビジネス
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» 2021年07月06日 17時09分 公開

“つまむアンテナ”や海外向けローカル5Gも ドコモがMWC Barcelonaの出展内容を披露MWC Barcelona 2021(1/2 ページ)

NTTドコモは2021年6月28日、「MWC Barcelona 2021」にオンライン出展していた内容を、国内で記者向けに公開。カヤックの遠隔操作や6Gに向けた「つまむアンテナ」などが含まれる。5Gの本格活用や、その次の世代となる6Gに向けて同社が開発した技術などを体感することができた。

[佐野正弘,ITmedia]

 NTTドコモは2021年6月28日、「MWC Barcelona 2021」にオンライン出展していた内容を公開。5Gの本格活用や、その次の世代となる6Gに向けて同社が開発した技術などを体感することができた。

 スペイン・バルセロナで毎年実施されている携帯電話の世界最大の見本市イベント「MWC Barcelona」。新型コロナウイルスの影響で2020年は開催直前に中止となってしまったが、2021年はリアル会場に加えオンラインでも開催することにより、6月28日から7月1日まで開催された。

 だがコロナ禍の影響が現在も続いていることもあって、多くの企業はリアルでの出展を取りやめ、オンラインで出展している。毎年MWC Barcelonaに出展しているドコモも今回はオンライン出展にとどまっていたが、6月28日に国内のメディア向けに、その出展内容をリアルで紹介する展示会を実施している。

ドコモ NTTドコモはオンライン出展となった「MWC Barcelona 2021」の出展内容をリアルで紹介するイベントを実施。代表取締役社長の井伊基之はバーチャルで登場した

カヤックの遠隔操作や6Gに向けた「つまむアンテナ」も

 会場では、主に同社の5Gや6Gに向けた最新の取り組みについて紹介した。その1つ目となるのは、5Gと「BodySharing」という技術を活用し、遠隔でカヤックを操作するというシステムだ。

ドコモ 5Gと「BodySharing」によるカヤックの遠隔操作デモ。専用のパドルでカヤックを操作すると、5Gを通じて離れた場所にあるカヤックのロボットを操作できるというものだ

 これは、VRゴーグルを装着した体験者が専用のパドルを持って操作することにより、5Gのネットワークを通じてその動きを離れた場所にあるカヤックのロボットに伝え、遠隔操作するというもの。ロボットに付いたカメラとVRゴーグルを通じて、現地の映像を見ながら操作できるだけでなく、BodySharingによってこいだときの水の抵抗がフィードバックされるなど、実際にカヤックに乗っているかのような体感を得られる。

ドコモ 遠隔操作されているカヤックのロボット。5GとBodySharing技術を通じて、水の抵抗などを操縦者のパドルに反映させることで、リアルな動作感が得られるという

 ちなみにこのシステムでは、現地の映像を高精細画像で伝える高速大容量通信に加え、操作をすぐ反映させる必要があるため低遅延も求められる。そこでMEC(Multi‐access Edge Computing)の要素を備える「ドコモオープンイノベーションクラウド」を経由することにより、低遅延を実現しているとのことだ。

 2つ目は5Gの拡張、そして6Gに向けた取り組みである。1つはHAPS(高度疑似衛星)を活用してエリアカバーを広げる取り組みであり、同社ではAIRBUSとパートナーシップを結んでHAPSを展開、半径約50kmのエリアで最大10Gbps級のエリア構築が期待できるとのこと。さらにHAPSによるカバレッジの拡張技術を評価するためのシミュレーターも開発しているとのことで、HAPSで期待されるユースケースやその評価に活用していくとしている。

ドコモ HAPSによるエリア拡張を評価すべく開発されたシミュレーター。カバーエリアに加え、用途に応じた接続先や求められる通信速度などを確認できる

 そしてもう1つは、屋内のカバレッジ対策に向けた「つまむアンテナ」という技術である。これは5Gや6Gで使用する高い周波数帯の電波を伝送する、フッ素樹脂などで作られた「誘導体導波路」を建物内に配線しておき、その任意の場所を「別誘電体」で“つまむ”ことで電波を漏えいさせ、つまんだエリアの周辺をエリア化するという仕組みだ。

ドコモ 「つまむアンテナ」の説明。あらかじめ敷設しておいた誘導体導波路を、別誘電体でつまむことにより、その場所から電波を漏えいさせてエリア化する仕組みだ

 電波をケーブルから意図的に漏えいさせてエリアをカバーするという手法は、地下鉄のエリアカバーなどにも用いられているものだが、つまむアンテナの利点は建物内のレイアウトが変化したときに、5Gや6Gの高い周波数を用いて柔軟なエリア構築が可能な点にあるという。5Gの利用が期待される工場などではそうしたレイアウトの変更がなされることが多いというが、あらかじめ誘導体導波路を設置しておけば、つまむ場所を変えるだけで変更後のレイアウトに柔軟に対応できるようになるわけだ。

ドコモ 白いケーブルのようなものが誘電体導波路で、それを別誘電体が付いた洗濯ばさみで“つまむ”ことで、壁で遮られた場所にも5Gや6Gの電波を届けられるようになる
ドコモ 洗濯ばさみの挟む部分についているのが別誘電体だ

オープンRANの海外展開で5Gソリューションも拡大

 3つ目はオープンRANの海外展開に向けた取り組みだ。ドコモは基地局など無線アクセスネットワーク(RAN)を、特定の機器ベンダーに依存しないオープン化に力を入れており、2018年には海外の主要携帯電話会社らと、オープンRANのインタフェース「O-RAN」の仕様を策定する「O-RAN Alliance」を設立。2021年2月にはさらにIntelやNVIDIA、Qualcommなどと、海外の携帯電話会社にオープンRANを広めるべく「5GオープンRANエコシステム」の協創を発表している。

 その具体的な取り組みとして、ドコモは海外の携帯電話会社がオープンRANに対応した仮想化RAN(vRAN)を利用した検証をしやすくするよう、海外から利用できるvRANの検証環境を2021年下期より提供する予定。さらにAI技術を用いてRANを制御することにより、通信品質向上や運用コスト低減などを実現する「RIC」(RAN Intelligent Controller)の技術導入も進めていく方針を示している。

ドコモ ドコモでは、海外の携帯電話会社がオープンRANの検証をしやすくするよう、オープンRANに対応したvRANの検証環境を国内に設置し、海外から利用できるようにするとしている
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