4つ目はそのO-RANの技術を活用し、海外での5Gソリューション拡大に向けた取り組みとなる「海外法人5Gソリューションコンソーシアム(5GEC)」だ。5GオープンRANエコシステムと同じく、2021年2月に発表されているものだ。
こちらは場所を限定した5Gネットワークを構築する、国内でいう「ローカル5G」に相当するネットワークを海外でも展開し、それを活用した法人ソリューションを提供していくというもの。さまざまなベンダーの機器に対応できるO-RANの活用で、国によって割り当てが異なる周波数帯の違いからくる無線装置の差分を吸収。企業に応じた最適なネットワーク環境を提供することで、海外でも5Gを活用したスマートファクトリーなどのソリューションを実現することが目的となる。
ドコモではタイを皮切りとして、日系の企業が多く進出しているアジアの国々を中心としながら、5GECを通じたソリューションを提供していきたいとしている。ただ海外では日本と異なり、ローカル5G用の周波数割り当てがない国が多いが、そうしたときは現地の携帯電話会社とのパートナーシップで、その会社のネットワークを使いながらローカル5Gに類する仕組みを提供していくとのことだ。
5つ目は「5Gクロスボーダー基盤」を活用した遠隔作業支援である。これはドコモオープンイノベーションクラウドと海外キャリアの5Gネットワークを、専用のネットワークを通じて直接接続することで、セキュアで安定した海外との通信を実現するものだ。
会場ではその具体的な取り組みとして、ARスマートグラスの「AceReal」を活用し、日本とタイとで5Gを通じた遠隔での作業支援デモを実施。タイにいるスタッフが装着しているAceRealのカメラからの映像に直接指示を入れ、それをAceRealの画面に写し出すことにより、タイのスタッフが指示を見ながら正しい配線をする様子が披露されていた。
そして6つ目は「ABALシステム」だ。こちらは5Gと直接関係するわけではないのだが、多階層のVR空間で自由に移動したり、共通の体験ができたりするなど、VRの体験を向上させる仕組みである。
このシステムでは参加者がVRゴーグルを装着し、エレベーターのような動きで移動しながら複数の異なる空間を体験できる。他の参加者は3Dアバターとして表示されるので、複数人で同じ空間を自由に動き回りながら共通した体験を得られる他、離れて参加する人と2Dによるビデオチャットもできる。
このABALシステムは2021年3月に、東日本旅客鉄道(JR東日本)やJR東日本スタートアップらと東京駅で実施した「未来の物産展from青森」でも活用されていたもの。その際は空間の共有やコミュニケーションだけでなく、青森の風景を見ながらVR空間上でご当地グルメなどを直接購入できる仕組みなども用意されていた。そうしたことからドコモは、今後ABALシステムを、新しい購買体験の提供や観光促進などに活用していく考えを示している。
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