世界を変える5G

「使い放題+エンタメ」プランを強化するau 5Gの利用拡大だけでない、もう1つの狙い石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2022年01月29日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 5Gやデータ容量が無制限の料金プランを主力にしていたauだが、2021年は低価格ブランドのUQ mobileやオンライン専用ブランドのpovo、povo2.0に話題が集中していたこともあり、その陰はやや薄くなっていた。ユーザーから中容量の料金プランを求められていたこともあり、auブランド単体で見ると純減傾向が続いている。他社への流出は止まりつつあるが、KDDI内でのブランド変更するユーザーが多いからだ。

 同一キャリア内でのブランド変更が増えれば、ユーザー数の規模は維持できる。一方で、UQ mobileやpovoは料金が安いこともあり、1ユーザーあたりからの平均収益であるARPUは低下してしまう。大手キャリアは、通信料収入だけに依存しないビジネスモデルへの移行を進めているが、同時に、トラフィックが増える5Gを促進して、ARPUの低下に歯止めをかける必要もある。そんな中、KDDIは得意のパックプランに新たなサービスを追加した。「使い放題MAX 4G/5G DAZNパック」がそれだ。

au KDDIは、2月下旬のauのパックプランを拡大。DAZNがセットになったDAZNパックが加わる

DAZNがわずか1100円になる「DAZNパック」を開始、ALL STARパックも改定

 このプランは、auの「使い放題MAX」と、スポーツ専門動画配信サービスDAZNがセットになったもの。ユーザーにとってのメリットは、それぞれのサービスを個別に契約するより、料金を抑えられるところにある。この特徴は、auのパックプラン全てに共通しているが、DAZNパックは値引き幅が特に大きい。DAZNは2月から、約1.5倍の月額3000円(税込み、以下同)に料金を値上げすることもあり、DAZNパックのお得さが際立っている。

au DAZNは、2月22日から月額料金を1925円から3000円に値上げする。これにより、差額1100円で使えるDAZNパックのお得さが際立った

 各種割引適用前の“素の料金”は8338円。「家族割プラス」で3人以上契約した場合や、固定回線などとセット契約が条件になる「auスマートバリュー」を適用した場合、それぞれ1100円の割引を受けることができる。料金の支払いをau PAYカードに設定すると、「au PAYカードお支払い割」の対象になり、さらに110円料金が下がる。こうした割引を全て適用した際の料金は、6028円だ。

au 各種割引をフル適用すると、料金は6028円まで下がる。なお、使い放題MAXにはテザリングなどの通信に30GBという制限があるが、DAZNパックはこれが60GBに引き上げられる

 これに対し、使い放題MAX単体の料金は7238円。上記と同じ割引を適用すると、料金は4928円に下がる。割引の条件や額は変わらないため、DAZNパックと使い放題MAX単体の差額は常に1100円になる。先に述べたように、DAZNは2月から3000円に値上げされるため、使い放題MAXとDAZNをそれぞれ別個に契約するのと比べ、料金は1900円安くなる計算だ。

 パックになっているため、割引がどちらにつくかは明確ではないが、もともと使い放題MAXに加入していたユーザーにとっては、3000円のDAZNが1100円で使える計算になる。逆に、DAZNに加入し、3000円を払うつもりだった人には、使い放題MAXが5338円になると見なすこともできそうだ。いずれにしても、1900円割引のインパクトは大きい。

 DAZNパックの導入に合わせ、KDDIは「使い放題MAX 5G ALL STARパック」にひも付けるコンテンツも拡充した。2020年6月開始当初のALL STARパック(当時の名称はデータMAX 5G ALL STARパック)は、Netflixのベーシックプラン、Apple Music、YouTube Premium、TELASAの4サービスがセットになっていた。料金は9988円と、1万円をわずかに下回る金額だ。この4サービスに、先のDAZNとクラウドゲームプットフォームの「GeForce NOW Powered by au」、さらに「Amazonプライム」が加わる。

au 2020年からサービスを続けてきたALL STARパックにも、DAZNやGeForce NOWが加わる。表には記載されていないが、Amazonプライムもセットになる。全サービスを合算した金額は9248円相当

 しかも、料金は9988円のまま据え置かれている。それぞれの月額料金は、DAZNが3000円、GeForce NOWが1980円、Amazonプライムが500円。合計すると、5480円分のサービスが加わる計算になる。これまでのALL STARパックは計3768円4サービスが付いて、使い放題MAXより2750円高くなっていたため、1018円お得になる。ただ、4サービスのうち1つでも不要なものがあると、単独で契約していくとのほとんど差がなくなってしまうのが難点だった。3サービスが加わったことでお得感が増し、より幅広いユーザーを狙えるようになったと評価できそうだ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. 縦折りスマートフォン6機種のスペックを比較する サイズ/カメラ/価格の違いは? (2024年04月17日)
  2. ソフトバンク版iPhone 15 Pro、Pixel 8 Proの一部容量が実質24円(※別途費用あり) 1年で買い替える人向け「新トクするサポート(プレミアム)」の内訳とは (2024年04月17日)
  3. 「ポケモンGO」大幅アップデート より自分に近いスタイル変更、現実世界を反映したビジュアルなど (2024年04月16日)
  4. Back Marketの「リファービッシュ製品」が中古と違うワケ 売れ筋はiPhone 13、バッテリー“100%保証”の計画も (2024年04月17日)
  5. 「改正NTT法」が国会で成立 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが「強い懸念」表明 (2024年04月17日)
  6. 「なめてんの?」前澤友作さん、Metaの“他責的声明”に激怒 著名人なりすまし広告問題で (2024年04月17日)
  7. HMDとハイネケン、透明で“退屈な”折りたたみ携帯を発表 (2024年04月17日)
  8. 最新のXperia発表か ソニーが「Xperia SPECIAL EVENT 2024」を5月17日に開催 (2024年04月17日)
  9. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  10. ソフトバンク、「新トクするサポート(プレミアム)」を4月18日に開始 対象機種は? 現行プログラムとの違いは? (2024年04月16日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年