一人勝ちのahamo、楽天モバイルの逆襲 2021年の“携帯料金競争”を振り返る石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2021年12月31日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 2021年は“料金値下げ”がかつてないほど注目された1年だった。中でも話題を集めたのは、2020年12月に発表されていたドコモのahamoだ。20GBの中容量ながら、オンラインに特化することで2970円(税込み、以下同)の料金を実現。他社の対抗プランに再対抗しつつ、税込みで3000円未満に抑えるために行ったサービス開始前の値下げも、ahamoの注目度を高めることに貢献した。一方でKDDIはpovo、ソフトバンクはLINEMOを新たに立ち上げ、ドコモに対抗。KDDIはpovoを9月にpovo2.0に刷新、ソフトバンクは7月にLINEMOのミニプランを導入するなど、いったんスタートした料金プランも目まぐるしく改定された。

ahamo 2021年はドコモのahamoをきっかけに、携帯電話の料金が大きく動いた1年だった。写真は2020年12月の発表会で撮影したもの

 オンライン専用プランの陰に隠れてやや印象は薄くなっていたが、ユーザー獲得ではKDDIのUQ mobileや、ソフトバンクのY!mobileが健闘した。オンライン専用プランは、店頭でのサポートが受けられないため、利用のハードルはやや高くなる。UQ mobileやY!mobileは、従来通りのサポートを提供しながら低料金でサービスを行っているのが人気の秘密だ。特に、UQ mobileはauでんき、UQでんきや固定回線とのセット割で、3GBプランが990円になるなど、オンライン専用プラン顔負けの安さでユーザーの支持を集めている。

 オンライン専用プランやサブブランドに押され、第4のキャリアとして2020年に本格参入した楽天モバイルも、料金プランを改定した。1GB以下が0円になる「Rakuten UN-LIMIT VI」はユーザーからも好評で、ユーザー数は順調に拡大している。こうした動きに対抗すべく、先に挙げたpovo2.0は基本料を0円に設定。格安を売りにしていたMVNOも、相次いで料金を値下げし、低容量の領域を強化した。ここでは、MMO、MVNOを巻き込んだ値下げ合戦が繰り広げられた2021年を振り返りつつ、2022年以降のモバイル市場を展望していきたい。

Rakuten UN-LIMIT VI 楽天モバイルのUN-LIMIT VIも1GB以下0円を打ち出し、大きな話題を集めた

ahamoをきっかけに動き出した料金値下げ、povoやLINEMOは料金改定も

 菅義偉前首相や総務省が携帯電話の値下げを要請したのは、2020年のこと。その引き金を最初に引いたのは、ドコモだった。同社は2020年12月にオンライン専用プランのahamoを発表。2月には料金を3278円から2970円に値下げした。開始前の料金プランが改定されるのは異例のことだ。

 発表当初はドコモ内からのプラン変更でもMNPやSIMカードの交換が必要になる“サブブランド的な仕様”だったが、こうした手続きもサービス開始前に改められた。ファミリー割引の人数にカウントされるようになったり、継続契約年数を引き継げるようになったりと、2020年12月の発表から、徐々にメインブランドとして必要なスペックを満たしていった印象を受ける。

ahamo ahamoは、導入前に料金を改定。3278円から2970円に値下げされた

 異例ともいえるサービスイン前の料金改定に踏み切った理由は2つあった。1つは競争が激化し、他社がオンライン専用プランで対抗してきたため。もう1つは総額表示で3000円を下回るためだ。動機として大きいのは、前者の他社対抗だろう。

 時系列で見ていくと、1月にKDDIがpovo(現・povo1.0)を発表、2月にはソフトバンクがLINEMOを正式発表している。いずれのサービスも、ahamoがセットにしていた5分間の準音声通話定額を外し、当初のahamoより安い2728円を実現した。対するドコモは、5分間の音声通話定額を付けたまま値下げすることで、通話料を含めた割安感を訴求したというわけだ。

povo KDDIは1月に発表したpovoで、2728円を打ち出した。5分の準音声通話定額を外し、その分を値下げした格好だ
LINEMO もともとは発表時のahamoと同じ料金体系だったLINEMOも、開始前にpovoに追随。準音声通話定額をオプションにして、2728円に値下げした

 サービス開始前からつばぜり合いが続いていたオンライン専用料金プランだが、ふたを開けてみると、ahamoが一人勝ちの様相を呈していた。事前エントリーは250万を突破。契約者数も8月には180万、11月には200万を超えている。ドコモ内の料金プラン変更が相次いだ他、他社からの流入も増えたことがユーザー数急増の理由。MNPで負け続けていたドコモが、ahamoの導入で他社に一矢報いた格好だ。

 一方で、KDDIのpovoやソフトバンクのLINEMOは、導入から間もないタイミングで相次いでサービスを改定した。最初に動いたのは、ソフトバンクのLINEMO。同社は、よりデータ使用量の少ないユーザーにターゲットを合わせ、3GBで990円の「ミニプラン」を7月に導入した。KDDIはpovoをpovo2.0に全面的に改訂。基本料を0円にしつつ、トッピングでデータ容量をある程度自由に変更できる仕組みを導入した。povoはリニューアルで勢いを増し、10月には100万契約を突破している。

LINEMO ソフトバンクは、7月にLINEMOのミニプランを開始。低容量ユーザーを取り込む構えだ
povo KDDIは、povoを約半年で全面リニューアル。トッピングを前提したpovo2.0を9月に開始した
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