世界を変える5G

「使い放題+エンタメ」プランを強化するau 5Gの利用拡大だけでない、もう1つの狙い石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2022年01月29日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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5G拡大に合わせて強化するパックプラン、今後の課題は?

 KDDIのもくろみが当たったこともあり、auからUQ mobileやpovoといった低価格ブランドへの流出は、当初の想定以上に少なくなっているという。高橋氏によると、「auからUQ mobile、povoへ移行する方が大体1割程度だと思っていたが、auの応援割やiPhoneの販売などが奏功して、1割までいかなかった。多くの方にauにとどまっていただいた」という。また、UQ mobileからauにアップグレードするユーザーも、「前年比で2.6倍ぐらいに増えている」(同)という。

au auからの流出が想定以上に少なく、UQ mobileやpovoが好調だったこともあり、グループID数は純増基調になった

 料金値下げの影響を受け、au、UQ mobile、povoを合わせた「マルチブラド通信ARPU」が4200円まで低下している中、「5Gをもっとがんばって、素晴らしいサービスを提供し、ARPUを伸ばしていかなければならない」(同)のがKDDIの今の立ち位置だ。その兆しは見え始めている。第2四半期まで純減傾向が続いていた「グループID数」は、第3四半期で反転して純増を記録。auの5Gエリア拡大に伴って5G端末の販売も伸び、累計販売台数は620万台を突破した。5Gのユーザーは1人あたりのトラフィックが4Gの2.5倍以上と高いため、auの無制限プランに加入する機運が高まる。

au 値下げの影響を受け、ARPUは落ち込んでいる。これを反転させるのが、今後の課題の1つだ
au 5Gはトラフィックが4Gの2.5倍以上に増えるため、使い放題MAXへの加入率が高まる。つまり、ARPUを反転させるカギは5Gの拡大にあるといえる

 料金体系を大幅に見直し、大胆な値下げに踏み切った2021年に対し、2022年以降は5Gの拡大に注力していくのがKDDIの方針だという。高橋氏は「お客さまの期待に応えたいので、引き続き分かりやすい料金はやっていくが、これからは成長と5Gに軸足を移していく」と語る。その起爆剤になるパックプランは、「今後も強化していく」(同)。DAZNパックを加え、ALL STARパックを強化したKDDIだが、パックプランがさらに増えていく可能性は高い。

 一方で、パックプランの選択肢が多くなればなるほど、複雑さが増してしまうことは否めない。パックとしてあらかじめ決められた組み合わせではなく、アラカルト的にサービスを決めていきたいというユーザーもいるはずだ。例えば、現状ではテレビパックはテレビ局が運営する3サービスのみだが、ここにNetflixをつけたいというニーズはありそうだ。NetflixとDAZNがセットになったパックプランがあってもいいかもしれない。povo2.0ではDAZNや「smash.」などのサービスをトッピングとして選択できるが、こうした仕組みはauにあってもいいだろう。

au povo2.0では、DAZNなどのコンテンツをトッピングとしてアラカルト的に追加できる。auにも、こうした選択肢は欲しい

 5Gを生かしたサービスとしてニーズの高い動画サービスは選択肢が多いが、音楽ストリーミングやクラウドゲームサービスなどのバリエーションが少ないのも、気になるポイントといえる。音楽配信サービスはALL STARパックにApple Musicが、ゲームもALL STARパックにGeForce NOWがラインアップされているものの、単品のパックは存在しない。シンプルさとサービスの拡大をどう両立させていくかは、今後の課題といえそうだ。

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