念願だった自社端末の販売にこぎつけたトーンモバイルだが、TONE e21 rev.2を導入できるメリットは主に2つある。1つは、端末販売による収益だ。取り次ぎ販売ではあるものの、営業力の強いドコモショップでお勧めされる影響は大きい。もう1つは、ユーザーの層を広げられることだ。トーンモバイルの狙いは、後者にある。特にターゲットとして有力視しているのが、iPhone用SIMカードではリーチできなかったシニア世代だ。
iPhoneの場合、端末にはカスタマイズができず、トーンモバイルならではのサービスは、アプリやネットワーク側の機能で部分的に実現している。そのため、OSやミドルウェアのカスタマイズをどうしても必要とするサービスは、提供できていない。ゼロから自社で設計したAndroidスマートフォンであるTONE e21 rev.2であれば、それが可能になる。こうした事情もあり、同モデルとセットで利用できるサービスには、iPhoneにはなかった機能も多い。
端末を自動で修復する「置くだけサポート」は、その1つだ。この機能は、トーンモバイルが2015年発売の「TONE m15」で初めて導入されたもの。端末のパッケージに仕込まれたNFCタグをトリガーにして、自己修復が始まる。石田氏によると、「8割のソフトウェアを自動的に修復する」といい、「修復ができなかった場合は、スピーカーフォンでコールセンターにつながり、サポートを受けることができる」。
「家族遠隔サポート」も、ソフトウェアの深いカスタマイズで実現した機能だ。リモートでユーザーの端末にログインして、遠隔でサポートを実施する機能は大手キャリアのスマートフォンにも導入されているが、トーンモバイルの家族遠隔サポートは離れて暮らす家族間で同様のことを実現するためのものだ。家族の持つ端末の画面がもう1台の端末に表示され、電話では説明しづらい操作を肩代わりできるのが特徴。サポートを受ける側にとっても、家族に聞くだけでいいので気軽に利用できる。
ユーザー層ごとに最適化したホーム画面を選択できるのも、Androidならではだ。TONE e21 rev.2には、シニア向け、子ども向け、一般層向けと3つのホーム画面が用意されており、スマートフォンへの習熟度に合わせて自由に選択できる。シニア向けには、「写真」や「地図」「メール」など、代表的な機能へのボタンを大きくしたホーム画面があり、初めてスマートフォンを操作するユーザーにも、比較的分かりやすい構成になっている。
こうした機能を備えていることもあり、狙えるユーザー層はiPhone用のサービスよりも広くなる。一方で、子ども、特にティーンネイジャーにはiPhoneの人気が高く、独自端末は敬遠される可能性がある。コストパフォーマンスの高い端末を求める一般層には、他にも選択肢が多いことを踏まえると、TONE e21 rev.2のメインターゲットは、シニア層になりそうだ。月300MBまで最大1年間、料金が無料になる「シニアスマホデビューキャンペーン」を展開するのも、同社がシニア層を重視していることの裏付けになる。
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