トーンモバイルがシニア層を重視するのは、3Gの停波が2026年3月に控えているからだ。2026年3月までまだ4年以上あるが、ドコモは段階的に周波数帯を4Gや5Gに振り分けており、ユーザー数も徐々に減少していく可能性が高い。実際、1月には2GHz帯で構築していた3Gのエリアを一部縮小しており、800MHz帯の「FOMAプラスエリア」に集約しようとしている。逆に言えば、4Gや5Gに対応したスマートフォンへの機種変更需要が確実に高まるというわけだ。
石田氏は、「シニアの方が最初に使われるスマートフォンとして(TONE e21 rev.2には)絶対的な自信を持っている。(3Gの)フィーチャーフォンが4年ぐらいで停波する中で、(ドコモと)一緒にここを狙っていく」と語る。ドコモも、エコノミーMVNOにこうした役割を期待している節がある。エコノミーMVNO第1弾として導入されたOCN モバイル ONEも、3Gケータイからの巻き取りを狙う500MBの格安プランを開始しており、出足は好調だったという。トーンモバイルが加わることで、シニア層の選択肢はさらに広がる格好だ。
一方で、シニア層に関しては、ドコモ自身も手厚いサービスを提供している。ドコモは、FCNT製の「らくらくスマートフォン」、京セラ製の「あんしんスマホ」も加え、多様化するシニア層に対し、端末のバリエーションを増やしている。くしくも、2機種ともTONE e21 rev.2と同じ2月24日に最新モデルが発売されるため、競合は必至だ。
料金面でも、1GBのデータ容量と5分間の準音声定額をセットにした「はじめてスマホプラン」が、12カ月間1078円で提供されている。13カ月目以降は1628円に上がってしまうものの、トーンモバイルの1100円とはあまり価格差がないのも事実だ。動画やアプリのダウンロード以外が使い放題になったり、独自のサービスが利用できたりと、トーンモバイルならではの魅力もあるが、子どもの見守りサービスを軸にしたiPhone用サービスより、獲得のハードルは高そうだ。
料金の安さという観点では、先に挙げたように、OCN モバイル ONEとも競合する。このように選択肢が多い中、ドコモショップのスタッフが、トーンモバイルをお勧めするかは不透明だ。ドコモショップ内での競争に勝ち抜くため、トーンモバイルは、シニア層の“指名買い”を増やしていく必要があるだろう。プロモーション活動などを通じて、地道に知名度を上げていけるかが今後の課題と言えそうだ。
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