石田社長に聞くトーンモバイルの現状 新スマホ「TONE e21」の狙いから、値下げ競争の影響までMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2021年06月22日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 フリービット傘下のドリーム・トレイン・インターネットが提供するトーンモバイルは、4月に最新モデルの「TONE e21」を発売した。新モデルの投入は約1年ぶり。同社は、ODM(Original Design Manufacturing)のベースモデルにカスタマイズを加えた端末と、自社設計の端末をタイミングに応じて使い分けているが、TONE e21は後者のモデルで、フルスクラッチで開発をしたという。スペックを向上させつつ、新機能の「Oneメッセンジャー」や「One Drop」に対応しているのが、同モデルの特徴だ。

トーンモバイル 4月に発売したトーンモバイルの新機種「TONE e21」

 この端末の投入に先立ち、トーンモバイルはこれまでオプションとして月額1045円(税込み、以下同)で提供していた「090/080/070」の音声通話を無料化。もともと、同社は月額1100円で動画などを除いたデータ通信が使い放題になるプランを提供していたが、ここに含まれるのはIP電話だけだった。音声通話オプションが無料化したことで、サービスがさらに拡大しただけでなく、MNPでのユーザーの受け入れも容易になる。

 トーンモバイルが、新モデルを投入した狙いはどこにあるのか。また、ここ数カ月の料金値下げ競争が同社に与えた影響はあるのか。フリービットの代表取締役社長CEO兼CTOを務める石田宏樹氏に、お話を伺った。

TONE e21は久々にフルスクラッチで開発した端末

―― まずは、新モデルのお話から伺えればと思います。TONE e21を投入した狙いからお話しいただけますか。

石田氏 (CCC傘下から)フリービットグループに戻り、トーンモバイルはフリービットの5Gに向けた取り組みのショーケースとしての役割を担うことになりました。以前と比べると、技術リソースも数倍かけられるようになっています。5GがNSA(ノンスタンドアロン)からSA(スタンドアロン)になり、本格的に普及するまであと3年ぐらい。SAになった世界をどう作っていくのかを、フリービットの視点からの5Gライフスタイルとして考えています。

トーンモバイル フリービットの石田宏樹社長

 スマートフォンは、携帯電話からの延長ではなく、違うところから来ています。アーキテクチャ的に目指すのはインビジブル(不可視)コンピュータで、エッジコンピューティングの1つの用途に(スマホが)なっています。フリービットでは、MVNOのコアデータセンターというゲートウェイに、コンピュータの処理群を、今どんどん使っているところです。そことスマホを組み合わせてどうするのかを、検証するのが1つの目的です。

 TONE e21は、全世代のユーザーに普段使いしていただけることをコンセプトにしています。TONE m15以降、久々にフルスクラッチで作った端末で、社内に優秀なハードウェアエンジニアをそろえられるようになってきたからこそ、できたことです。ODMのグリップ力も、以前とはまったく違う次元になってきました。われわれが考えている形や性能を、ギリギリまで追求できたと思います。

 TONE m17のときは、富士通(コネクテッドテクノロジーズ、現FCNT)の端末を使い、マーケティング的にも子どもに寄せました。それまでは、子どもとシニアが半々ぐらいの割合でしたが、マーケティングを寄せたことで、シニアの割合はかなり減ってしまった。シニアは得意分野ですが、テレビのようなメディアを使ってマーケティングすると、どうしてもどこかに絞らなければなりません。そこから3年ぐらいかけ、新しいマーケティング手法も使いつつ、全世代に普段使いしてもらえるところをソフトとハードの両面から目指しました。

―― ODMではなく、自社開発にしたのはなぜでしょうか。

石田氏 GPUの使い方やドライバーの改善もそうですし、端末自体のスペックをもうちょっと上げたかったからです。いつも、ミドルローからミドルぐらいのスペックでしたが、それをもう少しだけ上にしたかった。メモリやストレージの量まで含めて、違うところに持っていきたかったというのがあります。この機能を入れつつ、部品の点数まで見直すことで、あの価格が実現できました。

 うちはソフトウェアエンジニアが多いので、ソフトで何とかするという誇りはありました。これまではレファレンスモデルをベースに作ることが多かったのですが、大手と比べると、どうしても端末調達数が限られます。もう一歩先に、3世代全てを狙う端末を作ろうとしたときに、どうしても必要なプロセスでした。

 結果、TONE e21は「プレ5G」の処理を全て行い、センサー類が活発に動いています。検索エンジンなどのフィルターによって、アイソレーション(分断)が進む世界を何とかしたいという思いがあり、それを解決する第1段階は可視化だと思っています。ダッシュボードはそのための機能で、位置の移動や見ているサイトのカテゴリーを可視化するものです。GPSの情報やCOCOAのスキャンもしていて、次のバージョンではCOCOAで密になった場所が地図上にプロットされるようになります。

トーンモバイル TONE e21はゼロから自社開発した

トーンモバイルが掲げる「プレ5G」とは?

―― 端末は5G非対応だと思いますが、プレ5Gという言葉にはどういう意味合いがあるのでしょうか。

石田氏 5Gのメリットだけを先に感じてもらえないかと考えたもので、仮想化技術を交換機側で使い、低遅延のためのスライスを利用するといったことをやっています。もちろん、完全な低レイテンシはまだまだできませんが、今どこまでできるのかというのをきれいにプロットしたのがプレ5Gです。

―― ハードウェアについては、TONE m17が搭載していたFeliCaがありません。あまりニーズがなかったのでしょうか。

石田氏 TONE m17は価格的に一番高かった一方で、FeliCaの使用率を見ると10%にも満たない状況でした。今はバーコード(QRコード)決済もあるので、それを出しやすくするぐらいの方がいいのかもしれません。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月27日 更新
  1. 新しい「マイナアプリ」の配信がスタート 初期設定の方法は? (2026年08月25日)
  2. “5秒で−5度” ワークマンの「ペルチェベスト」を体験 45度の猛暑でも冷える仕組みとバッテリーの安全性に迫る (2026年08月24日)
  3. ソニーがミッドレンジ「Xperia 10 VIII」発表 決済/ポイントアプリが即座に立ち上がる新機能、デザインに変化も (2026年08月25日)
  4. 工具なしで設置可能、7畳まで対応「アイリスオーヤマ ポータブルエアコン IPP-2226U-W」が22%オフの2万7800円で販売中 (2026年08月26日)
  5. povo2.0で「5G SA」を開始 月額無料、データ使い放題(24時間)のプレゼントも (2026年08月25日)
  6. iPhoneの「Pro Max」も収納できるミニマルボディバッグ「A.R.C. Small Crossbody Bag」 8250円 (2026年08月26日)
  7. 【ニトリ】2990円の「クリアペルチェハンディファン」 100段階の風量調節、約6時間稼働できる (2026年08月26日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. MVNO5サービスの総合満足度は日本通信が1位、利用者数はIIJmioが1位 MMDが調査 (2026年08月26日)
  10. Xperiaでレジ前の焦りをどう解消? Xperia 10 VIIIの新機能「Point & Pay メニュー」開発秘話公開 (2026年08月26日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー