―― 直近の値下げ影響として、楽天モバイルにユーザーが流出したMVNOもありました。トーンモバイルへの影響はありましたか。
石田氏 われわれは他のMVNOと違うところにいる感じなので(影響はない)。俯瞰(ふかん)して見ると、キャリア同士のシェアはあまり変わっていませんが、キャリアからahamoに行ったり、MVNOからMNOの楽天に行ったりといった構図はあると思います。
ただ、われわれはあまり影響を受けていません。良くも悪くも、いつも同じです(笑)。
―― 最近だと、特に子ども向けのサービスは、キャリア以上に注力している印象はあります。そのユーザー層の違いが功を奏したということでしょうか。
石田氏 ブルーオーシャンというと言いすぎかもしれませんが、確かにそういう側面はありますね。逆に、シニア向けも、海外キャリアからノウハウが欲しいという声が来ています。今後、海外が高齢化社会を迎えると、輸出産業になるのではと思いました。
―― 契約者数は今後どの程度、どういう形で伸ばしていくおつもりでしょうか。
石田氏 シニア向けのマーケティングがもう少ししたら始まるので、その分は追加できると思います。今は子どものユーザーが多く、シニアはその3分の1ほどです。ここが3倍ぐらいまで伸びると想定しています。トーンモバイル自体も、今期はこれまでと違った戦略で展開していくフェーズに入っていきます。それを加味すると、今までと全然違った形の獲得になると思います。
子どもやシニアなど、特定のユーザー層に特化した戦略を推し進めていたトーンモバイルだが、石田氏の発言にあった通り、最近は少々シニア向けの新サービスが手薄だった。TONE e21の投入で、今後、徐々にその方向性が変わっていきそうだ。機種変更が好調とのことで、従来以上に広い年齢層に受け入れられている可能性もある。音声卸の料金改定で、通信サービスの使い勝手がよくなったこともプラスに働きそうだ。
一方で、もともと定額でデータ通信が使い放題だったこともあり、接続料値下げの恩恵があまりアピールできていない。石田氏は「全世代に普段使いしてもらえることを目指した」と語っていたが、ユーザー層を広げるのであれば、ベースの速度の重要性は高くなる。動画以外の高速通信のニーズにどう応えていくのかは、今後の課題といえそうだ。
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