ahamoはなぜ「大盛り」で大容量を拡充するのか 小容量プランはどうなる?

» 2022年03月23日 23時38分 公開
[田中聡ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 既報の通り、NTTドコモがahamo向けに、月額4950円(税込み、以下同)で100GBまでのデータ通信を利用できる「ahamo大盛り」を6月から提供する。ahamoは2021年3月のサービス開始以降、月額2970円で20GBと5分かけ放題を含む1プランを貫いてきたが、サービス開始からちょうど1年後に、次の一手に打って出た。

大容量データ通信のニーズが高まっている

 ahamo大盛りは、ahamoの基本プランに、月額1980円で80GBのデータ通信を含む「大盛りオプション」を追加することで、月額4950円で100GBという大容量のデータ通信が利用可能になる。競合のオンライン専用プランの「povo」や「LINEMO」は、20GBだけでなく低容量のプランも用意する中、なぜドコモは大容量にこだわったのか。

ahamo大盛り
ahamo大盛り ahamoの基本プランに80GBを加えると、月額4950円で100GBのデータ通信を利用可能になる「ahamo大盛り」

 その背景として、ドコモの 営業本部 ahamo推進室長の岡慎太郎氏は、ahamoのメインターゲットである20〜30代ユーザーのデータ通信量が年々増加していることを挙げる。また、「家にいる時間が少ないのでモバイル通信がメイン」「屋外のWi-Fiスポットが遅くて動画はスマホで見ている」「自宅の固定回線が遅いのでスマホで通信している」という声も挙がっており、大容量でデータ通信を利用したいというニーズが高まっているという。

ahamo大盛り 2020年から2021年にかけて、データ通信量は増加傾向にある
ahamo大盛り スマホの通信がメインというユーザーも多い

 岡氏によると、「20GBを超えている人は一定数いる」そうで、そうしたユーザーが高速通信を再び利用するには、1GBごとに550円を支払う必要がある。しかしahamo大盛りなら、1980円をプラスするだけで80GBが一気に加わるので、逐一チャージする必要はなくなる。大盛りオプションは月の途中でも利用でき、何もしなければ毎月継続されるが、「翌月は20GBで問題なさそう」ということなら解除することもできる。月によって通信量にムラがある人にも向いている。

ahamo大盛り ahamoでは20GBをオーバーすると1Mbpsに通信速度が制限されるが、大盛りオプションを追加すれば、100GBまでは高速通信を利用できる

 1カ月に100GBあれば、映像ありのWeb会議は約240時間利用でき、月20日勤務だとしたら1日8時間はこなせるという。動画を視聴する場合も、1話24分のアニメだと、フルHDの最高画質でも約121話分が視聴できる計算になる。100GBあれば、このように固定回線として使えるというユーザーも多いだろう。

ahamo大盛り モバイル通信だけでオンライン会議やリモート授業もこなせてしまう
ahamo大盛り 動画サービスもたっぷりと視聴できる

ギガホプレミアとのすみ分けは?

 ドコモは大容量プランとして「5Gギガホプレミア」と4G向けの「ギガホプレミア」を提供しており、5Gギガホプレミアは月額7315円(定期契約なし)で無制限のデータ通信を利用できる。これに「みんなドコモ割」や「ドコモ光セット割」などを加味すると、月額4928円にまで割り引かれる。そうなるとahamo大盛りと大差なくなるが、家族で使っていたり、光回線を使っていたりせず、単身で固定回線を使っていないユーザーならahamoの方が安くなる。岡氏もahamo大盛りは「単身の契約している人を中心に選択していただける」と期待を寄せる。

 5Gギガホプレミアは100GBの制限もないので、100GBを超えるヘビーユーザーは5Gギガホプレミアの方が向いている。また、ahamoは3300円を支払えば店頭で申し込みのサポートを受けられるが、5Gギガホプレミアなら無料で済む。こうした違いから、ahamo大盛りと5Gギガホプレミア/ギガホプレミアのすみ分けは図れるとドコモは考える。

小容量プランの提供は現時点では考えていない

 一方で気になるのが、小容量のプランだ。auは「povo2.0」で1GB390円、3GB990円というトッピングを、ソフトバンクのLINEMOは3GBで月額990円のプランも用意しており、小容量もカバーしている。ahamoは20GBの中容量と100GBの大容量という2択になるわけだが、小容量までは広げないのか。岡氏は「小容量で使いたいというユーザーに対しては、ギガライト、エコノミーMVNOで選択肢を提示している。現時点ではahamoで(小容量を)、ということは考えていない」と話す。

 5Gギガライトは3GBを超えると割引適用時でも月額3278円となり、ahamoの月額2970円を超えてしまうので微妙なところだが、エコノミーMVNOでは、OCN モバイル ONEが500MBで月額550円や3GBで月額990円などの低容量プランを提供している。ahamoで低容量までカバーするとこれらとバッティングするため、あえて踏み込まないことで差別化を図る考えのようだ。ただ、岡氏は「未来永劫やらないと言っているわけではない」「今後もお客さまのニーズ、社会環境、他社の動きを見ながら検討したい」とも話し、状況次第では小容量に踏み込む可能性もある。

 ahamoは現時点で300万契約目前だという。岡氏はこの数字について「1年でこれだけのお客さまにご利用いただけていることについては、想定以上だと考えている。特に20代30代を中心に幅広く受け入れられている」と評価する。ahamo大盛りで、どこまでahamoの契約増が加速するか注目したい。

ahamo大盛り 2022年3月時点でahamoは300万契約に迫る勢い

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年