「0円プラン」や「iPhone投げ売り」が与える影響は? MVNO復活に必要なこと(後編)(2/3 ページ)

» 2022年04月08日 15時30分 公開
[房野麻子ITmedia]

ドコモのエコノミーMVNOは「MNOによる寡占」につながる恐れ

 メディアでも物議をかもしているのが、ドコモの「エコノミーMVNO」だ。現在はOCN モバイル ONEとトーンモバイルが参画しているが、この2キャリア以上、増える様子が見られない。

 エコノミーMVNOに似た例として、石川氏は海外の事例を紹介。5年ほど前、スペイン・バルセロナのキャリアショップでは、自社のネットワークを使うMVNOのSIMを扱っていた。安い回線サービスを購入できるが、ショップスタッフはMVNOのSIMについては一切サポートしてくれなかったという。

 それに対し、現在の日本ではKDDIとソフトバンクがサブブランドを展開しており、ドコモのエコノミーMVNOは「かなり中途半端になっている」(石川氏)と評した。また、エコノミーMVNOがサブブランド化する可能性にも言及した。

 「なぜかドコモはやる気を出していて、エコノミーMVNOへの乗り換えを勧めている。トーンモバイル for docomoは立ち位置が違って子ども向けとしていいかもしれない。一方で、ドコモはOCN モバイル ONEに注力したいように思えるが、優遇するとマズイので、一生懸命やりつつも中途半端な立ち位置になっている。これらがいつサブブランド化するのか気になるところ。トーンモバイル for docomoはトーンライフスタイルという(トーンモバイル本家とは)別会社になっていて、一緒にしてサブブランド化する可能性もある。気を付けて見ておいた方がいい」(石川氏)

モバイルフォーラム2022 OCN モバイル ONEがエコノミーMVNOにいち早く参画したが、ドコモがサブブランド化をする布石という見方もある

 島上氏はエコノミーMVNOについて、「民間同士の取引なので、条件が合えば販路の1つとして活用すれば良いだろうと思う」と語るにとどめた。

 北氏は「私自身、まだ全く評価ができない状態」と語った。ただ、「3Gユーザーを巻き取る先として、OCN モバイル ONEの存在は非常にありがたい」というドコモショップのスタッフの声を紹介した。「ドコモには巻き取るべき3Gユーザーが相当残っているはず。そのユーザーがY!mobileやUQ mobileに行くよりは、自社のOCN モバイル ONEに来てくれた方がいいという考えだと思う」

 MVNO全体への影響を問われると、「契約数がどれくらいなのか分からない状態なので、少し見ていきたい」と回答しつつも、再び大手キャリアの寡占が起こる恐れも指摘した。「MVNOには『(J:COMモバイルやBIGLOBEのような)MNO's MVNO』と『(IIJmioやmineoのような)独立系MVNO』の2タイプある。エコノミーMVNOはその中間くらいで、ドコモ経済圏の中にいるという意味ではMNO's MVNOなのかもしれないが、やがて取り込んでいく方向にあると考えると、MNOによる寡占、グループによる寡占状態になっていく恐れはある」(北氏)

モバイルフォーラム2022 北氏の基調講演で示された各キャリアとブランド構造

0円プランは「価格圧搾ではないかという疑義がある」

 料金もそうだが、MNOの動きはMVNOに大きな影響を及ぼす。2021年、MVNOにとっては、Y!mobileとUQ mobileが脅威になっただろう。Y!mobileとUQ mobileは料金改定を繰り返し、結局3GBで990円と、MVNOの料金と同等になった。しかも通信品質は大手キャリアと同じだ。

モバイルフォーラム2022 Y!mobileとUQ mobile、楽天モバイルなどMNOの動きはMVNOに大きな影響を与えた

 石野氏は改めてUQ mobileとY!mobileの影響の大きさを指摘。「100円程度の違いでユーザーがわざわざキャリアを変えはしないと思う」とコメントした。

 MVNOはMNOにどう対抗していくべきかを問われた石川氏は「MNOは家族割引や固定回線の組み合わせで安くしている。一方、MVNOは1人で気軽に変えて安くできるメリットがある。MVNOのユーザーはリテラシーも高いので、パッと見の安さではないこと、契約しやすいことを訴求すべきでは」とアドバイスした。

 楽天モバイルの影響も見逃せない。楽天モバイルは当初、割り当てられた周波数が1.7GHz帯の1波だけで他のMNOと対等に戦っていけるかとメディアからは疑問視されたが、2月に人口カバー率96%を達成。着々と自社エリアを広げている。また、料金は1GBまで0円から。povoも「0円プラン」に追随した。

 北氏は0円プランに対し、「いわゆる価格圧搾(立場の強い事業者が原価を下回るような価格設定をして、立場の弱い他社が対抗できないようにすること)ではないかという疑義はある」とした上で、次のようにコメントした。

 「スタックテストをやってデータを見ないと、原価割れかどうかまでは分からない。ここは、まさにこれから。povo 2.0も含めて本当に0円だけで運用している人、MNP用の弾として使っている人もたくさんいると思うし、大容量プランを契約して便利に使っている人もいる。ARPUがどのくらいなのか、それが原価とどう関係があるのかも、これからワーキンググループの方で検証していければと思う。ともあれ、MVNOとしては厳しいはず」(北氏)

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