「0円プラン」や「iPhone投げ売り」が与える影響は? MVNO復活に必要なこと(後編)(3/3 ページ)

» 2022年04月08日 15時30分 公開
[房野麻子,ITmedia]
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楽天モバイルやpovoもMVNOにとって脅威

 楽天モバイルについて石川氏は「楽天シンフォニーが大化けするかもしれない」と述べた。

 「MWC Barcelona 2022で見て、楽天シンフォニーはけっこう稼げるのではないかと感じた。そうすると、赤字が続くのは問題だが、国内通信事業がそこまでもうからなくてもよくなる。すると、このままの料金体系が維持される可能性は十分ある。その意味で、MVNOにとってはますます厳しく、0円プランと戦っていくしかないかもしれない」(石川氏)

 島上氏は「総論的には、MVNOの最大の脅威は、もともとはY!mobileとUQ mobile」だと言う。楽天モバイルが参入したときに、2社がもう一段料金を下げて破壊力を増したと振り返った。

 「Y!mobileとUQ mobileのユーザーは、恐らくMVNOに最初に飛びついてきた高リテラシー層より、少し下の人たちだろうと認識している。そこに楽天モバイルが登場し、さらに0円プランを始めた。かつ、povo 2.0も出てきた。この辺をうまく使いこなすのは、まさしくMVNOに最初に飛びついてくれた高リテラシー層。ユーザー層の観点では、povo 2.0は猛烈な脅威。また、楽天モバイルを、品質を了解した上でうまく使いこなせるようなユーザーたちもMVNOの脅威。すみ分けができていたところが乱戦模様になり、MVNOの市況が厳しくなっているのは事実」(島上氏)

iPhoneの投げ売りは「落とし所が見えない」

 春商戦以降、大幅に割引され販売されるキャリアのiPhoneが注目されている。本来、キャリアの端末は2万2000円以上割り引けない中、端末の単体販売という条件で、回線契約に伴う2万2000円の割引に、店舗独自の割引を加えて、最新の「iPhone SE(第3世代)」が一括数十円で売られている。また、キャリアの端末購入プログラムも適用した場合には「iPhone 13 mini」が実質23円など、驚異的な端末の売り方が続いている。北氏は「こうなるのは、うすうす予想はしていた」と意外な回答。

 「公正取引委員会次第だと思うが、公正取引委員会も苦しい立場。指導したら端末の価格が上がる。白ロム端末の値引きが一切ダメというのもおかしい話。新品であれば原価を割って売るのはおかしいが、在庫は原価を割っても一掃することがある。公取委がなんらかの要請をキャリアに出したところで、基準を決める必要がある」(北氏)

モバイルフォーラム2022 店舗独自施策を加えたiPhoneの大幅値引きが行われている

 キャリア間のポートイン獲得競争がし烈になってきているので。4月以降もこの流れは止まらないと北氏は予想。端末の安売りがポートインのトリガーとなっているので、「そう簡単にはなくならないのではないか」(北氏)と語った。一方で懸念しているのが、MVNOへの影響と、反社会的勢力が転売でもうけて資金として流出することだ。それだけは防がなくてはならないが、「落とし所が見えない」という。

 「電気通信事業法では、端末単体販売に対して価格を規制することができないので、これ以上のことは、恐らく総務省としても、やりにくいのだと思う。あとは、MVNOとMNOとの公正競争確保という視点で何か言えるか程度。原価割れや不当廉売については公正取引委員会の世界になってくる。安く買えるんだからいいんじゃないかという声もある」(北氏)

 石川氏は「やっぱり総務省が作ったルールに無理がある」と主張。ルールが正しいのか改めて議論する必要があると訴えた。また、割引については5Gの普及促進につながり、「悪いことではない」とも述べた。

 「(キャリアが端末を一括数十円で売って)ユーザーはそれを買ってもキャリアを変えない。とはいえ、今はかなりMNPしやすくなっている。競争ルールとしてはちゃんと効いている。総務省は移行しやすい環境を作るだけ良かった。ユーザーが動きやすい環境は実現したので、端末代金にとやかく口を出す必要はないと個人的には思う」(石川氏)

 石野氏は端末単体での割引について、「キャリアが危ない橋を渡っている」と警鐘を鳴らす。「契約にひも付いた割引は2万2000円までで、その他は端末本体から割り引いている。これは今のところ、端末単体で買わない人がいるから成り立っているビジネスモデル。単体で買う人が押し寄せてくると、ただの割引払い損になってしまう。単体で割り引いていることが広く認知されてくると、早晩、崩壊しないとも限らない」(石野氏)

 島上氏はこの状態を「いびつ」と表現し、「短期解約が増えるのは、業界的にも健全ではない」と評したが、「MVNOがいろんな策を講じて、どんどんいろんなサービスを作ればいい。経済的な合理性が発揮される世の中になることが一番」とまとめた。

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