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「PayPayポイント」を外販で共通ポイント化へ 楽天ポイントを抜いて1位を目指す(1/2 ページ)

» 2022年04月27日 06時00分 公開
[小山安博ITmedia]
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 PayPayの中山一郎社長は4月26日、PayPayの決済金額に応じてたまるPayPayポイントに関して、10月以降にも外部への販売を開始する意向を示した。共通ポイント化することで、企業側がPayPayポイントを購入してセールなどで付与することで、購買の増加や集客の増加につながることを狙っている。

PayPay PayPay代表取締役社長執行役員CEOの中山一郎氏

ポイントカード不要、PayPayアプリだけで完結する

 PayPayポイントは、これまでPayPayボーナスと呼ばれていたが、4月1日から名称を変更。ソフトバンクの通信サービス、ヤフーでのショッピング利用などでは、今までTポイントとPayPayボーナスが付与されていたが、PayPayポイントに統一した。

PayPay PayPayボーナスとして提供されていたインセンティブをPayPayポイントに変更。Tポイントとの連携は停止して統一した

 当面は従来通り、PayPayでの決済利用など、ソフトバンクグループ内での利用に対するインセンティブとしてPayPayポイントを付与するが、10月以降はこれをグループ外へと開放。希望すればポイントをPayPayから購入し、それを自社の利用客に対して、決済金額に応じて付与することを可能にする。

 例えば飲食店が食事金額に対して、100万ポイントまで10%のPayPayポイントを還元するというキャンペーンを実施した場合、飲食店がPayPayから100万ポイント分を購入して付与する。従来なら、PayPayがキャンペーンを実施しない限り、PayPayによる還元を提供できなかったが、店舗独自のキャンペーンでPayPayポイントを提供することができるようになる。

 PayPayとは無関係のキャンペーンとなるため、例えば決済手段をPayPayに限らない設計もできるだろう。中山社長は、PayPay決済を導入していない企業でも支払額に応じてPayPayポイントだけためられる、というパターンもありえると話しており、ポイントカードのような使い方も可能になるとしている。

 決済手段を問わないポイントを付与する共通ポイントは、主なものでも楽天ポイント、Tポイント、dポイント、Pontaポイントがあり、PayPayポイントがこれに参入する形だ。既にPayPayは、2020年度においてグループ内だけで「2位ぐらいの金額を発行している」と中山社長。ポイントを他社に開放することによって、2023年には業界1位の発行額となる共通ポイントに成長させたい考えだ。

PayPay 共通ポイントの主要4社に対して、PayPayは既に第2位の発行額だとしている。グラフにあるのは楽天ポイント、dポイント、Pontaポイント、Tポイントだと思われる

 1位の楽天ポイントは、2020年で4700億ポイントを発行し、累計では2.5兆ポイント以上を付与しているが、「2022年度下期には射程圏内に収めるために力を入れる」と中山社長。楽天ポイントの伸びを上回るポイント発行によって、2023年には首位を奪取することを目指す。

PayPay 「A社(楽天)の伸びがどうなるか分からない」(中山社長)ため、具体的な数字は出ていないが、2023年には楽天ポイントを抜いて1位となることを目標とする

 他の共通ポイントと異なるのは、ポイントカードがなくPayPay決済と連動する点で、利便性が高いとアピール。PayPayポイントのみの加盟店が登場した場合にどうするかは現時点で不明だが、PayPayアプリだけで完結するような仕組みにするとみられる。

PayPay PayPayアプリでポイントカードもカバーする

 また、グループ内のLINEもLINE Payを提供し、LINEポイントを発行しているが、LINE Payは当面共存するものの、LINEポイントに関しては「PayPayポイントとの統合を協議している」(中山社長)という。

PayPayユーザーは4700万を突破

 PayPayのサービス開始は2018年10月で、当初は苦戦したものの、大規模な還元施策やローラー作戦による加盟店開拓によって利用者、加盟店ともに急拡大した。

 PayPayの登場以前は、日本のキャッシュレス比率の伸び率は7年間で平均1.2%、2010年から2015年で5%しか上がっていなかったと中山社長。しかし、ここ5年は11.5%増と急拡大。中山社長は、PayPay以降は業界が切磋琢磨してキャッシュレスが盛り上がったと指摘する。このままの勢いで行けば、政府目標の「2025年にキャッシュレス比率40%」は、1年前倒しとなる2024年に実現できる、というのがPayPayの予測だ。

PayPay 日本のキャッシュレス比率の変化。2015年以降は前5年の倍以上の増加
PayPay これまでのキャッシュレス比率の伸びから、PayPayは2024年に40%を突破すると予測

 加えて、2019年のキャッシュレス・消費者還元事業、新型コロナウイルスの流行による非接触ニーズの高まりも、キャッシュレス化の進展の理由とする。還元事業は、特に9カ月間という長期にわたって継続したことが重要で、家族や隣近所など、口コミでのキャッシュレスの拡大につながったとしている。

 最新の情報では、PayPayは利用者数が累計で4700万人を超え、決済取扱高は5.4兆円を超えた。「今年度の早い段階で5000万人の大台に乗るのでは」と中山社長。「国民的なアプリになれるように頑張っていきたい」とアピールする。

PayPay PayPayの累計ユーザー数と決済取扱高

「あと払い」は100万ユーザー、「クーポン」は1000万ユーザーを突破

 新サービスとしては「あと払い」サービスを提供。4月22日の時点で利用者は100万人を突破。3カ月ほどでの大台に加え、少額決済中心だったPayPay利用の単価が倍増し、1人あたりの利用額も上昇したという。中山社長は、商材が高価格帯中心でPayPayを考慮していなかったような企業の加盟にも期待。「PayPayのこれからの成長を一段とけん引するサービス」(同)だとしている。

PayPay あと払いのユーザー数は100万を突破。現時点では単なるクレジットカード機能だが、後払い決済サービスとして機能の充実も図っていく考えだという

 PayPayクーポン利用者も、3月の時点で1000万人を突破した。「PayPayはユニークネスを追求し、PayPayにしかできないことを目指して開発している」と中山社長。そうした観点から、クーポンでは利用時に提示するのではなく、あらかじめ設定しておけば決済と同時に自動的に適用される設計とした。中山社長は「気付かないうちにクーポンが使われている、全く新しい体験」と胸を張る。

PayPay いったん使われるまでは苦戦したというPayPayクーポン。ユーザー体験を重視して設計しており、一度使われた後は急拡大したという
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