5Gが創出する新ビジネス

宇宙に自律的な通信インフラを ドコモ5G Evolution & 6Gの取り組みワイヤレスジャパン 2022(2/2 ページ)

» 2022年06月03日 18時00分 公開
[房野麻子ITmedia]
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「5G Evolution & 6G」に向けた研究開発

 ドコモをはじめとするNTTグループ各社は、5Gからその先の6Gに向けた研究開発をすでに進めている。「とにかく使えそうなものは、いち早く導入して5Gの進化にもつなげていく」(谷氏)という狙いから、さまざまな取り組みを行っている。

docomo NTTドコモ 5G 5G Evolution & 6Gに向けた研究開発

 講演では、それらの取り組みのうち、カバレッジ改善、カバレッジ拡張に関する取り組みを紹介した。

 「置くだけアンテナ」は、データが流れている誘電体導波路の上に、箱のようなアンテナを置くことによって、そこから電波が漏れて、受信機でデータを受信するというもの。これはミリ波を展開していく際に非常に有効と期待されている。ミリ波の電波が到達しにくい工場などで、こういった仕組みをあらかじめ敷設しておくことで、うまく活用できそうだという。

docomo NTTドコモ 5G 白い線の誘電体導波路の上に箱を置くと電波が漏れ、中央の受信機がそれを受信して、映像が再生される。箱を取り除くと電波が漏れなくなり、再生映像が止まる

 NTTグループは、「衛星・HAPSによる通信サービスの提供」を検討。HAPSや、LEO、GEOといった低軌道、高軌道衛星を組み合わせる形で、非陸上の通信環境を作ろうとしている。事業の主体として、NTTとスカパーJSATの合弁でSpace Compassを7月に設立することを発表している。

docomo NTTドコモ 5G HAPSや衛星を使った空の通信サービスの提供

 HAPSで期待されるユースケースは大きく2つあるという。1つはバックホールの役割で、可搬基地局などに活用する。もう1つが「移動系」で、端末に直に電波を届ける。HAPSは高度約20kmを飛ぶ無人飛行機だが、「この距離であれば普通にスマートフォンでも受信できる」(谷氏)といい、実際に確認されている。

 なお、HAPSが活用される環境は地上とは違うことから、HAPSのシミュレーターを作って性能評価や干渉の検証も進めている。

docomo NTTドコモ 5G シミュレーターの映像。2つのHAPSが航空機や海上の船、山地のさまざまなものにつながった際の通信環境をシミュレートしている

 NTTグループでは宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想を練っており、HAPSは宇宙RANを構成する要素。それに加えて宇宙データセンターを構築するべく検討しているという。

docomo NTTドコモ 5G 宇宙に自律的な通信インフラを構築する構想

 空だけではなく、海の中での通信「海中音響通信技術」も研究開発している。伝送速度を高め、水中ドローンと海中音響通信を使い、リアルタイム映像伝送の実験を行った。NTT未来ねっと研究所の技術を使っており、海の中で撮った映像を超音波で伝送。水中ドローンが撮影した映像を海上のモニターで表示したところ、比較的にスムーズな映像を視聴できたという。従来は通信速度が限られていたが、今回の技術を使うことで、海中でも滑らかな映像を伝送できることが確認できた。

docomo NTTドコモ 5G 海の中で通信するための海中音響通信技術
docomo NTTドコモ 5G 従来より伝送速度が上がり、リアルタイム映像伝送でも比較的滑らかな映像が得られたという

5G Evolution &6G技術を活用した「人間拡張基盤」

 こうして研究開発している5G Evolution & 6Gの技術活用を探るため、関連パートナーとユースケースの検討を行っている。

 ユースケースの1つが「人間拡張基盤」だ。「6Gの環境になると伝送遅延も極限まで小さくなり、神経の伝達する時間を超えるのではないか」(谷氏)ということから検討を進めているもの。人間の身体にセンサーを取り付け(センシング)、そこから得られるデータをプラットフォーム(人間拡張基盤)に収集。それをロボットや人間、アバターなどに合わせる形で適切に変換を行い、動作させる(アクチュエーション)。これが実現すると、人間の動きをそのままロボットにさせたり、プロスポーツ選手のスキルをアプリのようにダウンロードして利用したりできるようになる。

docomo NTTドコモ 5G 人間拡張基盤の活用

 6Gの検討は2017年から開始しているが、グローバルでは非常にスピーディーに検討が進んでいる。「われわれの見立てでは5Gよりも2、3年早い」とのことで、「グローバルのスピードにしっかりと付いて戦っていく必要がある」と谷氏は述べた。2025年の大阪・関西万博におけるユースケース、デモンストレーションの展示、6Gの商用化に向けて、パートナーと一緒に検討を進めていくと語った。

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