2022年6月1日、総務省で「消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第40回)」が開催された。
このなかで、キャリアショップに対する評価のあり方について、方向性が示された。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年6月4日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
キャリアショップ店員へのアンケート結果を元にした総務省の資料では
「2021年6月以降、利用実態に合わない、あるいは利用実態を確認せずに上位の料金プラン等を推奨したことがあると回答した者は3割、不要と思われるようなオプションやアクセサリを推奨したことがあると回答した者はそれぞれ3割、2割であった一方、こうした勧誘を強く行ったことはないと回答した者は4割に満たなかった」
とある。
それを踏まえて「販売代理店が適合性の原則に則って、契約締結がきちんと促される仕組みにする必要があるのではないか」としている。具体的には「新規契約の獲得だけを評価するのではなく、ユーザーが契約した内容に満足しているかどうかも評価する」というのだ。
そもそも、顧客の流動性を上げ、新規獲得を促す仕組みを作ってきたのは、総務省ではないか。料金値下げにつなげるためと、解約料をなくし、2年縛りも見直してきたのを忘れたのか。解約しやすくなれば当然、ユーザーの奪い合いが始まるわけで、キャリアショップが新規契約やMNPを重視するのは当然だ。
しかも総務省における検討の方向性には「新規契約の獲得だけでなく契約内容に対する利用者の満足度やその結果(例:継続利用率等)も大きく評価されるよう評価指標を見直す」とある。継続利用を否定し、キャリアに長期契約割引を辞めさせたのは総務省のほうではないか。
なぜ、こんなにも総務省は主張が一貫しないのか。
仮に新規契約が重視されなくなるのなら、これから3キャリアからユーザーを奪おうとしている楽天モバイルの立場はどうなるのか。
ゼロ円プランを廃止した際も、わかりやすさを重視して炎上覚悟で「ワンプラン」を貫いてきた。そんな楽天モバイルのショップに対して「新規契約の獲得」を重視するなと、総務省は口が裂けても言えないのではないか。
確かに、自宅に光回線が引かれており、使い放題プランを契約しているにもかかわらず、モバイルWi-Fiルーターまで契約させるというのは行きすぎた営業だ。
難しいのは「シニアだから小容量プラン」と一方的に決めつけるのは間違っているということだ。シニアだからこそ、時間がたくさんあり、下手をすると動画視聴にハマる可能性だってある。時間があるから電子書籍を見まくることもあり得る。
家族と遠く離れているからこそ、ビデオ通話で長時間、会話をするかも知れない。
シニアのほうが、スマートフォンを使いこなすことで「使い放題プラン」のほうがいい場合だってある。
総務省がキャリアショップのあり方を一方的に押しつけるのは何か間違ってはいないだろうか。
© DWANGO Co., Ltd.