総務省は5月24日、電気通信市場検証会議に付属する会議体「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」の第31回会合を開催した。今回は携帯電話や固定ブロードバンドサービスの内外価格差調査の結果報告、固定ブロードバンドサービス(光ファイバー/CATV)の引き込み線の他事業者への転用に関する議論が行われた他、携帯電話端末の対応周波数帯(バンド)に関する議論の方向性案が示された。
この記事では、携帯電話端末の対応周波数帯(バンド)に関する議論の方向性案について解説する。
大手キャリア(MNO)に納入される携帯電話端末は、基本的に当該キャリアが利用している通信規格とバンドに最適化されている。SIMロックを解除すれば理論上は他のMNOでも利用できるものの、対応バンドの都合で一部のエリアで通信できなかったり、通信できても実効通信速度が遅くなったりする問題がある。
このことが「キャリアを乗り換えるに当たっての『縛り』になっているのではないか」という指摘が一部からあったことから、競争ルールの検証に関するWGで取り上げられることになった。WGの会合ではこれまでに、WGの事務局(総務省)からの各種報告の他、MNO、MVNO、端末メーカーなど関係者からのヒアリング(意見聴取)が行われてきた。
MNOに納入される携帯電話端末(特にAndroidスマートフォン)は、納入先のMNOのモバイルネットワークに最適化されている。そのため、他のMNOで利用すると、一部のエリアで通信できなかったり、通信できたとしても速度が遅くなったりするという問題が発生する可能性がある(総務省資料より、PDF形式)WGの事務局が欧米と韓国における携帯電話端末の対応バンドに関する状況を調査した所、以下のような状況だったという。
ヨーロッパでは特に法規制をしていないものの、MNOが販売する端末は基本的に全キャリアの全バンド、または主要バンドは利用できる。米国では「周波数オークション」に関連して、物理的な周波数が重なるバンドの運用についてロビー活動が行われ、最終的に規則に反映された事例がある。韓国では端末の相互運用性の規定が間接的に端末の対応バンドを広げる働きをした(総務省資料より、PDF形式)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.