2023年度第1四半期の決算発表とあわせて、KDDIは7月2日〜4日かけてKDDI網で発生した通信障害についての会見も実施。au、UQ mobile、povo 1.0の全ユーザーに200円(税抜き)を返金するなどの補償の方針を示している。2時間に渡る会見のうち、通信障害に関する説明会に1時間40分と大部分が割かれており、決算に関する記者説明会は20分にとどまっている。
通信障害は7月2日〜4日にかけて継続し、一部のユーザーが音声通話を一切利用できない状態となった。また、通信障害を解消するための制限により、音声通話やデータ通信が利用しづらくなる状況が最大61時間に渡って続いた。影響人数は音声通話が最大2278万人、データ通信が765万人以上(推計、重複あり)となっている。
KDDIは通信障害の発生を受け、契約約款に規定されている返金に加え、通信料金から200円(税抜き)を減額する「おわび返金」を実施。おわび返金はauとUQ mobile、povo 1.0の全ユーザーが対象となる。また、povo 2.0では1GB/3日間のデータトッピングを無償で提供する。
契約約款に基づく返金は、音声通話契約のみのユーザー(データプランの契約がないユーザー)の271万契約に限定される。返金内容は基本料金から2日分を減算するという内容で、1ユーザー平均で52円の返金となる。
おわび返金と契約約款に基づく返金をあわせた返金総額の見込みは、KDDI単体で約73億円、沖縄セルラーの契約分を含むKDDIグループで約75億円となっている。返金対象には法人契約も含まれるが、IoT機器などで支障が発生したことに対する損害賠償については含まれていない。また、KDDIは通信障害の再発防止策としてネットワーク監視の強化などを実施する方針となっている。
なお、同日に発表された2023年度第1四半期の決算は、2022年4月〜6月を対象としているため、通信障害の影響は含まれていない。通信障害の影響は第2四半期以降に反映される。KDDIの高橋社長は通信障害の影響について「返金や再発防止策が業績に与える規模は小さくはないが、現時点で予算の変更はしない。営業努力でカバーする」と説明している。実際にKDDIグループの業績規模(年間売上高は5兆5600億円の見込み)と比較しても、通信障害への対応が業績に与えるインパクトは致命的に大きなものとはならないだろう。
通信障害が回線契約数に与えた影響について高橋社長は、「実は、足元の解約数はそれほど大きくなっていないが、新規で契約するユーザーに対する影響が出ると見ている」という見解を示し、安定したサービスの提供を通じて信頼回復に努めていくと表明した。
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