ゲオブランドのラインアップは完全ワイヤレス、骨伝導タイプ、有線(ワイヤード)タイプに大きく分かれている。商品構成比率は完全ワイヤレスイヤフォンが6割弱、骨伝導タイプのイヤフォンが1割、有線タイプのイヤフォンが2割、その他が1割となっている。だが、ここ最近では完全ワイヤレスイヤフォンが売れているという。
具体的には、3278円の価格帯はSKU(受発注・在庫管理を行う場合の最小管理単位)が多く、売れ筋のラインだという。2178円の価格帯だとGRFD-SWE100QT13が最も売れているという。
消費者の関心は間違いなく完全ワイヤレスイヤフォンに向いているだろう。実際、スマートフォンから3.5mmのイヤフォンジャックは削られる傾向にあるし、他社のオーディオ製品のラインアップを見てもAppleのAirPodsの登場によって完全ワイヤレスイヤフォンへシフトしている。
余談だがAirPodsの登場で世間の関心が一気に高まり、それまで有線イヤフォンに注力していたあるメーカーは「ワイヤレスと有線とでターゲットを明確化しなければならず、有線の売り上げが激減した」と落胆していた。
完全ワイヤレスイヤフォンへの関心度だけでなく、新製品が登場するスピードも加速している。
宮下氏も「ゲオHDとしては、毎月何かしらの製品を出しており、とにかくブランディングよりも売り上げを伸ばすことを優先している」と話す。
……と、ここまで聞くと安さ故に削っている部分もあることが分かるが、イヤフォンどころか左右間もワイヤレス接続となっている、完全ワイヤレスイヤフォンには大きな欠点もある。それは“紛失”だ。
宮下氏に「紛失したらどうすべきか」と率直な疑問をぶつけてみたところ、「われわれはものに対して価格が安いという評価は頂いているが、紛失や盗難に対してのサポートはしていない」という答えが返ってきた。
そう、製品が安くてもそこにサポートを加えてしまっては、せっかくのコストダウンが台無しになってしまうのだ。サポートセンターを設けて1件ずつ対処となればなおさらコストアップにつながる。
「できるだけロングライフの製品を作れたらいいけど、この2〜3年でイヤフォンがすごく進化したので、そこに合わせた結果、このペースでの製品ローンチとなった。それに紛失したからサポートします、よりも製品単価を抑えて買い換えてもらった方がいい」(宮下氏)
つまりゲオHDとしては、1つの製品をガッツリ使ってほしい、のではなく、低価格の製品を買って壊れたらすぐに買い替えてもらう、というのも狙いの1つとなっているようだ。
ここまで話を聞いていると、レッドオーシャンにあえて切り込むゲオの挑戦力を感じられたし、直接的ではないものの、激安イヤフォンもゲオHDが掲げる「お客さまの身近な暮らしをいかに豊かに、そして楽しくできるか」という挑戦にもつながるだろう。
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