5〜6月にNUROモバイルの申し込みが急増 「安価な20GBプラン」と「セット割強化」の狙いMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2022年08月30日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 価格を大きく引き下げた「バリュープラス」や、安定した通信帯域を確保した中容量プランの「NEOプラン」を導入して以降、NUROモバイルが順調に契約者数を伸ばしている。新サービスも矢継ぎ早に投入しており、4月にはNEOプランからゼロレーティングサービスの「NEOデータフリー」などを省いて月額2090円(税込み、以下同)に料金を抑えた「NEOプランLite」を投入。ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3回線でオートプレフィックスを開始し、アプリなしでの通話料も引き下げている。

 また、楽天モバイルが0円スタートの「Rakuten UN-LIMIT VI」を廃止することを発表したタイミングに合わせ、固定通信サービス「NURO光」とのセット割キャンペーンを強化。NUROモバイルとNURO光を同時に申し込むことで、1年間980円の割引を受けられるようになった。NUROモバイルの最安プランであるバリュープラスの3GBプランと組み合わせると、1年間限定ながら料金は0円になる。

 攻めの姿勢を崩さないNUROモバイルだが、4月以降に導入したNEOプランLiteや光回線とのセット割は、どのような成果を出しているのか。ソニーネットワークコミュニケーションズでMVNO事業室 室長を務める茂木卓也氏と、サービス設計課で課長を務める石井隆介氏、セールス&マーケティング課 課長を務める田中直樹氏に話を聞いた。

NEOプラン投入後も「もっと安価に使いたい」という声が出ていた

―― まず、4月に導入したNEOプランLiteのことをうかがっていきます。NEOプランがある中、なぜより価格が安いNEOプランLiteを投入したのでしょうか。

茂木氏 中容量帯の20GBにNEOプランを出していましたが、その中でもっとリーズナブルに使いたいという声が出ていました。そこで、NEOプランの機能の一部をシンプルにしたものとして、NEOプランLiteを導入しています。(月額料金が)安いところをフックに、NEOプランの中のエントリープランとして申し込んでいただける方を狙っています。

NUROモバイル 4月に提供開始した「NEOプランLite」は、NEOプランと同じく20GBのデータ通信を利用できるが、SNSのカウントフリーやGigaプラスなどの機能は利用できない

―― NEOプランが不調だったので値下げした、ということではないんですね。

茂木氏 そういうことではなく、あくまでお客さまの声に応じるような形で出しています。

NUROモバイル セールス&マーケティング課 課長の田中直樹氏

―― サービス開始から4カ月ほどたちますが、どういった方が利用されているのでしょうか。

田中氏 比較的NEOプランと同じような方が多いのですが、少し40代の方の申し込みがある状態です。NEOプランは、導入当初から20代から30代のデジタルネイティブ層をターゲットにしていましたが、NEOプランLiteを出し、40代も取り込めています。構成比でいえば、バリュープラスと比較すると(NEOプランは)20代の方の割合が倍ぐらいになります。そういった意味でいえば、NEOプランLiteはちょうどバリュープラスとNEOプランの間ぐらいといった感じなのかもしれません。

 NEOプランにはNEOデータフリーだったり、「Gigaプラス」(3カ月に1回追加容量がもらえるサービス)だったり、「上げ放題」(上りの通信が無制限になるサービス)だったりがあり、特色のあるプランになっています。そちらはそちらでしっかりアピールしていますが、NEOプランLiteはもう少し安く使いたいという方にお選びいただけています。

―― 40代と聞くと、今までのMVNOのユーザー層に近いようにも思えますが、実際にはいかがですか。

田中氏 ペルソナでいうとデジタルネイティブに近い層で、詳しい方が入っていると思っています。今まではアーリーアダプターと呼ばれる方々がMVNOに興味を持っていましたが、これから先は、全体的なボリュームが増えてくると見ています。昨年(2021年)、MNO各社がオンライン専用プランを出し、オンラインで申し込むこと自体の心理的なハードルが下がっています。そういった方々に、(NEOプランやNEOプランLiteで)MNO並みの通信品質を目指すことでアプローチができています。

NEOプランLiteでも高速通信を維持できるよう調整

NUROモバイル MVNO事業室 室長の茂木卓也氏

―― NEOプランとNEOプランLiteだと、金額的に609円も差があります。NEOデータフリーなどのあり/なしは、やはり金額差に大きな影響があるのでしょうか。

茂木氏 NEOデータフリーもそうですし、Gigaプラスもわれわれ側の負担になります。そういったものを取り除き、シンプルにした分で価格を抑える方向で調整できました。

―― NEOプランは全体として、通信品質の高さを売りにしています。NEOプランLite投入後も、これは維持できていますか。NEOプランLiteでユーザーが増えたとき、採算は合うのでしょうか。

茂木氏 速度は維持できるよう、日々需要予測を行いながら調整を測っています。高品質を担保できることを目指しています。

田中氏 中長期的な形でMNOからの接続料を想定しながら、回収できるような価格設定および通信品質にしています。速度は測っていますが、対外的にお伝えする際には総務省やテレコムサービス協会のガイドラインがあるため、なかなかお伝えできません。

―― AIで需要予測を行うとありましたが、この点は効いていますか。

茂木氏 AIは効率性という観点で導入させていただきました。速度にストレスを感じないようにするためです。お客さまの声を元にすると、ご評価いただいています。

―― NEOプランLite導入後、ユーザー獲得の動向に何か変化はありましたか。

茂木氏 今は全体的に増えています。それぞれのプランに特色があるので、お客さまにはご自身に合ったプランを選択していただけています。

―― ということは、純増基調は変わっていないということですね。

茂木氏 昨年度、MNOのオンライン専用プランが出始めた結果、お客さまの動向として、オンラインで契約することがトレンドになっています。この傾向は続いていくと思いますね。

田中氏 純増で計画通りの進捗(しんちょく)でいけています。

―― NEOプランから移行する人もいるのでしょうか。御社に取っては、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)が減ってしまうことになりそうですが。

茂木氏 プラン変更の機能自体は5月にリリースしていますが、そこまで強烈には紹介していないこともあり、(プラン変更の)数は出ていません。ご質問のようなシチュエーション(NEOプランからNEOプランLiteへの変更)も、多くはないですね。

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