―― 直近の動きでいうと、6月にオートプレフィックスを3キャリア対応しました。やはりアプリで通話してもらうのは大変だったのでしょうか。
石井氏 インストールも含め、利用に際して下準備が必要な状態より、オートプレフィックの方がいいのは明らかです。ニーズのボリュームを見ながら、大きそうなところから順次対応してきました。
―― 一方で、NEOプランはドコモ回線だけです。ここを増やしていくことはあり得るのでしょうか。先日の通信障害でも、マルチキャリア対応の重要性が改めて認識されたような印象を受けています。
石井氏 現時点で公開できることはありませんが、(KDDIの)障害発生以前より、検討の範囲であると考えています。ここも慎重に、お客さまのニーズを定量的に捉えながら検討していきます。
―― 通信障害発生時に、バックアップ回線としての契約が増えたMVNOもあったと聞いています。御社はいかがでしたか。
茂木氏 Webのアクセス数自体は増えましたが、申し込み数ではあまり影響はなかったように見受けられます。
田中氏 ご興味を持っていただけたということもあり、アクセス数自体は増えています。MVNOとして、われわれがいろいろなプランをご用意していることを知っていただけるきっかけにはなったと思います。
―― その意味でいうと、eSIMがあった方が緊急での契約に対応しやすかったような気もしています。eSIMはどう取り組んでいくのでしょうか。
茂木氏 お客さまのニーズに合わせて検討していくことになります。
石井氏 この部分は、まさに今ニーズの測定中という感じです。検討は初期段階のフェーズで、実装方法などについては未定です。
―― 最後に、端末の販売についてうかがいます。製品サイトを見ると「Xperia 10 IV」に力が入っているように見えますが、やはりここはソニーグループとしての注力ポイントでしょうか。
石井氏 われわれはソニーグループの一員ではありますが、端末のラインアップは幅広いユーザーをカバーできるよう努めています。Xperiaには確かに注力していますが、お客さまの細やかなニーズにフィットできるよう、Xperia以外もバランスよく取りそろえるよう拡充していきたいと考えています。
ソニーグループの特徴は生かしたいのですが、重点を置いているのはXperia以外をお求めになる方のニーズを取りこぼさないことです。それには、幅広いラインアップが前提になります。その中で、ソニーグループ間の連携はできる限り検討していきます。
田中氏 ただ、実際に一番売れているのはXperiaです。やはりお客さまには、ソニーグループの中のNUROモバイルと見ていただいているのかもしれません。石井がお話した通り、お客さまニーズがあるところにフォーカスしているので、公式Webサイトでも実績として数が多く出ているXperiaがある程度大きく見える形になっています。一方で、他の端末もお客さまから声をいただければ、どんどん増やしていきたいと考えています。
料金プラン刷新以降、契約者獲得に弾みがついていたNUROモバイルだが、その傾向は続いているようだ。特に楽天モバイルがUN-LIMIT VIの廃止を発表して以降、MNPでの転入が大きく増加しているという。オンライン専用プラン/ブランドのトレンドにうまく乗り、お得な料金プランや通信品質の高い中容量プランを打ち出せたのが勝因といえる。他社と比べて店頭展開が少なかった分、コストは下げやすく、結果としてオンラインでの戦いが有利になったことが伺えた。
セット割のキャンペーンを導入しているように、固定回線との連携も強化している。MVNOの中には、同様に固定とモバイルの両方を展開する企業が多いため、セット割のような施策は必須といえる。一方で、他社はセット割を恒常的な料金プランに組み込んでいることも多い。割引額は大きいが、期間限定なのは現時点での弱点といえるかもしれない。矢継ぎ早に新サービスを繰り出してきたNUROモバイルなだけに、eSIMの早期展開も期待したい。
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