NTTドコモの3Gが2026年に停波する。3Gが使えなくなると、従来型のフィーチャーフォンも使えなくなり、スマートフォンへの移行が急務となる。そんな中、ネックになっているのがシニアだ。NTTドコモモバイル社会研究所の「モバイル社会白書」によると、スマートフォン所有率は64歳までが90%を超えているのに対し、65歳以上は70%台〜80%台にとどまっている。
移行にはキャッシュレス決済サービスを含め、スマートフォンの利便性を理解してもらう必要がある。一方でIT機器に不慣れなユーザーがいきなり移行するにはハードルも大きい。そのため、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルがシニア向けのスマホ教室を開催している。
このうち、今回はNTTドコモのスマホ教室を取材する機会を得た。開催意図やシニアがスマホに対して抱える課題は何か、どんな人に向けたものなのかなどについて、NTTドコモ 営業本部 チャネルビジネス部 ブランドショップ担当課長 田口弘毅氏に聞いた。
―― スマホ教室がどのようなものなのかと、開催する狙いを教えてください。
田口氏 スマホ教室は利用者へ提供するサービスの根幹として捉えています。ドコモユーザーでも他社ユーザーでも無料で受講できるものになりますが、基本的にはスマートフォンを検討している方や、既にフィーチャーフォンからスマートフォンへ乗り換えたものの、使い方が分からず困っている方などを対象に行っています。
―― スマホ教室はいつから開催されているのでしょうか。
田口氏 スマホ教室が本格始動する以前は「電話教室」という形で実施していたものの、一般的な操作説明の延長レベルでした。1回受講して終わりとなるケースが多かったのですが、お客さまが成長できるモデルとして、2018年1月にスマホ教室という名称でスタートしました。
今回、お越しいただいたd garden五反田店は他企業とのコラボレーション拠点であることはもちろん、来店するとスマホ教室のブースが目に入るように設計されています。いわばスマホ教室の先駆者的な存在でもあります。
―― オンラインでは行っていないのでしょうか。
田口氏 いわゆる対シニア向けとしてのオンライン講座は行っていません。社内でも度々議論になりますが、そもそもシニアの方がオンラインにたどり着くことができないという結論に至ることが多いです。
ただ、オンラインでは何も行っていない、ということではなく、Web上に「ドコモスマホ教室(オンライン版)」というページを特設して、簡易的な事前収録動画を視聴してもらえるようにしています。
―― スマホ教室の講座数はどれくらいでしょうか。
田口氏 約40講座です。
―― 毎月どれくらいの人が参加されるのでしょうか。
田口氏 ひと月あたり約20万人ですが、約1年前はその倍近くの人数が参加していました。コロナ禍で開催しなければならないこともあり、人数をコロナ前よりも絞って行っています。
―― 1講座につき何人まで受講できるのでしょうか。
田口氏 現状ですと1講座当たり4〜6人ですが、もう少し多くの方々に参加してほしいというのが本音ですが、コロナ禍で密を避けるべく人数を絞って開催しています。それに、何か困り感を抱える方に対して、丁寧にサポートできるように、講師1人に対して受講者数人としています。
―― 人数が多すぎて講師の目が行き届かないのも困りますよね。
田口氏 そうですね。そのため、場合によっては講師1人に加えてサポートスタッフ1人が付き添うこともあります。
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