3G停波だけではない ドコモがシニア向け「スマホ教室」を開催する本当の狙い(2/3 ページ)

» 2022年09月07日 09時45分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

参加者の9割が60代以降

―― 具体的にはどのような方が参加するのでしょうか。

田口氏 スマホデビューを果たして間もない方が参加する傾向にあります。年代としては約9割が60代以降の方です。残り1割には50代前後の方や、プログラミング教室に参加する方が含まれます。男女比率は半々くらいです。

docomo ドコモスマホ教室 d garden五反田店で開かれているドコモスマホ教室では1人の講師に対し、4人が受講していた

―― どんな人にスマホ教室をおすすめしているのでしょうか。

田口氏 2026年3月末の3G停波を控えた今、マイグレーションのタイミングでもありますので、4Gのケータイに変更される方や、これからスマホデビューを果たす方に対して、スマホ教室で解決できそうな内容であれば、そこへ促しています。

 もちろんアクティブシニアばかりではありませんので、それぞれの困りごとを整理・把握した上で、講座を企画・開催したり、来店者へ提案したりする考えです。

―― 講座の内容はどのような基準で判断しているのでしょうか。

田口氏 具体的な数はお伝えできませんが、昔は今よりも講座数がたくさんありました。その中でも特に人気のある講座や、需要のある講座をピックアップしています。

 全体の6割は基礎講座(電話、メールを使うという内容)、残りが成長分野のキャッシュレス決済サービスなどの応用編です。人気の高い講座はやはり「はじめてのスマートフォン」といって本当に基礎的な内容です。「インターネット」「アプリ」といった基本編や「キャッシュレス決済サービス」も人気がありますし、デジタル活用支援については、当初想定の約3倍となる申し込みがあります。

docomo ドコモスマホ教室 NTTドコモ 営業本部 チャネルビジネス部 ブランドショップ担当課長 田口弘毅氏

―― 人気の高い講座は増やす方針でしょうか。

田口氏 はい。ただ、店舗によってはコマ数が異なります。店舗によってニーズも異なるはずですので、その辺りも踏まえた上で判断していく考えです。キャッシュレス決済サービスなどの関心を引きやすいワードを用いるようにしています。

LINEやInstagramなどは有料サポート

―― キャッシュレス決済サービスに関連して、マイナンバー関連のサービスはどのような扱いになるのでしょうか。

田口氏 こちらは総務省案件については公募(採択)されたことで対応しています。

 マイナンバー関連のサポートについては大きく2種類あります。1つはマイナンバーカードの申請を店頭で行う際、スタッフが来店者に付き添い、指導しながら申請手続きを行う内容です。もう1つはマイナポイントの受け取りや、キャッシュレス決済サービスの使い方など、もう少し詳しく説明できるように設けている教室です。どちらも無料です。

docomo ドコモスマホ教室 NTTドコモは、総務省「利用者向けデジタル活用支援推進事業」の事業実施団体として、2021年6月7日に採択された。各種行政手続き・利用方法などの講座を「総務省デジタル活用支援講座」として、全国1034店舗のドコモショップ/d gardenにて10日から無料で実施している

―― LINEやInstagramなどの他社製アプリについてはどのようにサポートしていくのでしょうか。

田口氏 2021年7月から開催している「おすすめアプリ講座」でサポートしています。写真やイラストなどを用いたオリジナルのテキストを活用し、ドコモのサービス以外のアプリの操作方法を体験型で学べるものになります。通常の利用料金は1講座3300円(税込み、以下同)ですが、キャンペーンでLINEのみ1講座2200円としています。

 スマートフォン操作の基礎としての部分や、ドコモとして提供しているサービスなら無料としていますが、他社製アプリですと別途料金をいただいています。そのため、まずは基本的なことを習得してもらい、そのステップアップとして他社製アプリについても知ってもらえたら、と考えています。

docomo ドコモスマホ教室 おすすめアプリ講座は2021年7月にスタート

―― 現状、シニアがスマートフォンへ乗り換える場合の課題がどこにあるのか、教えてください。

田口氏 新しい内容を習得することに対してポジティブではない方が多いと感じます。例えば、フィーチャーフォンを長年使っている70代の方が、今さら乗り換えてもメリットがない、と考えていたとして、これから先の時代になると困る場面があると予想しています。

 マイナポイントの受け取りしかり、ワクチン接種予約しかり、スマートフォンでできることは増えています。デジタルの世界に踏み込まなければ、結果的に利益を享受できません。このような利用者にとってのデメリットを取り払うべく、ドコモとしてはスマホ教室などを含めてサポートをしていくべきであると考えています。

 それだけではなく、スマホ教室そのものについてもなるべくテキストで用語や手順を分かりやすく説明したり、OSによって講座を分けたりしています。ほぼ同じ内容でも、iOS編とAndroid編に加え、らくらくスマートフォン編も用意しており、それぞれでテキストの内容も若干異なります。

docomo ドコモスマホ教室 ドコモスマホ教室の受講者に無料で配布されるテキスト
docomo ドコモスマホ教室

 ただし、講座によってはOSの異なる端末を持っている方が参加しても対応できるように、それぞれのOSに適したテキストを配布して、同時進行で進めるケースもあります。

―― テキストがOSによって異なる場合、スマホ教室で使用する端末は貸し出しているのでしょうか。

田口氏 既にスマートフォンをお持ちであれば、ご自身の端末を使って受講できます。お持ちでなければ、店舗が受講者に対して、端末(デモ機)を無料で貸し出します。

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