壊れたスマホは「交換」よりも「修理」 iCrackedがPixelの正規修理を開始した理由石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2022年10月15日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]

Pixel上陸に伴い正規修理をスタート、事業の柱に拡大

 価格競争に陥っていることもあり、「iPhoneだけだとつらい。Androidも増やしていきたいという思いがあった」という福島氏。一方で、AndroidはiPhoneとは異なり、メーカーや端末のバリエーションが非常に多い。過去には「サードパーティーのパーツを使ってチャレンジしようとしたが、なかなか調達が安定しない」(同)のが課題だった。これに対し、Pixelの正規修理に絞れば、バリエーションが限定され、正規のパーツも入手できる。「今は正規修理でないと(Androidの修理は)厳しい」という判断もあり、Googleとの契約を結んだ。

iCracked Pixel 3が日本に上陸した2018年から、iCrackedが正規修理を担当。そのボリュームは徐々に大きくなってきているという

 正規修理を手掛けたのは、「メリットがとても大きい。ユーザーに安心してもらえるのが圧倒的」だという。メーカーの修理だと、配送を挟んで数日から1週間以上の時間がかかる。預かり修理や交換だと、端末を初期化する必要も生じる。「ユーザーはデータが消えてしまうのをなんとかしたい。バックアップもあるが、Androidはやり切れていない。決済サービスもそうだが、ゲームも深刻でレベル200まで行ったのに1からやり直しということもある」。

 これに対し、iCrackedに持ち込めば、データは残ったまま。修理自体も1時間ほど完了するため、「ユーザーの満足度はものすごく高い」(木戸氏)。筆者も「Pixel 6 Pro」を修理する様子を見学したが、手際がよく、修理はスムーズに進んでいった。ディスプレイ交換後は、専用ツールにつないで動作を確認する。こうした手順は、全て正規の修理マニュアルに沿っているため、安心感もある。30分もたたずに前面は新品のようになり、満足度が高いことは納得できた。

iCracked ディスプレイガラスの上部が砕けてしまったPixel 6 Proを実際に修理してもらった
iCracked 本体を温めた後、ディスプレイを外していく
iCracked
iCracked 交換用のディスプレイを端末に接続。指紋センサーの校正や各種チェックを行った後、ユーザーに端末が返却される

 サービスが評価され、Pixelの修理はiCrackedの中で「重要な規模まで増えてきた。今はかなりのウェイトを占めている」(福島氏)。Googleに加え、KDDIやソフトバンクが販売に注力してきたことで、修理業者から見ても「ユーザーが増えているのも実感している」という。ただ、ハイエンドモデルの場合、パーツの価格が高く、修理には数万円の費用がかかるケースもある。上記のPixel 6 Proの場合、画面修理にかかる金額は3万8270円。最新モデルの「Pixel 7 Pro」はさらに高額で、4万480円にものぼる。

iCracked Pixelの修理費用。特にディスプレイの左右がカーブしたProモデルは修理費用が高い

 iPhoneの場合、修理代は保証サービスの「Apple Care+」でカバーされるが、GoogleはPixelに同種のサービスを用意していない。海外では保証サービスのある国や地域もあるが、日本では未展開だ。これに対し、ソフトバンクは自社でPixelを購入したユーザーに向け、冒頭で挙げたあんしん保証パックネクストを提供。5月から、iCrackedでの修理代を全額もしくは大部分をカバーするようになった。

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