壊れたスマホは「交換」よりも「修理」 iCrackedがPixelの正規修理を開始した理由石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2022年10月15日 09時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 iCrackedというスマートフォンの修理業者をご存じだろうか。実は本連載でも、同社が日本に上陸する際に取り上げたことがある。約7年前、2015年のことだ。一方、上陸直後は電波法など法制度への理解が十分ではなく、当時から制度化されていた「登録修理業者」としての登録も特に検討していなかった。記事では、その姿勢を疑問視するのと同時に、登録修理業者になるためのコスト面、技術面でのハードルが高すぎることを指摘していた。

 そんな経緯もあり、iCrackedは方針を転換。2016年には晴れて1機種分の登録を終え、徐々に対象端末や店舗数を拡大していく。今では、店舗数も74まで増え、31の都道府県をカバーしているという。当初はiPhoneに特化し、修理を提供していたiCrackedだが、2018年にGoogleのPixelが上陸したのに伴い、同シリーズの正規サービスプロバイダーとして、修理サービスを提供している。

iCracked iPhoneの修理サービスを展開していたiCrackedだが、現在はPixelの正規修理を手掛けている。その経緯に迫った。写真は六本木ヒルズ店

 最近では、サムスン電子がGalaxyシリーズの即日修理を提供し、話題を集めていたが、iCrackedはいち早くPixelで同様のサービスを提供していたというわけだ。2022年5月にはソフトバンクと連携し、「あんしん保証パックネクスト」や「あんしん保証パックプラス」の適用を開始。Pixelユーザーがこのサービスに加入していた場合、年2回まで店頭修理が無料もしくは大幅な割引価格になる。

 もともとはいちiPhoneの修理業者だったiCrackedが、なぜPixelの正規サービスプロバイダーになり、キャリアが提供するサービスの一翼を担うことになったのか。iCracked JapanでCEOを務める福島知彦氏と、同社を傘下に収めたSquareTrade JapanでCEOを務める木戸孝氏にその経緯や戦略、今後の展開などを聞いた。

登録修理業者として店舗を拡大したiCracked、品質を高める努力も

 2015年12月に日本に上陸したiCrackedだが、上記の記事がきっかけになり、登録修理業者への登録を模索していった。同社が日本に上陸した際は光通信の顧問をしていた福島氏だが、「あれもきっかけの1つで、16年からiCrackedに関わることになった」という。福島氏は、「当時担当していた人間が甘く見ていたこともあり、いいかなと思って始めたら、思いのほかたたかれてしまった」と当時を振り返る。

iCracked iCracked Japanの福島CEO。同社に参画したのは、日本上陸の翌年から。コストをかけ、登録修理業者となり、安心感を高める方向に舵を切ったという

 一方で、登録修理業者になるには、修理がメーカーの取得した工事設計認証に影響を及ぼしていないことを証明する必要がある。認証は端末ごとに受けているため、機種別にそれをやらなければならない。そこでiCrackedは、コストをかけ、「古い電波測定器を全店舗に置き、ここまでやるのかというぐらいやった」(福島氏)。修理が電波特性に影響が出ないことを徹底的に証明するためだ。電波測定器はその後、制度が変わって倉庫やトレーニングセンターに移したが、体制自体は変えていないという。

 当時は登録修理業者自体が少なかったこともあり、「大変苦戦した」ものの、努力が実り、2016年秋に1機種目を登録。その後、対応端末数を増やしていくのと同時に、店舗を拡大していった。1機種だけ証明し、その“お墨付き感”を宣伝に使う修理事業者もいる中、iCrackedではiPhone 5s以降の13機種を登録しているという。あくまで非公式修理のため、Appleの保証は切れてしまうものの、「比較的古い機種をお使いの方は、あまり気にしない。ある程度安心感があれば、正規ではなくてもいいという方は多い」といいう。

iCracked 総務省の登録修理業者リストを見ると、確かに13機種で認証を取っていることが分かる

 もともと、米国で修理事業を手掛けていただけに、「サードパーティーとしてクオリティーはできるだけ上げていくということで、品質は高い」と自負する。悪質な修理業者だと、「有機ELがLCDになってしまうこともある」そうだが、iCrackedは品質を保っているといえる。一方で、その分「お値段も高い」のが、同社の弱点。iPhoneの修理業者が増えた結果、「バッテリーを980円で交換するところもでき、異常な価格競争になっている」のが現状だ。

iCracked iPhoneの修理費用。同社が参入して以降、激安な修理を売りにする業者も増え、価格競争に陥っているという

 そのような状況の中、2018年にGoogleが自身で手掛けたスマートフォンの「Pixel 3」「Pixel 3 XL」が日本に上陸する。米国でGoogleとの付き合いがあり、その関係もあって「Pixel 3を投入するタイミングでお話をいただいた」。過去にはNexusシリーズを投入していたGoogleだが、修理を含めたサポート体制には課題もあった。Pixelの日本展開に合わせ、iCrackedと契約し、手薄だった修理を強化した格好だ。

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