パスワードを使わない認証技術「FIDO」が進化 デバイスやOSを越えて利用可能に(2/2 ページ)

» 2022年12月12日 08時00分 公開
[小山安博ITmedia]
前のページへ 1|2       

パスキーを利用できるサービスは?

 サービス側では、ヤフーがYahoo! JAPAN ID、KDDIがau IDでパスキーに対応。Apple製品でログインするとFIDOクレデンシャルが生成され、iCloud Keychain経由で複数デバイスにクレデンシャルが同期されるようになっている。ドコモは23年2月にもdアカウントでパスキーに対応する予定。

 楽天では、暗号通貨取引で利用する楽天ウォレットのログインでパスキーをサポート。楽天ID自体がパスキーに対応しているため、今後は楽天の他のサービス(楽天市場や楽天モバイルなど)でも、パスキーのサポートを検討していくという。

 海外では、PayPalやBestBuyといった一部の対応にとどまっているが、今後決済系のサービスを始め、順次対応サービスが出てくる見込み。

 パスワードは、「サイトごとに個別に設定して、なるべく複雑な文字列が必要」とされている。安全性のためだが、結果としてユーザーの負担が増えていて、Webサービス側も安全にユーザーのパスワードを保管し続けなければならなかった。

 パスキーは生体認証だけでログインできるため容易で、パスワードを悪用した攻撃を回避できる。Webサービス側も、保管するのは公開鍵なので、漏えい時のリスクを削減できる。パスキーの登場によって、いったんFIDOクレデンシャルを作成すれば、クラウド上に保存されるので、「機種変更のためにパスワードでのログイン機能も残しておく」という必要がなくなり、セキュリティレベルが高まる。

BluetoothとQRコードを活用すれば、OSを越えた利用が可能に

 なお、パスキーはアカウントごとに保管されるため、Apple IDに保管されたパスキーは、Android(Googleアカウント)やWindows(Microsoftアカウント)では利用できない。Androidで同じパスキーを使ってログインしたい場合、QRコードとBluetoothを併用した「hybrid(旧称はcaBLE)」と呼ばれる仕組みを活用する。

 Androidでのログイン時に表示されたQRコードを、パスキーが保管されたiPhoneなどで読み取ってパスキー認証すると、Android側でログインが行われるので、そこでAndroid(Googleアカウント)にパスキーを保管するようにすれば、次のログインからはGoogleアカウントのパスキーが使えるようになる。

FIDO hybridの仕組み。これによって複数のアカウントでパスキーを使ったログインが可能になる

 こうした仕組みを組み合わせれば、MacでもWindowsでもAndroidでもiPhoneでも、生体認証だけでログインができて、フィッシングやパスワードリストなどの攻撃も避けられる安全な世界が実現できる可能性がある。

 Googleやマイクロソフト、さらにWebサービスを提供する各社が今後、パスキーへの対応を拡大してくれることを期待したい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月14日 更新
  1. 新しい「iPad Pro」と「iPad Air」は何が変わった? 先代モデルとスペックを比較する (2024年05月13日)
  2. ゲオが5478円/6578円の“激安スマートウォッチ”を販売した狙い デザイン+機能性の追求が成功 (2024年05月13日)
  3. KDDI高橋社長が語る新戦略 ローソン協業でPonta経済圏をさらに拡大、5Gは“auだけ”の強みを生かす (2024年05月11日)
  4. 異例ずくめのドコモ社長交代 若返りだけでない、前田義晃新社長の手腕に期待すること (2024年05月11日)
  5. 「ドコモ社長交代」や「NTTドコモ・グローバル設立」の背景は? NTTグループ決算説明会で語られたこと (2024年05月10日)
  6. 出そろった「Pixel 8a」の価格を比較 ドコモ、KDDI、ソフトバンク、Google ストアでお得なのはどこ? (2024年05月13日)
  7. “SIMを挿せない”新iPad向け 日本通信が1GBで209円の「データeSIM」を発表 (2024年05月11日)
  8. ゲオ、IP68等級の防塵/防水対応スマートウォッチ2種を限定販売 ワイヤレスイヤフォンを“内蔵”できるモデルも (2024年02月22日)
  9. irumo、Y!mobile、UQ mobileのキャンペーンまとめ【5月12日最新版】 ミドルスマホ高額割引や最大10万ポイント還元など多数 (2024年05月12日)
  10. 「Xperia 1 VI」登場か? ソニーが5月15日午後4時に「Xperiaの新商品」を発表 (2024年05月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年