NTTドコモは5月26日、パスワードレスなオンライン認証の技術仕様の標準化を推進している非営利団体「FIDO Alliance」(ファイド・アライアンス)にボードメンバーとして加入したことを発表した。
ドコモが2015年夏モデルとして投入する「ARROWS NX F-04G」「Galaxy S6 edge SC-04G」「Galaxy S6 SC-05G」「AQUOS ZETA SH-03G」の4機種は、FIDO Allianceが定めた「FIDO UAF 1.0」というオンライン認証規格に準拠しており、5月27日から、ドコモサービスにおける生体情報を使ったオンライン認証を開始する。ドコモは、FIDO Allianceへの参加を通して、パスワードのいらない世界を目指す。
ドコモは、FIDO Allianceへの加入に合わせ、報道関係者向けの「生体認証の取組みに関する説明会」を開催した。説明会には、ドコモの執行役員 プロダクト部長の丸山誠二氏のほか、FIDO Alliance 副代表のラメシュ・ケサヌパリ氏と、事務総局長のブレッド・マクドウェル氏も登壇した。
ドコモでは、2003年に発売した「ムーバ F505i」以来、指紋認証機能付きの端末を継続して投入している。従来の指紋認証は、端末のロック解除や、プライバシーモードのオン/オフなど、端末内に“閉じた”認証機能だったのに対し、2015年夏モデルの生体認証対応機種では、docomo IDとドコモケータイ払いのオンライン認証にも利用できる。まずは、プリインストールのブラウザ内での利用となるが、順次、ドコモが提供するサービスアプリ内でも利用できるようにする方針だ。
生体情報を使ったオンライン認証に積極的に取り組む理由として、丸山氏はユーザーのサービス利用時の行動分析を挙げる。「パスワードを入れるところで詰まってしまうお客さまが結構多い」(丸山氏)ことから、パスワード入力をしないで済む認証方法として、生体情報に着目した、というわけだ。
説明会の冒頭に流れた動画にある「パスワードで困ったことはありませんか?」(Have you ever had a problem with your password?)が生体情報を利用したオンライン認証を検討し始める出発点にドコモでは、およそ2年前から生体情報を利用したオンライン認証を検討していたという。その過程で、なぜFIDO Allianceの規格を利用することになったのか。丸山氏は、複数の生体情報でオンライン認証できること、セキュリティが十分に考慮されていること、相互運用性が高いことの3つを理由として挙げた。

FIDO UAF 1.0規格を使ったおかげで、複数メーカー、複数認証方式に同時対応できた(写真=左)。ドコモは、FIDO UAF 1.0の商用サービス開始で“初”を飾る面が多いことから、ボードメンバーとして、より積極的にFIDOに関与することに(写真=右)今後は、対応機種・サービスを拡大しつつ、新たな生体認証システムへの対応、パートナーやサードパーティーサービスへの利用拡大を促進して、「いつか、あたりまえになること」(ドコモの新ブランドビジョン)を目指す。
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